先日、営業支店長との人事関係の雑談の中で
、配下の営業マンの以下のようなエピソード
を拾うことができました。
初めて訪問する会社のことをきっちりと予習
して訪問をする3年目の営業マン。
相手先企業の企業理念や資本金、直近の損益
数字もきっちりと頭の中に入れて臨みます。
それなのに帰社後に本人の口から出てくるの
は、「自分」のミスの話しばかり。
対応した相手先企業の担当者のことを聞いて
も、不思議なことに全く覚えていない様子。
対照的に、同じ部署の後輩営業マンは、おお
らかで、どちらかというと内気なタイプ。
同じように営業報告を聞くと、相手との仕事
に関することはもちろん、趣味や出身地のこ
とまで詳細に覚えているというのです。
提案力や話術では先輩営業マンに劣るものの
、営業成績においては圧倒的な実績を積上げ
てくるというのです。
二人の差はどこにあるのでしょうか。それは
初対面のコミュ二ケーションの取り方に集約
されているようなのでした。
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ビジネスにおける初対面。お互い、目に見え
ない自社の看板を掲げて、なかなか個人的な
話に踏み入るような話に進展しませんよね。
建前ばかりの会話になるのは当然で、初めて
会って、商談が成立するという幸運に恵まれ
ることは、まずあり得ないことです。
大切なことは、「この人にはもう一回会いた
い」と思ってもらえるかどうかに掛かってい
るのです。
合う回数を重ねて、信頼関係が構築されてい
かないと、ビジネスの進展と成果には繋がり
ません。
ところが、冒頭の先輩営業マンのように、初
対面での接し方を間違ってしまったがために
次が無くなる営業マンは少なくありません。
初対面での会話が上手く行かないパターンは
大きく分けると二つ。
自分が一方的に話してしまって距離を置かれ
る場合と、会話が続かずぎこちない空気感の
ままで終ってしまうパターンです。
対照的に見える二つの失敗のパターンですが
実は「自分のことを話すこと」に意識が向い
ているという共通点が存在します。
人間は、初対面の人に防衛本能が働きます。
自分や会社、商品のことをガンガン売込んで
くる人には、心を閉じてしまいがち。
そして、人間には相手を第一印象で意味付け
てしまう性質がありますが、一度付いたイメ
ージを覆すのは容易ではありません。
初対面で悪印象を与えてしまうと、二度とは
会えず、挽回のチャンスすら与えてもらえな
い、ということに繋がってしまうのです。
反対に、初対面で相手の防衛本能を取り除き
良い印象を与えられたら、その後の信頼関係
構築がずっと楽になるということなのです。
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相手に良い印象を与える行動心理に基づいた
テクニックも存在します。
「ラポール」という臨床心理学用語がありま
すが、簡単に言い変えると「信頼関係」のこ
とです。
信頼があれば安心感が生まれ、「この人とは
もう一回会ってもいい」という意識が芽生え
ることになります。
具体的には、「5つのイエス」というものを
、意識して集めるように勤めましょう。
相手の話しに、そうですよね、なるほどなど
と「同意」する。良いネクタイですね、良い
声ですねと相手を「承認」すイエス。
また、今日はとても良い天気ですね、など、
さりげなく相手からの同意(イエス)をもら
い易い言葉掛けも有効ですよね。
多すぎるとわざとらしいですが、4、5回の
イエスを繰り返す会話で、相手の防衛本能は
解けていくものです。
冒頭の先輩営業マンの頭の中は、自分が話そ
うとすることばかりが占めていたのでイエス
が1回も無かったのです。
相手は営業マンが何を考えているのか解らず
不安に感じていたのです。
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また、相手に話して貰うといっても、質問攻
めだけでは信頼関係が築けないことも確かで
、ここでは「返報性の原理」も重要です。
相手が話したことをオウム返しで繰り返した
り、要点をまとめて繰り返して、しっかりと
話しを聞いているという態度を示します。
ここで重要なのは、技術的なことよりも相手
を尊重し、関心を持っているという熱意を伝
えることです。
初対面では、相手に話しがちゃんと伝わって
いるかドキドキするものです。話しをしっか
り聞いてくれる人には安心感が高まります。
後輩営業マンは、口下手ですが、相手の話し
に熱心に傾聴して同意し、話しの要点をまと
めて伝えたことに安心感を得られたのです。
もう一つ、傾聴して承認するためには、質問
力も重要になります。相手との距離を一気に
縮める「希少性の原理」を意識するのです。
例えばお互いの出身地や卒業した学校が同じ
とか、同じスポーツをしていたなど、途端に
話が盛り上がることがありますよね。
「共通点」というのは、活発な会話の糸口に
なるのです。偶然の一致を探すためにも相手
により興味を持つことは不可欠です。
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以上の、傾聴、承認、質問のスキルは一朝一
夕に身に付くものではありませんが、日頃の
心掛けでその力は身に付いて行くものです。
先ずは周りにいる同僚や先輩、上司の日頃の
変化に関心を向けてはどうでしょうか。家族
でも結構だと思います
髪を切ったり、新しいスーツや靴に気づいた
時に、雑談のなかでそれに触れてあげたりと
いうことを意行うのです。
日頃の生活の身近なところから観察力を養い
、自然と相手を尊重し、関心と興味を持てる
ような習慣を身に付けて参りましょう。


