TBSの昔の単発ドラマを2本見た。

 

●TBS「烏鯉」

もう20年くらい前の作品で、出演は松本幸四郎、西田敏行、永作博美で、脚本は池端俊作。

 

家族のために真面目にサラリーマンしてきた男と、ハッタリをかましながらも明るく陽気に生きてきた男。多くは後者でありたいと願いつつも、生活のために前者を選んで静かに暮らしている。このドラマでは前者の代表として松本幸四郎がサラリーマンを、後者の代表として西田敏行が的屋を演じている。この2人は幼馴染で数十年振りに出会った好対照な男2人のドラマが展開される。

 

この2種類の人物は片やツマラナイ生き方でともすれば担がれる人。他方は誰からも好かれる庶民的なキャラで喋りが巧いのでサギ師まがいのこともできてしまう奴。前者は「道に迷ったりしない」、「目的地に着けるか考えて生きてきた」と自分を正当化するが、そのじつ旧友の生き方を羨ましく見ていたのもホントだろう。

 

西田が一儲けを企てて幻の烏鯉を買い付けに行くため、松本幸四郎に同行を頼む。ただ、西田は一銭も持ち合わせがなく「必ず返す」と言うばかり。幸四郎は不審に思いながらも幼馴染のよしみと、永作博美から彼がガンだと聞かされたこともあり一緒に買付けに出掛ける。

 

暑い夏に大きなたらいを抱えて山道を登る。ようやく烏鯉を手に入れたものの、木桶に入れてリヤカーで山道を降りているうちに肝心の鯉が弱ってしまう。その度に2人は言い争う。しかも、幸四郎は「俺だって青いバラで成功すればお前のように生きたかった」、「アレがあったら俺の人生は変わっていたかも」と中学生の頃のわだかまりをぶつける。会社でトラブルを抱えている立場でそれは当然のことだが、思いやりを感じる西田の答えも彼の性格からして(ウソかもしれないけど)腹落ちできるものだった。

 

そう、このドラマは答えがないことに対して悶々と暮らしていた幸四郎に、旧友との再会が解を与えてくれるのが救いだ。でも、それ以上にジリジリと山道を2人で歩くシーンが印象に残るきわめて濃い良作だった。

 

<烏鯉を追いかける2人> ※TVerより

 

●TBS「恋」

2013年のドラマ。出演:石原さとみ、井浦新、田中麗奈、斎藤工、原田美枝子。

 

連ドラで活躍する前なのか、NHK「てるてる家族」の風貌がしっかりと残る眉毛が濃い石原さとみだった。井浦新とは名作「アンナチュラル」で2018年に共演しているけど、その5年前にこうして共演していたのだと知る。


このドラマ、井浦新が「スロウトレイン」に出演するのでこの時期にTVerへリストアップされていたのだ。

 

石原さとみは謎の夫婦(井浦新と田中麗奈)に気に入られて軽井沢に向かう。そこで事件が起きるのだけど、夫婦の謎が明らかになってもピュアな少女にはどうしても許せない世界があったのだ。

 

ただ、ラストで数十年後の夫婦の姿を見ると、あれは少女の気持ちを利用した企みだったのではないかとの疑念も浮かぶ。わざわざ銃の使い方を教えるとか、妻に対する過剰に寛容な姿勢を共有していたのは嫉妬の裏腹であって、取り繕った言動があざとかったのではないか。自分が結婚生活からのがれたいがための策略だったような気もした。もちろん邪推かも知れない。

 

震えながらこわごわした表情で銃を構える、そして至近距離からぶっぱなす石原さとみが新鮮だった。

 

<ぶっぱなす石原さとみ(3)> ※TVerより

 

 

 

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どちらも風邪でひどい咳と鼻づまり、のどの痛みでボーッとしている時期に見たので、コンビニでのど飴を買ってきたりのど飴が品切れだった日には大人になって初めて不二家のミルキーを舐めてみたり、そんな体調不良の時期に見た2本だった。

 

<のど痛に優しいコンビニの飴玉>