●TBS「義母と娘のブルースFinal」

正月早々、綾瀬はるかのドラマは嬉しい。彼女の表情ってバラエティで見せる天然系とは100%別人に仕上がっている。特に今回は直前の番宣でサルとホッケーゲームしていたので落差が大きかった。こういう企画に素直に乗ってくれる大女優は貴重な存在。だいたい他の女優さんだったらああいうのを引き受けないんじゃないか。

 

さて今回のドラマ、亜希子さん(綾瀬はるか)キャラが薄まっていた。まだ銀座キムタ屋を抜いて世界の麦田に成長させていないし、みゆき(上白石萌歌)に反論されても理屈で負けるなんてあり得ない。亜希子さんキャラが「老いては子に従え」と呟くのは50年早いんじゃないか。

 

<亜希子さんキャラは健在> ※TBSサイトより

 

ではどうして? Finalと唱っている通り、TBSとしてとにかく大円団でこのシリーズを終わらせたかったって事だろう。連続ドラマとして完成していたので、麦田のパン屋(佐藤健)を抜きにして亜希子さん主軸のストーリーを作るのは無理があり、親子のストーリーを組み立てるにもみゆきが大学生なので押し付けがましい説教も相応しくない。で、結婚ネタで盛り上げる事にしたんじゃないか。

 

だからこのSPドラマは連ドラ当時のキャラを懐かしく楽しめればそれでいい。

 

<義母ムスFinal> ※TBSサイトより

 

・無表情に徹した亜希子が被り物

・亜希子とみゆきが向かい合って土下座

・亜希子がみゆきの自転車に忘れ物をナイストス

・相変わらず漢字が読めない勘違い男の麦田

・いつも握手やハイタッチがかみ合わない亜希子と麦田

・麦田の「嫁に来ないか♪」と亜希子のかわし方も良かった

・下山不動産(麻生祐未)はTBSの綾瀬はるかドラマに欠かせない

 

曼殊沙華が咲く三途の川で良一(竹野内豊)をしっかり登場させて、家族の物語として〆め括った。抗がん剤やホスピスの妄想はあの母娘ならあってもおかしくない勘違いで済ませられる。

 

まあ難を言えば、みゆきのキャラ設定がヤケに雑で能天気なのと、亜希子さんが見せた一瞬の笑顔は作品の一貫性と合わない感じがして気になった。ネットでドラマの感想を読んでみると、どこかに「亜希子さんが何の制約もなくみゆきを自由に育てたからこそおおらかな良一さんキャラを受け継ぐ事ができた」みたく書いてあり、この意見に納得した。

 

あと、田口浩正の冒頭シーンは謎だった。何を言いたかったんだろうか? かつてTBS「私の運命」のMR役でキジマリンを売り込むワルを演じていたし、TBS「仁―JIN―」で橘咲と一緒にペニシリンを作っていたから、まあいいけど。

 

●NHK「デフ・ヴォイス」

聴覚障碍者家族のドラマ。後で知ったので後半だけNHKプラスで見てみた。「気が付いてもらえなかった子供も寂しいけど、気が付けなかった親はもっと寂しい」。この科白が重い。

 

あと、人差し指を角が出るように頭部でツンツンするしぐさが牛乳(or牛)を表しているのか。TBS「愛していると云ってくれ」の名シーン、豊川悦司と吉行和子のキツネと同じようにこういう場面はずっと記憶に残る。

 

●映画「桜色の風が吹く」

教育テレビで映画なんて珍しいと思ったのだが、半分くらい居眠りしながら見ていた。なかなか辛い現実だった。相手の指を押す事で聴覚障碍者とコミュニケーションする指点字を初めて知った。

 

●テレ朝「ガラスの城」

エリート商社で謎の事件が3つ連続する。いつもは優等生タイプの波留が暗いOLを怪演して、なかなか面白かった。

 

ストーリーの主軸から逸れるが、大森美香・脚本で屋上でOL3名がネコを前に雑談しているシーンも良かった。エリート商社と言えども仕事は単調で、いくらガンバっても足掻いているに過ぎない感触が伝わってきた。