ボルチモア(英語: Baltimore)は、アメリカ合衆国のメリーランド州にある同州最大の都市。どの郡にも属さない独立都市である。ボルティモアとも表記する。古くから天然の良港として知られ、1729年に南部産タバコの輸出港として開かれて発展した。首都であるワシントンD.C.の外港としての機能を有する大西洋で極めて重要な港湾都市であり、2020年にイギリスが発表した「グローバリゼーションと世界都市研究ネットワーク」(GaWC)ではガンマ+の都市に評価されるなど、東海岸の世界都市に数えられる。
名称
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ボルチモアの名前はメリーランド植民地の建設の立役者であるアイルランド貴族院議員の第2代ボルティモア男爵のシラス・カルバートに由来する。爵位の名の由来のなった「ボルティモア」はアイルランドの南部にあるコーク県ボルティモアに由来し、これはアイルランド語で「大きな家の町」を意味する「バイレ・アン・ティー・モーイル(Baile an Tí Mhóir)」が英語風に変わったものである。
歴史
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アメリカで最も古い都市の1つであり、1729年に誕生した。南北戦争の舞台にもなり、国歌や星条旗もこの地で生まれた。1830年に全米で初めてボルチモア・オハイオ鉄道(B&O)が開通した。魚種の豊富な優れた漁港として知られたが、ペンシルベニア炭田の開発により工業が発展し、後に造船・鉄鋼などで財政を潤し、また貿易港として発展し、ピークには人口100万人に迫る勢いを見せた。1904年2月7日10時23分頃、市街地で火災が発生し、36時間にわたって延焼、1,500棟以上の家屋が焼失した[1]。
治安
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1960年代から施設の老朽化と主産業の構造不況によって中心地から人口が流出し、スラム街が発展し、治安の悪化が進んだ。そこで市は30年にもわたる再開発計画を実施、これはウォーターフロント開発の先駆ともいわれている。とりわけインナーハーバーの一新を図り、工業、貿易とともに多数のレジャー施設を建設した。インナーハーバーには大型ショッピングセンターや全米屈指のボルチモア国立水族館、海洋博物館などがあり、活況を呈している。一方、肝心の中心地の空洞化は依然として深刻で、治安改善はさほど進んでいない。
2015年には合計344件の殺人事件が記録されており、この数字は最も多かった1993年の記録に次ぐ数字となっている他、2016年から2022年までの6年の間にはそれぞれ318件、342件、309件、348件、335件、338件、335件の殺人事件が発生した。
2019年7月にドナルド・トランプ大統領は、「(ボルチモアは)全米一危険で、どんな人間も住みたがらない」と批判した。これはボルチモアを地盤とするトランプ批判の急先鋒であるイライジャ・カミングス下院議員を罵倒する中の発言であったが、市の黒人の人口比率が50パーセントを超え、犯罪率も全米3位の高さを見せていた背景もあり、人種差別であるとして物議を醸すこととなった[2][3]。
2023年2月6日まで、男女2人が共謀罪で訴追された。容疑は変電所を襲撃して送電線網を麻痺させ、ボルチモア市を「完全破壊」する計画を企てていたもの。男はネオナチ団体のリーダーだったと見られている[4]。
2023年7月2日、地域住民らが野外パーティーを開いていたところに何者かが銃撃を加え、2人が死亡、28人が負傷した[5]。
地理
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ボルチモアはアメリカ東海岸のチェサピーク湾から遠くないパタプスコ川(英語版)沿いに位置し、メリーランド州の北部中央部の一部である。
アメリカ合衆国統計局によると、この都市は総面積238.5km2(92.1mi2)である。このうち209.3km2(80.8mi2)が陸地で29.2km2(11.3mi2)が水地域である。総面積の12.240%が水地域となっている。
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ボルチモア港に架かっていたフランシス・スコット・キー橋。2024年3月26日に崩落した。
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ワシントン・モニュメント
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チェサピーク号が展示されているボルチモア国立水族館。同館は全米でも屈指の規模を誇る水族館である。
人口動勢
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ボルチモア市 年代別人口 [1] |
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1790年 - 13,503人 |
1830年代・1840年代・1850年代のアメリカ合衆国国勢調査において、ボルチモアは市域人口で2番目に大きな都市であった。しかし1950年代をピークに人口は減少傾向になった[6]。半世紀近くにも渡って人口減少が続いていたが、2012年は人口が1430人増加、2013年は313人の微減となっており、下げ止まりは近いと市当局は見ている[6]。
2000年の国勢調査[7]では、この都市は人口651,154人、257,996世帯及び147,057家族が暮らしている。人口密度は3,111.5/km2 (8,058.4/mi2) である。1,435.8/km2 (3,718.6/mi2) の平均的な密度に300,477軒の住宅が建っている。この都市の人種的な構成は白人31.63%、アフリカン・アメリカン64.34%、先住民0.32%、アジア1.53%、太平洋諸島系0.03%、その他の人種0.67%および混血1.47%である。人口の1.70%はヒスパニックまたはラテン系である。
この都市内の住民は24.8%が18歳未満の未成年、18歳以上24歳以下が10.9%、25歳以上44歳以下が29.9%、45歳以上64歳以下が21.2%および65歳以上が13.2%にわたっている。中央値年齢は35歳である。女性100人ごとに対して男性は87.4人である。18歳以上の女性100人ごとに対して男性は82.9人である。
この都市の世帯ごとの平均的な収入は30,078米ドルであり、家族ごとの平均的な収入は35,438米ドルである。男性は31,767米ドルに対して女性は26,832米ドルの平均的な収入がある。この都市の一人当たりの収入は16,978米ドルである。人口の22.9%および家族の18.8%は貧困線以下である。全人口のうち18歳未満の30.6%および65歳以上の18.0%は貧困線以下の生活を送っている。
教育
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単科及び総合大学
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ボルチモアには公立および私立の両方で複数の高等教育機関が設置されている。
私立
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- Baltimore Hebrew University
- Baltimore International College (BIC)
- College of Notre Dame of Maryland (NDM)
- ジョンズ・ホプキンズ大学 (JHU)
- ロヨラ大学メリーランド校(英語版) (LUM)
- Maryland Institute College of Art (MICA)
- Peabody Institute
- Sojourner-Douglass College
公立
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- Baltimore City Community College (BCCC)
- コッピン州立大学(英語版) (CSU)
- モーガン州立大学(英語版) (MSU)
- ボルチモア大学 (UB)
- メリーランド大学ボルチモア校(英語版) (UMB)
- タウソン大学(英語版)