どうなるRTB市場2013!? in the U.S and Japan | インターネット広告代理店で働くデータサイエンティストのブログ
こんにちは、しばらく@hokagawaさんの記事が続きましたが、本日は安井(@housecat442)が担当させていただきます。


僕は海外の大学院を出ていることもあって、稀に海外情報収集要因としても駆り出されたりしており、そんな業務の中で読んだRTB市場の予測レポートが興味深かったのでサクッとまとめたいと思います。最後にまとめを載せているので、細かい事はいいやという方はまとめだけ読んで下さい。


今回紹介するレポートはIDCの"Real-Time Bidding in the United States and Worldwide, 2010–2017 (Q4 2013)"です。

Pubmaticがスポンサーになっているという事なのでpubmaticの方からダウンロードできる形になっています。英語が読める方はこちらの方をダウンロードして直接読んで頂ければと思います。



さて、このレポートでの注目点は以下の3つです。

1.RTB市場は2017年には140億ドル程度までに拡大します。
2.拡大する大きな要因は”
direct online display ad rtb"にある。
3.日本ではどーなるのか?



1.RTB市場のU.Sでの推移予測

(Source:IDC,2013,Real-Time Bidding in the United States and Worldwide, 2010–2017 (Q4 2013), p.25 table2)



(Source:IDC,2013,Real-Time Bidding in the United States and Worldwide, 2010–2017 (Q4 2013), p.25 table2)




レポートの中では単純にテーブルで数字が並んでいるだけでしたので、グラフに直しました。グラフでは動画・モバイル・direct rtb・indirect rtbの4つの商品が今後どのように推移するかが描かれています。実数値は二つ目の画像の表に書かれています。

ざっと眺めてみてまず疑問に思うのが、direct/indirect online display ad rtbってな~に?
って事だと思います。


IDCの定義にのっとると、広告枠を売るときに広告主に直接売る方式がdirectで、間接的に売る方式がindirectになります。

つまり、アドネットワーク・エクスチェンジ・SSP・DSP等を介して広告枠を売る場合にはindirectとなり、それらを介さずに売る場合はdirectという事になります。

indirectでRTBというのは上に出てきたラインナップを見ると納得が行きます。しかし、directでRTB???何それ?というのが僕の最初の反応でした。ここに関しては次のパートにて説明する事にしてちょっと動画広告の話をしましょう



恐らく海外サイトを見ない方にとっては動画広告がこれから伸びます!と言われてもあまり実感が沸かないかと思われます。

しかし、海外サイトの多くでは動画広告のコンテンツは非常に多く見かけますし、その効果もそれなりに有るだろうと僕は考えています。

例えば海外のTV番組は公式サイトで全話公開されている事が多く、その殆どには動画広告が入っています。
たとえば僕が毎週欠かさず見ている有名なブラックユーモアアニメのサウスパークは、最新シーズンも含めて全話
公式サイトで公開されており、動画の始まる前・途中に広告が入る様になっていました。

幾らかのページで動画を見てみると解ると思いますが、動画のコンテンツそのものと動画広告で宣伝しているコンテンツも非常に親和性が高いものが多いです。公式サイトで動画が配信されている場合、コンテンツそのものに興味があるユーザー像を想定すれば良いのでターゲティングも行い易いですね。
(因みに僕はサウスパークの動画を見ている最中にあるコメディミュージカルの動画広告を見て認知して調べてCVに至りました。)


現状だと日本の動画広告は動画ポータルサイトでの展開が多く、ユーザーの興味にマッチした動画広告を当てるという事は出来ていない様に思えます。が、動画DSPの様な物はある程度ユーザー興味と広告のマッチングを実現化してくれるんじゃないかなと思います。


お前データアナリストなんだからデータで動画広告の可能性をを語れよと突っ込まれそうですが、その部分に関しては@hokagawaさんに託したいと思います。





2.大きな成長要因とされているindirect online display adって何で成長するの?


先程の復習:アドネットワーク・エクスチェンジ・SSP・DSP等を介して広告枠を売る場合にはindirectとなり、それらを介さずに売る場合はdirectという事になります。

「directでRTB???何それ?必要なの?メディアって純広の方が儲かるんじゃないの?」


って思いますよね。僕も思いました。
レポートの中でもはっきりと「メディアが持つRTBに対する究極の懸念は”金”である」と書かれており、より詳細としては「今まで純広告として売っていた物をRTBで売ってしまうとindirectとの競争に曝されて価格が安くなってしまい、結果同等の収益が上がるとは到底思えない。」という事が書かれていました。

しかし一方では広告主は同じものがRTBによってより安く手に入るということで歓迎しており
、広告主はdirectを歓迎している一方でメディアが収益減を懸念している為に今まで広がってこなかったという事になります。

これらの点は最低入札の価格設定や、メディアで保有しているデータの活用や、Guaranteed Upfront Sales 等での解決が行われつつあり、さらにRTBを利用した広告がブランドキャンペーンにおいても有効である事が言われプレミアムの価値が揺らいできている事も後押しして今後メディアがより広告枠をRTBに出してゆく事になると考えられています。





3.どーなる日本市場?


さて、北米のレポートについて色々と話したわけですが、日本はどーなるんだ?という疑問を当然持つかと思います。
素晴らしい事に今回紹介しているレポートには世界各国の市場予測も含まれています。下のグラフは北米のグラフと同様にレポート内のデータをグラフに起こしたものです。


(Source:IDC,2013,Real-Time Bidding in the United States and Worldwide, 2010–2017 (Q4 2013), p.29 table2)



2013年現在では大体400億円の市場規模で、今後2017年までに1100億円程度の市場になるだろうという予測になっています。MicroAdの出している
こちらの予想とも大体整合しているかなという規模ですね。

北米と比較すると動画RTBの伸びが小さく、モバイルの成長が強いといった感じになっています。

またRTB市場自体の成長はU.Sに比べると低いという結果になっています。レポートでは日本市場が構造的にRTBに適していないのではなく、RTBが出始めた時期に不況に突入してしまったために十分な展開が出来ずRTB市場の成長が遅れてしまっていると分析しています。




まとめ

1. U.SでRTB市場は2013年現在およそ30億ドル程度だが、2017年に140億ドル市場まで成長すると想定される。
2. 成長要因は動画・モバイル・directの3つで一番大きな要因はdirect online display adで、その中でも
Guaranteed Upfront Salesやデータ活用
3. 日本市場では動画の成長はあまり見込まれていないが、モバイル・directの成長がRTB市場の成長を牽引してゆくと想定される。



多少気になる点は、このレポートって市場予測としてはどんな精度があるのかな?という事です。ただ、市場データを持っているわけではないので予測モデルを組んだりすることが出来ないので、今回は他の市場予測との比較を行いました。



(Source:IDC,2013,Real-Time Bidding in the United States and Worldwide, 2010–2017 (Q4 2013))
(eMarketer,2013, eMarketer Ratchets Up RTB Forecast)
(Forrester,2013,Digital Media Buying Forecast)



まぁ大体どの予測も似たり寄ったりという規模ですね。
互いが互いの数字を参考にしているとか、情報源が全く同じであるとかでなければIDCのレポートにそれなりの整合性がある事が期待できそうです。