★三叉神経痛


Q(質問)
  京都市57歳女性です。
半年くらい前より、時々、右側の顔面や上顎、歯や歯ぐきまでが、激痛に見舞われます。
それも突然やって来て、数秒から1、2分の短い時間、この世の地獄と言ってもいいくらい痛みます。
近くの医者にかかると「三叉神経痛」と告げられました。
虫歯が原因の場合もあると聞きましたが、詳しく教えてください。



A.
  はい。
確かに、ある程度進行した虫歯が原因で、この「三叉神経痛」がおこることがあります。

まず、この三叉神経痛ですが、その言葉通り「三叉神経」が支配する領域におこる「神経痛」です。下図をご覧ください。




図の中の特に黒く、(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ)とあるのが、「三叉神経」です。

図のように、「ガッセル神経節」という神経細胞のコブから三本に別れて、顔や頭の前半に行きわたり、その領域の知覚(感覚)をつかさどっています。下図をご覧ください。

仮に、原因が三本に枝分かれした先の場合には、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲそれぞれの斜線の領域に「神経痛」が出ることになります。

また、特徴として、それぞれの枝が痛む時には、下図中の(×)圧痛点・・・即ち、神経の出口をおさえると圧痛があります。



それぞれ
(Ⅰ)眼神経
(Ⅱ)上顎神経
(Ⅲ)下顎神経
という名前がつけられており、特にこの中でも、(Ⅱ)の上顎神経の領域の「三叉神経痛」が多いようです。

歯科に関係するのは、この中で(Ⅱ)と(Ⅲ)ですが、実はこの「三叉神経痛」というのは、原因を特定するのはとても難しく、神経中枢説から末梢説までさまざまなものが存在しています。

〈原因〉を大きく分類すると2つに別れます。
1、真性のもの
      これは、神経自体に原因があり、特に多いのが、先ほどの「ガッセル神経節」の異常という説です。
ガッセル神経節周辺の血管が痙攣をおこすと考える研究者もいますし、周囲の骨の変化による圧迫と考える人もいます。


2、神経以外の病気のために神経がやられておこる「症状としての」三叉神経痛。
 これは三叉神経の近くに細菌が入って炎症をおこし、そのために血液がたまったり、神経が圧迫されたりしておこる。
例えば、梅毒などからくる骨の病気、虫歯、鼻炎、副鼻腔炎、中耳炎、眼病などが考えられます。
また、顔にできるヘルペスが原因という説もあります。
加齢による動脈硬化で血管の走行が蛇行し、三叉神経を圧迫することが原因とも考えられています。


〈症状〉の特徴
・痛みは三叉神経の支配する領域に限られる。
・正中線を越えて反対側に及ぶことはない。
・50~60歳代の女性に多く、30歳以下はごくまれである。
・なぜか右側だけの三叉神経痛が多い。
・間隔を置いて時々やってくるが、発作が終われば、ケロッと治ってしまう。
・顔にちょっとした刺激が加わると誘発される。指でさわったり、風が吹くとか、あくびなど。
•発作と発作の間は無症状である。
•触れると痛みが誘発するトリガーポイントがある。
•発作は数秒から数十秒で消失する。


〈痛みの程度〉実際の患者さんの言葉
・やけつくような
・えぐるような
・刺すような
・引き裂くような
・引っ張るような
・切り裂くような
・やけ火箸を突き刺されたような
・カミソリで切られたような痛み

・痛みで涙をぼろぼろ流す
・頭を抱えてしゃがんでしまう


〈治療〉
(神経以外に原因)がある場合はその治療を行いますが、(真性の特発性三叉神経痛)の場合には、カルバマゼピンという薬を用いて痛みのコントロールを行います。
また、この薬の副作用によって継続が困難な場合には以下の漢方薬に効果が認められておりますので、三叉神経痛の患者さまにおかれましては、どうぞ参考になさってください。
・五苓散
・柴胡桂枝湯
・小柴胡湯合桂枝加芍薬湯
・桂枝加朮附湯





イシズミ歯科医院
http://www.ishizumishika.jp/ 




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