2月14日から来月14日まで群馬県高崎市の慈眼院で「赤い糸祈願祭」が開かれていると報道とされていました。
白衣大観音と参拝者の小指を「赤い糸」で結び、良縁成就を願う恒例行事だそうです。
ですが今回は、そういったロマンチックな話ではなく、お釈迦様の立場からすると「地獄からのレスキュー作戦」、地獄の血の池にいる亡者からすると「地獄脱出作戦」とも言い換えることができるお話で、結末は作戦失敗でチーンとなるのですが...
それは短編小説「蜘蛛の糸」のことで、今ではネットの青空文庫で無料で読むこともできる芥川龍之介の作品です。
本の表紙を並べてみました
欲深くて自分の利益だけを考えている者は、地獄に落ちてしまうという、まさにガリガリ(我利我利)亡者の顛末を示した話でした。
同じ作者の短編小説「杜子春」とともに小学校の学芸会の劇の演目になっていたことを覚えています。
そして劇と「蜘蛛の糸」で連想したのが、歌舞伎でクモの糸を放つ場面です。
歌舞伎「土蜘蛛」から
さらにこの場面から連想したのが、1970年代後半に放送された実写版の海外ドラマ「スパイダーマン」です。近年の映画「スパイダーマン」シリーズと違って、CGなどの映像技術や華麗なワイヤーアクションがない時代ですから、手から糸(ネット?)を出すところとか、ビルの壁を登るところとかダサいの一言でしたね。
そのドラマのDVDの表紙から
その後、なぜか日本版(東映版)の「スパイダーマン」も作られていました。
DVDの宣伝から
最後に「クモの糸」の名誉回復をしておきます。
実際の糸は非常に強度に優れている天然の構造タンパク質であり、鉄や高強度合成繊維に匹敵するそうです。この糸をバイオテクノロジーによって人工合成で生み出し、繊維化している国内企業があります。その繊維で服もすでに作られています。
さらにさまざまな産業への応用が期待されている新素材なのです。
かつては生糸(絹)の生産で日本の経済を支えていましたが、これからは(人工合成の)クモの糸が活躍して救世主となる可能性があるのです。
人工合成されたクモの糸:着色も可能