本年も新入社員を迎え、一ヶ月強が経過しました。
桜の季節が過ぎ、青い空、青葉、眩しい陽射しの日 が増えてきました。
そんな明るい季節とは裏腹に、毎年心身の不調を訴 える人が多くなる季節でもあるのです。
いわゆる「5月病」です。
卒業、入社、住環境や人間関係の予想以上の変化。 緊張の時間の連続から開放され、一息ついたその時。
「やる気が出ない」、「気持ちが沈む」、「体が重い」・・
こういった自覚が進むと、「何もしたくない」、「誰 にも会いたくない」とマイナスの循環に陥ります。
確かに心身の不調を訴えが多く、事故、病気が多発 することは、実務上で強く実感をしております。
心身のダメージが深くならないうちに、やれること。
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とにかく人と「話すこと」、「伝えること」なのです。
たかが話すことだと思う人は確かに多いのでしょう。 「されど話すこと」なのです。
一般的に、心身の不調の回復に時間を要する方々
に、「話す場」を持たない人が圧倒的に多いのです。
単身世帯(赴任)で交友関係も少なく、コミュニテ ィに参加も無い、人と直接話す場が無い方です。
実は、日本の自殺者の70%は男性なのだそうです。
さまざまな原因はあるにせよ、一つには、やはり男性 の方が話をする機会が圧倒的に少ないのは事実です。
一昔前、そう、リーマンショックくらいから、会社という 組織は、えらくギスギスしたものになった気がします。
経費節減で、忘新年会、歓送迎会は任意の会費制、 旅行も運動会も無くなり、帰りにちょっと一杯も激減。
上司部下、男女間で、悪気も無い冗談でも飛ばせば、 即刻パワハラ、セクハラで訴訟まで発展する時代・・・。
社員同士が仕事以外でコミュニケーションを取る場が 失われ、個人主義が当たり前の生きにくい時代です。
一日の大半を過ごす職場が、仕事の報告と連絡しかないと いう環境で、自分の思いなど話せません。
そのような環境が、新人、ベテランを問わず息苦しい場所へ追い 詰めているのは、5月病の原因としては明らかなのです。
そんな中でも、やはり何らかの会話は必要なのです。
けっして馴れ合いを推奨するものではありませんが。
ぎこちなくても、笑顔の挨拶をこちらから続けましょう。挨拶から会話に繋がる糸口が必ず見つかるのです。
メール、電話、他のSNSでも、実際に言葉を交わして いる、いないでは、相手に対する気持ちが全く違うものとなるのです。
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自分の状況や思いを「話す」ことは、カタルシス(浄化 作用)に繋がります。
「話すこと」でカタルシス効果を得て、自分の気持ちを すっきりさせることが出来るのです。
自分の中で相手に伝わるように言葉を置き換えて話すと いうプロセスが自分自身の気持ちの整理にも繋がります。
その繰り返しが安定を生み、癒しと余裕が生じます。
無理に相談したり、いきなり深い悩みを一方的に打明けたりするのは逆効果ですし、後悔に繋がってしまいます。
浅いところから徐々に話を始めれば、話すべき相手と内容の 配分が解ってきます。話せる人は意外と身近にいるものです。
話すことが少し楽になると、自分の気持ちが明確になり、新たな自分の気持ちの発見にも繋がります。
自己理解が深まり、自分の価値観もハッキリと見えてきます。 その価値観は、その後の人生の選択と決断の上で重要な意味 を持つことに繋がるのです。
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人生は選択と決断の連続です。最終的に何かを決めるのは 自分自身でしかありません。
自分の意志で選択し、決断したことについては、後悔する 頻度が低くストレスも軽減されます。
その場合、主観的な考えに偏りすぎることなく、相手との 会話によって自分には無い、物の見方を知った上で最終的 な選択と判断をすれば良いのです。
気持ちが落ち込みがちな方もはもとより、そうでない方も、 先ずは身近な人との気軽な会話を積極的に取り入れるよう 実践しましょう。
心の浄化を進めて、辛そうになる時間をうまくかわして、 5月病なるものとは無縁な生活として参りましょう。


