7/21は朝ドラ「らんまん」を見終わってから、金曜日なので「あさイチ」をそのままボンヤリと見ていた。金曜日はプレミアム・トークがあるので誰が登場するのか、それを確かめたかったのだ。

 

おっと、アフロのおばちゃんがいきなりTV画面に圧を掛けてきた。そう、稲垣えみ子だった。稲垣えみ子のトークをTVで見るのは初めてだった。これは見るしかない。

 

この人、TVも掃除機も洗濯機も持たない、サラリーマンである事も退けた元朝日新聞・編集委員の稲垣みえ子。一目見たら絶対忘れない外見だ。

 

<かつて読んだ「魂の退社」>


私がかつて、もう会社を辞めようかなって思っていた頃に彼女の「魂の退社」を読んだ。これでいいんだよな、と背中を押してくれた人でもある。私の知り合いの知り合いも会社を辞める前にこの本に感化されたらしい。

 

サラリーマンの社内力学に辟易としていると、自分の価値観まで全てそこに左右されてしまいそうな錯覚に陥る。でも違うよ、と彼女の「魂の退社」が囁いてくれたような気がした。電源コンセントなどなど自分の体にまとわりついたチューブを1本ずつ抜いていく、最後に残った1本がサラリーマン属性でそれも切ってみた、とかそんな文章だったと記憶している。

 

もちろん、この本ありきで会社を辞めた訳ではない。ITシステムの開発業務は好きだったけど、いつの頃からかシステム開発そのものよりも契約締結までに不毛な労力を割かれる事が多くて、ヘトヘトだった。子会社だから何でも親会社サマの言う事に肯首していればいいって訳じゃないだろう、そんなフツフツした思いもあったな。

 

それと、三菱サラリーマン氏が自著で「社畜」ってワードを露骨に使っていたけど、いつまでも自分の人生が自分の意思じゃないもので右往左往している状況も勘弁して欲しかった。2014年ころに読んだ雑誌WEDGEの特集記事「50代リセット」も揺さぶられるものがあったなあ。既にサラリーマンとしてやり切った感もあったので、別の道を考えるのに相応しいタイミングでもあった。

 

さて、NHK「あさイチ」では稲垣えみ子の暮らしぶりが映像で明らかになった。とにかくモノが少ないサッパリした部屋で、掃除機の代わりにホウキとチリトリ。エアコンもない。私も都内ではずっとエアコンなしで凌いできたけど、2019年だったか、とにかく耐えきれないほど過酷な暑い年があった。頭が朦朧としてきたので、コロナ禍の3年間は夏場になると殆ど田舎に引っ込んでいた。

 

キッチンもカセット・コンロ1つで賄っている。洗濯も洗面器で手洗いして賄っているとか。勿論TVもない。大したものだ。風呂はあるけど、ガス契約していないので銭湯で済ませているとか。確かに本で読んだ通り、この人は大物だ。


結果、電気代が月200円台と破格の安さ。ただ1つ疑問あり。どうしてそんなレシートがあるんだろう。私もかつて1,000円切った事あるけど、その時は来月にまとめて徴収するから0円だったけどな。口座引き落としだと必ず月次精算になるのか?

 

そこまでの生活レベルは「魂の退社」ともう1冊(本のタイトルは失念)を読んでいたので、そんなもんかで驚く事もなかった。

 

すいかを食べたくなったら、行きつけのカフェでみんなとシェアするのも、生ゴミが出ないので賢い。モノがなければ周囲の人とうまく折り合いをつけていくって事で、朝ドラ「らんまん」の長屋暮らしを見てそこに結びつけて喋れる人はほんとにレアな存在だ。鈴木アナも笑うしかない。

 

<7/21_NHK「あさイチ」より>


この人やっぱりタダモノではないと思い知ったのは、野菜やエノキの保存方法。冷蔵庫がないので、その日に使う分だけ買っているのかと思っていたが、カットしてからベランダで干していた。干すと味が出るとか、鳥は野菜を食べに来ないとか、サバイバル実践者にしか分からない事を喋り出す。

 

その極めつけが梅雨が開けたこの時期にのたまう「太陽は資源」って発言。そこまで言うか、と笑ってしまった。この暑い季節にここまで肯定的に言い切れる人材は貴重だ。どこまでもサバイバルできそう。