最近のドラマはTBS「VIVANT」を除きパッとしないものが殆ど。2023年秋冬にいくつかの旧作ドラマをTVerで視聴したのでその感想をパラパラと、とりとめもなく書く。

 

●TBS「天皇の料理番」(全話)

これって民間版の大河ドラマ級の作品だった。中々に感動した。しかも「仁―JIN―」の南方先生のような善人でもなく、短気でケンカっぱやい男が料理の道を見つけて邁進していく姿は人間らしくて良かった。

 

石丸彰彦P、平川雄一郎D、森下佳子シナリオ、武田鉄矢、麻生祐未、桐谷健太が出演するのってTBSで綾瀬はるかが主演する時の鉄板の布陣じゃないか。これはスケールがデカイ。桐谷健太はauのCMと同じようなキャラでパリ修行時代も主人公にまとわりつく。他にはかない黒木華と、痩せこけていく鈴木亮平が主人公と全く対照的に描かれている。

 

放送されていた当時は休日出勤が続いてよほど忙しかったのか、1本くらいしか見た記憶がない。

 

佐藤健の姿は、後年のTBS「義母ムス」の麦田パン屋と同じキャラに見えた。「はいーっ」ってドスが利いた声も、短気で癇癪持ちなのも意識していたかも。今になって、TBS「義母ムス」の後にこの作品でこういうキャラを演じていたのかと初めて知る。ただパリ修行時代には落ち着いた顔つきになってなんだか唐沢寿明のように見えてくるから不思議だ。

 

宮中に仕える料理番になってもこの気質は変わらない。でも、役職が人を作るのはホントでこの重厚なドラマを見ていると民間人の大河ドラマそのものだった。

 

●TBS「陸王」(全話)

役所広司の主演で、演出はあの福澤D。この作品は竹内涼真が陸王を履いて勝つ、そのエンディングが透けているように感じて、当時はすぐに見るのを止めてしまった。でも2023年は「VIVANT」の勢いに乗って最終話まで視聴。

 

こういうのは日本人が好きなストーリーなんだよな。こはぜ屋の面々は1人1人が弱小企業の社員なんだけど、回が進むにつれて熱くなっていく姿がいい。

 

●日テレ「ホタルノヒカリ2」(第1話のみ)

綾瀬はるか作品の中でもベストはコレ。TBS「セカチュー」、「仁―JIN―」よりも好き。放送当時は見ていなかった。10年くらい前に体調不良で動けなかった時期に、DVDをまとめて借りて2クール全20話くらいを一気見している。しかも、3回くらい見返した。

 

その当時に感想をどこかにまとめたけど、見当たらないので詳細は割愛する。とにかく、ワルキャラの人物が全く登場しない、素敵女子のOLが縁側でゴロゴロしながらぶちょお(部長)とタメ口で会話する縁側ワールドは飾り気なく、素直に面白かった。

 

予算の大小じゃなくて一所懸命に(仕事に)取り組むとか、会社の屋上で勤務時間中に缶ビールを呑むとか、オンオフのギャップ、綾瀬はるかの弾けっぷりが良かった。

 

<TVerより(2)>

 

 

●フジ「フラジャイル」(第1,9,10話)

これは深夜残業で連日追いまくられていた時期だったのか、その存在を全く知らなかった作品。長瀬智也が頑なな病理医を演じる。彼はTBSを主戦場としながらもフジ、日テレでも主役が上手くハマるし、この病理医の役もいい。

 

治験メーカーが「中蓋が右上なら新薬、左上ならプラセボ」と小細工する様子が挟まれていた。肯定的な治験報告をしないと症例対象から除外すると凄む場面もあった。どちらも現実にありそうな話。確かに治験は必要であり必要悪でもある。

 

最終回で長瀬が「ドクターはデータを拠り所にするしかない」、だからデータ改竄はあってはならないと講演で暴露してくれたことでスッキリした。フジ「医龍」やTV10「ドクターX」など常に手術が成功する外科医のドラマより面白かった。

 

この作品は2016年のものだが、ここら辺りがフジの医療ドラマの限界だったんじゃないかって気がした。その後の作品を振り返ってみると「アンサング・シンデレラ」や「ラジエーション・ハウス」はローカルメディアなら許容されるとしても、薬剤師や放射線技師が患者と積極的に関わるなんて非現実的過ぎるのだ。