インソムニア 70点 | 映画はともだち!

インソムニア 70点

こちらは「ダークナイト」で一躍有名になったクリストファー・ノーラン監督作品。(2002年公開作品)後から気付いたが、製作総指揮にはジョージ・クルーニーとスティーブン・ソダーバーグの名が。なるほど、だからこそ主演アル・パチーノ、ロビン・ウィリアムズ、ヒラリー・スワンクといったアカデミー賞受賞役者をそろえられたのね、と納得。

アラスカの田舎町にLAから2人の刑事、ドーマー(アル・パチーノ)と彼の相棒ハップがやってくる。この田舎町で17歳の少女が撲殺された事件を解決するためだ。
そんな折り、彼は少女殺しの犯人をおびき寄せる作戦の最中、誤って相棒ハップを射殺してしまった。しかしドーマーは咄嗟に少女殺しの犯人が殺ったと嘘を吐いてしまう。
アラスカの白夜と自責の念からドーマーは、不眠症に陥ってしまう。そこへ少女撲殺の犯人からある取り引きの電話が入る。それはハップの射殺の一部始終を見ていた犯人から、その事実を黙っているかわりに、少女殺しを隠ぺいしないかというものだった。
そしてドーマーは自分の身を守るためにその取り引きに応じてしまうのだった。

本作品の見所は、少女殺しの犯人を捕まえることではない。
ドーマーは悪を憎み、善良な人々を守るために自分の信念を貫き、職務に努めてきた。しかし悪から罪のない人を守るため、悪に裁きを与えるために、証拠を捏造してしまった過去がある。

彼にとってそれは悪を捕らえるためという大義名分のためだったか、自分の信念に背いていたため、胸につかえていた。
しかし、今回の工作は自責の念から逃れ楽になるため、捜査官という自分の身を守るためでしかなかった。

他人は騙せても自分だけは騙せない。その時に、その人間の本質が試されるのだろう。

彼が最後にどのような決断を下すのか、そしてまだ汚れていない新米刑事エリー(ヒラリー・スワンク)に何を伝えるかが見所だろう。

ドーマーを通して人間の脆弱さ、そして善を信じていた人間が悪になるのはほんの一瞬で、またその時にどのような選択をするかによって善悪のどちらを進むか変わってくることも、この映画から学ぶことができる。

重苦しいテーマだな、、、とこれを読む限りでは思われてしまいかねないが、そこはクリストファー・ノーラン監督。
テンポよく描いているので、退屈しない。サスペンス自体は、田舎だから通じる安易なもので、逆にツッコミを入れたくなるが、そこが本質ではなく、私たちはドーマーに感情移入しつつも、でもこのままドーマーが隠ぺいし続けたら、被害者は報われないよね?と罪悪感を感じながら、ドーマーが捕まって欲しいような欲しくないような複雑な気持ち故に物語の展開をハラハラ見守ることができる。

また白夜と自責の念により不眠症になるアル・パチーノの名演が光っている。最初と最後では、お父さんの背中こんなに小さかったっけ…または、不倫相手のお尻ってこんな皺々だったっけ…という感情とリンクするくらい名優がしょぼくれちゃっている。(褒め言葉)

ただ、これ実は1997年のノルウェーの同名映画のリメイクなので、ストーリー自体はクリストファー・ノーラン監督ファンとしてはもう一捻り欲しかったところだが、見ておいて損はない一本だ。