九州・沖縄地方は、気候が温暖で過ごしやすくリゾート地としても人気です。九州の武士は猛者が多いと言われ、江戸時代には薩摩藩(現在の鹿児島県)や肥前藩(現在の佐賀県、長崎県)が雄藩と呼ばれるほど活躍しました。九州の武士が所持した刀や九州で作られた刀など、九州・沖縄地方で観ることができる刀をご紹介します。

 

沖縄地方にある刀

沖縄県は、大小160の島々からなる日本の南西端に位置する県。亜熱帯地域に属する温暖な気候で、200種類ものサンゴが生息する美しい海は、観光地としても人気です。

12世紀に「琉球王国」(りゅうきゅうおうこく)が誕生し、1609年(慶長14年)に薩摩藩の征討を受けて日本に服属。そのあと琉球藩となり、沖縄県となりました。第二次世界大戦後、一時はアメリカの統治下に置かれましたが、1972年(昭和47年)に返還されています。

琉球や沖縄で作られた刀はほとんどなく、薩摩国から日本刀が持ち込まれていました。

 

沖縄県で観たい刀

国宝 北谷菜切

沖縄県で観たいのは、国宝の「北谷菜切」(ちゃたんなきり)。琉球王国の王「尚家」(しょうけ)に伝来する刀で妖刀です。

あるとき、北谷(現在の沖縄県中頭郡北谷町)の農婦が赤子を斬殺するという大事件が起きました。捕まえた農婦に確認したところ、「赤子に向けて包丁を振ってしまっただけ」だと言うのです。そこで、試しに羊に向かって包丁を振ってみたところ、何と羊の首が切れてしまいました。それで農婦の無実が証明され、釈放されたことが伝わっています。

本刀は、地鉄は板目肌流れ。刃文は細直刃で、青貝微塵塗腰刀拵も附属している逸品です。

所蔵しているのは、那覇市歴史博物館。琉球王朝と那覇の歴史を紹介する博物館で、この刀の他にも、国宝「千代金丸」(ちよかねまる)や国宝「治金丸」(ちがねまる)など、琉球王国時代の尚家資料などが揃っています。

国宝 北谷菜切
国宝 北谷菜切

無銘

鑑定区分

国宝

刃長

23

所蔵・伝来

尚家→
那覇市歴史博物館