市民ラジオの話 Final | 中年ブロガーとその生活

中年ブロガーとその生活

ラジオや無線が趣味のおっさん
運転免許に続き、ついにJN1WFSの局免が失効してしまった

いい加減市民ラジオはいいだろうと

言われそうですが、これが最終稿に

なります(たぶん)のでお付き合いの

ほどお願いいたします。



さて、簡易無線である市民ラジオも

歴史のある無線システムになりました。


昭和38年以降の外部アンテナ/PTT禁止

になって以降、大雑把に分けると

以下の時代に大別できます。


① 前期検定合格機 時代 ~1975

② 中期検定合格機 時代(呼出名称の変更) ~1980

③ 後期検定合格機 時代(呼出名称の変更) ~1982

④ 旧技適 時代 ~ ?

⑤ 新技適 時代 ← 現代


②は呼出名称が変わった以外に、8ch全波

搭載が許可されています。


②と③は電波監理局の事務が電子化

されたことに伴う呼出名称の変更で

ハードの仕様変更はありません。

地方によっては市民ラジオの免許状の

発行事務が電子化されない電波監理局も

あったようです。


②と③の変遷を1枚で表すことが
出来る、比較的発行枚数が少ないと
思われる免許状を持っています。

呼出名称は②時代のものですが、
様式は③時代のものです。
「免許の年月日」と発行日の違い
を見てもらうとおり、10ヶ月の開きが
あり、この期間に免許状発行事務が
電子化されたのでした。
記憶が正しければ、変更があったのは
9月です。

ちなみにこの免許状は、2ch機から
8ch機に機種変更申請して発行された
もので、呼出名称を引き継いだため
このような内容になっています。

免許状の裏面。
注意事項が記載されており、
通信(交信)手順の例があります。

この免許状では「チヨダAB112」
「チヨダAB113」が使用されました。
旧様式では「ちよだAB12、AB13」

でした。


これら以外に旧様式と新様式の

決定的な違いは、旧様式には

免許状とは別に名刺大の「無線局

免許証票」が添付されており、

移動運用の際は、免許状ではなく

証票を携行すればOKでした。


新様式は、様式自体が小型化され

二つに折れば証票と同じサイズに

なるため、証票は発行されず、

免許状に携行義務が課されました。


そういうこともあって、私の

無線局免許証票もどこかに紛失

してしまいました。。残念です。



④ 旧技適 時代の技適証明ステッカーです。
このステッカーが貼られたものは
無線局開局申請が不要です。
ハード要件としては、PTT付きマイクが
許可され、より無線機らしくなった
ことでしょうか。

では、検定合格機はどうすれば良いか?

使用する無線機に対して発行された
無線局免許状あるいは無線局免許証票
の原紙かコピーを携行すれば使用可能
です。
これは、今日でも有効です。

逆を言えば、免許されたことが証明
出来ない無線機は使用出来ません。
これは、総合通信局にも問い合わせして
確認しているので間違いありません。

ただし、呼出名称は使っても使わなくても
構わないそうです。

検定合格機以前の市民ラジオは、
免許状について、申請した人が管理
責任を負い、免許状にも氏名と常置
場所が記載されます。
しかし、厳密には免許は人間に下された
物でなく、無線機個体に紐づくため
当時から申請者と別の人間が使用する
ことは可能でした。
アマチュア無線の、ゲストオペレーター
と同じイメージです。

逆にいうと、複数台所有しても全て
運用可能にしたければ、全てに
免許状を受けなければならず、
かつ無線機ごとに呼出名称を使い
分けなければならないということ
です。
当時から複数台所有していたリッチ
な人はいましたが、使うリグごとに
コールサインが違う人は見たこと
ありませんでしたし、
私のようにトランシーバーを買い
替えて、律儀に変更申請して継続
していた人も超少数だと思われます。

あれほど違法CB局を敵視しながらも
半ば無意識に自身も違法運用していた
市民ラジオ局も多かったでしょう。

そして今日、検定合格機を免許状、
免許証票の存在を証明出来ないまま
中古機を使用している人も多くいる
と思われます。

もっとも、免許状、証票共に
合格登録番号や機種名など個体を
特定する情報の記載もなく、総通局
にも当時の免許情報は残っていない
そうなので、適当な証票をそれだと
言い張っても偽物だと証明する手段が
ありません。
それに高々0.5WのHFハイバンドの
簡易無線でガタガタ言う人も居ない
と思いますけどね。


いよいよ最後です。
⑤ 新技適時代に入るとほとんどの
メーカーが市民ラジオの開発/製造
から撤退しました。

旧技適以前の無線機は、旧技適マーク
が貼られている、検定合格機は上述
した通り、免許状類の添付によって
令和4年11月30日まで使用可能です。
(無期限で延期されたようです)

メーカーの撤退によって、パーソナル
無線のように自然消滅の道を歩むと
思われていました。
しかし、古い検定合格機/旧技適機を
改造して新技適に対応させる企業や
個人の、生産台数に制限がありながらも
新製品を発表する小規模企業の登場
があって、今でも根強い人気を誇ります。

無線従事者免許が不要な無線局で
唯一無二のHF帯を使用する市民ラジオは
VHF以上を使用する他の無線システムに
比べて、伝播の不確定要素が満載です。
直接波、電離層反射波での遠距離通信が
期待出来るので、人気が廃れないのでしょう。

当初、総務省は26/27MHz帯について、
漁業無線を国際VHFと、それに近い国内
専用帯域にシフトさせ、市民ラジオの
消滅を待って、別の用途への割り当てを
検討していたようです。

小規模メーカーと一部のユーザーは
それを阻止せんと立ち上がったという
向きがあります。

結局、市民ラジオも特定小電力無線局も
旧技適以前の機種は、今年の期限満了を
越えても使用可能になっています。
(期限未定)

まあ、今さら中途半端なHFハイバンドは
再割り当ての用途がないのではない
でしょうか。

ちなみに、新技適に対応した無線機は
現時点で新品を入手可能なのは1社のみ
最近まで販売していた2社の製品を
入れても、8万~20万円と洒落にならない
高額商品になっていて、往年のように
1万~4万円程度だった時代とは比べ物
になりません。
当然、主力購買層は40代後半以上のおっさん
です。

市民ラジオと言えば、ヤングHAMがHAM
になる前の登竜門的な無線システムだった
時代を考えると、隔世の感を否めず、
市民ラジオには哀愁が漂います。


自分なら、だったらFT-818ND(実売7万)
を買って、アンテナを自作して50MHz帯
AMモードで遊んでいた方が楽しいよなぁと
思うんですけどね。

八重洲無線 FT-818ND。名作817の後継機。
コンパクトなボディに凄まじい高スペック。
(運用には4アマ免許以上が必要)

経験的に、27MHzと50MHzなら、
後者の方が地表波の伸びが上で、冬季でも
長距離伝播があります。
茨城県土浦市 ↔ 岐阜県をヘンテナ+1W
AMモードでQSOに成功してます。

この話はまた次回以降にでも。