前回の安井の記事(どうなるRTB市場2013!? in the U.S and Japan)が好評でしたので、今回は米国同様、日本でも拡大が予測される動画広告について、データ分析的観点から書いてみます。
広告出稿側(広告主の方)がこの記事を読んでいただくことによるメリット配下の通りです。
『動画広告の価値を適切評価して、拡大を続ける動画広告市場で、他広告を含めたメディアプランニングに役立つヒントを与える。』
ご興味ある方は最後までお付き合いください。
目次
①現状の課題とその弊害
②課題解決のための分析
③分析の結果
④今後の分析
①現状の課題とその弊害
現状では、多くの広告主の方は、動画広告に期待を寄せていることを感じています。
一方、直接CPA(※)で評価した場合に、他広告(例えば検索連動型広告)と比べて、広告効果が悪い場合が多いと思います。
そのため、動画広告に対する広告予算の拡大配分に踏み切れない、これが課題ではないでしょうか。
要するに、
『動画広告に対して期待を寄せているのに、その適正評価ができていないため思い切った投資ができていない。』
ということが、現状の課題であり弊害なのだと思います。
そのような状況ですので、逆にチャンス!
『いち早く動画広告の価値を見出すことができれば、同業他社と比べて猛烈なスタートダッシュをかけることができる。』
と考えています。今なら安く入札できる場合もあると思いますので。
(※)CPAとは
Cost Per Actionのことで、1成果あたりにかかったインターネット広告費用の事を指します。例えば、保険の広告主で、資料請求を成果としている場合、①資料請求を獲得するために費やした平均コストのことを指します。
②課題解決のための分析
繰り返しになりますが、
直接CPAだけでの評価では動画広告を適正に評価できない場合が多く、動画広告の特性を考慮した適正な評価が必要です。
適正評価が実現すれば、動画広告の価値を定義すことができるため、複数種類の広告出稿の中で、それらと動画広告を有機的に連携して、評価結果をインターネット広告の全体運用のヒントにすることができます。
今回は、動画広告の評価軸の一つとして、動画広告の検索行動(自然検索)に対する影響を見てみます。データ分析の一例とお考えください。
④分析の結果
ここからは分析の結果を紹介します。具体的には、ユーザー行動履歴データから以下の量を計算します。
『動画広告を見たことにより、自然検索のクリックされる確率がどの程度上がるか。』
弊社の計測ツールCAMPで計測した結果を紹介すると、複数の事例で検証した結果は以下の通りでした。
(詳細な話ですが、CAMPを活用しているため、クリックベースの計測です。)
150%~200%上昇
よって、一定の影響はあったと結論できます。
この値が計算できると、動画広告により、検索クリック数がいくつ増えたかも定量化できます。
正直な話、この結果を施策に落とすことは、難しい面も多々あるのですが、このような方法で、動画広告に対して一定の評価を与えることができました。
例えば、仮に上記の値が大きく、かつ検索クリック数の増加が大きければ、検索を誘導する広告として動画広告を定義して、新しいKPIを定めることもできるわけです。
④今後の分析例
まだまだ、この手の分析ではすべきことが多いと思いますが、以下に分析例を上げます。
実際に弊社でやってる例も多々ありますので、ご興味があればぜひご相談ください。
・動画広告を閲覧しただけ(Viewしただけ)のユーザーで、検索行動に対して、今回と同様の結果が得られるか。
└より適正な動画広告の評価は可能か。Viewの効果はあるか。
・TVなどマス広告にマッチしたウェブ動画広告はあるか。
└動画広告とマス広告を含めた(データ分析を元にした定量的で)トータルなプランニングは可能か。
・マス広告とウェブ動画広告はどちらが広告効果があるか。
└マス広告もウェブ上の動画広告も、ユーザーが見るのは同じ動画なので、効果としては対等かもしれません。ちなみに、マス広告のウェブ世界への影響を定量化することも可能です。この点は、後ほど別の機会に。
・出稿額の大きいマス広告の効果を、比較的出稿額の小さなウェブ広告で、事前検証は可能か。
└ウェブでの動画広告の効果が適正に評価され、かつマス広告との効果の相関が確認できれば、ウェブ広告主導でマス広告のプランニング!なんて日も近いかもしれません。まあ、マス広告は高価ですから、リスクの観点からウェブでの事前検証はやるべきですよね。
・特にスマートフォンですが、動画広告を見たユーザーの一定以上の課金確率が上昇するか。
└課金率向上にとって、動画広告は別次元の価値を持つか。
上記、いずれの場合も、動画広告の適正な価値を見出すことにより、様々なご利益があると思います。
最後に
現在、弊社では、動画広告のデータ分析に力を入れており、動画広告を含めた広告全体のプランニングにより、広告主の方に新たな価値を提供したいと考えています。
ご興味ある広告主の方は、メリットのある分析ですので、弊社営業を通してご相談いただければと思います。