このシギリヤ村に締めて3泊したので、いろいろと遊んでみた。シギリヤ・ロック観光して象に乗るだけでなく、まだまだ遊べるスポットなのだ。世界遺産だけ見てすぐ次の街にいってしまうツーリストが多いだろうがそれでは勿体ない。

 

<日本人ゲストハウスの朝食、その解説、珍しい葉っぱ>

 

 

 

スリランカ・スタイルの朝食はスイーツ感覚で食べられるソフトなもの。かなりオススメである。尚、解説マンガは以下の本から引用した。東條さち子「海外でゲストハウスはじめました」第2巻(朝日新聞出版)の155ページ。

 

(1)ナイト・サファリ

サチコさんのゲストハウスに泊めてもらう。その晩、ニサンガの運転でナイト・サファリに出掛ける事になった。かなり高い確率で象が見られると言うのだ。それだけ村人と自然の距離が近いって事の証。期待も高まる。

 

象って昼間はノッシノッシとゆっくり歩くけど、夜も同じなんだろうか。シギリヤでは住居のすぐ傍まで象が近寄って来る事もあるんだとか。窓枠のすぐ外側に象がいて、こっちと目が合う事もあるとか。象に踏まれたら一巻の終わりであり、そんな光景を想像すると恐怖で固まってしまう。

 

かつて、ボルネオ島のジャングルでロッジに2連泊した事がある。昼間は暑くて堪らないので短いコースを歩いてはロッジに戻って水分補給する事の繰り返し。その都度、Tシャツが汗びっしょりになって着替えては次のコースに出掛けていた。ヒルに血を吸われた人もいたので、スニーカーの中にタイガー・リーチ(大きなヒル)が紛れ込んでいないか入念にチェックする事も忘れなかったな。

 

ボルネオ島では夜になると、トラックの荷台に観光客を詰め込んでナイト・サファリに出掛けた。夜の闇は人間には不向き。明らかに獣の世界なのだ。野生の動物の目がキラッと光るのが不気味だったなあ。

 

この晩のシギリヤのナイト・サファリ、1時間くらい懸命に走ってくれたのだけど、残念ながら象の姿を見掛ける事はできなかった。小笠原諸島のイルカやクジラもそうだけど自然相手の商売はガイドの方も苦労するなあ。

 

ナイト・サファリの魅力に関してはサチコさんのマンガ「海外でゲストハウスはじめました」を参照して欲しい。

 

(2)カヤック

ここでも蓮の花が綺麗だった。Mud-Houseのはピンクだったけど、ここシギリヤでは白い花だった。

 

<ヒツジグサみたい、蓮の花>

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カヤックは自分で漕ぐから楽しい。だけど、ここは蓮の葉っぱが湖や川を覆いつくしていて、水面下には茎がびっしりとまとわりついている。並みの腕力では漕ぎ進める事が出来なかった。3人乗りカヤックに、ガイド氏とサチコさんと私の3人が乗っていた。

 

しかし、蓮の葉で埋め尽くされた水辺はカヤックに不向き。非力な日本人のパドル捌きでは全く進まなくなった。

 

<ハスのヘタ、蓮の葉・蓮の茎だらけ>

 

 

ところがどうだ、ガイド一人の腕力で3人乗りのカヤックが進み始めた。根っこがバキバキに張り巡らされていて進めない所も、ガイド氏の並外れたパワーで漕ぎ進んでいったのだ。これには本当に感謝しかない。たいたい私は進んでチップなんて渡さないタチだ。けど、この時ばかりは笑顔でチップを渡した。

 

<まだまだ先は長い(3)>

 

 

 

ただ、カヤックから下りる時に事件が起きた。ずっとカヤックに乗っていたので腰が固まってしまい腰痛でよろけたのだ。陸に上がる時にバランスを崩した。で、腰や尻の辺りが水に浸かり、なんとデジカメが川に落ちてしまったのだ。ズボンのポケットからカメラがポロリと沈没! 僅か1分程度の事だが、マズイ。

 

カヤックのガイド氏は陽気なもので「大丈夫。ホテルに戻ったら乾かせ」と笑顔で言う。「ゲストハウスに戻ればドライヤーあるだろう。それで乾かせば使えるようになる」とのたまう。えーっ、と疑うが案外それは正しかった。

 

当日: バッテリーは水没でNG。予備のバッテリーで電源入るがデジカメは動かず。

翌日: 写真を表示できた。SDカードは無事だって事。

翌々日: 本当に動いた! なんとまた写真を撮れるようになったのだ!

 

(3)シギリヤ・ロックの隣りの岩

ここは岩がポツンと1つ在る訳ではない。炎天下の暑い中を更に30分くらい歩いた所にもう1つデカイ岩がある。ピドゥランガラ・ロック(Pidurangala)だ。そこにも登ってみた。

 

何事もNo.1とNo.2では扱いが違ってくる。当然だけど人は少ない。おそらく世界遺産シギリヤ・ロックと比べてツーリストの数は20分の1くらいじゃないか。入場料もシギリヤ・ロックの30USDに対して、こっちは僅か500Rs(約370円)と桁落ちしており、格差はハンパない。

 

なんの装飾がある訳でもないけど、岩そのものを登るにはこちらの方が楽しい。ここから眺めるシギリヤ・ロックもジャングルの中から忽然と立ち上がって目立つ存在だった。山頂で裸足のスリランカ人ご夫婦と記念撮影した。このご夫婦は隣村ポロンナルワから来られたとの事、とても優しい語り口だった。時間さえ許せば、一緒について行ってポロンナルワ遺跡も観光したいくらい。

 

<遠くにピドゥランガラ、その頂にて>

 

 

この岩山の下山中に、恥かしながら道に迷ってしまった。私が道迷いしたのはもう10年くらい前の三頭山の帰り道だった。都民の森から山頂を極めて、奥多摩湖へ降りる。ところが、途中で涸れ川に流木が折り重なってしまい道が途絶えていた。登り返すのは体力を消耗するけど、観念してやむなく30分くらい戻った事がある。

 

日本の登山だといつも目印となるピンク色のテープが木の幹に括り付けられている。いつもそれに頼っているので、ルート・ファインディング・スキルが衰えてしまったのかも知れない。

 

迷ったら上に戻るのが鉄則だが、大した高低差の岩ではないし、無理に藪漕ぎすれば降り切れるんじゃないか。しかもピドゥランガラは小高い丘だ。そんな身勝手な思い込みもあってズブズブ迷ってしまった。時間にして15分程度のことだけど、野生のカンを取り戻そうと敢えてもがいてみた。

 

シギリヤの森林地帯に忽然と立つ2つの岩山、それがシギリヤ・ロックとピドゥランガラ・ロックだ。前者は私が初めての海外旅行で訪れた赤褐色のエアーズロック(近年ではウルルと呼称するが英名の方が親しみを感じる)と土の感触が似ている。ただ、ここはそれよりもずっと傾斜が険しい。屹立した様はメテオラ(ギリシャ北部の天空の修道院)に近いのではないか。後者を私が登ったスポットで喩えると、ツルンとした羅漢寺山(山梨県)や便石山(三重県)の象の背がズバリと嵌まる。それだけ開放感がある岩肌の山頂だった。

 

【2022.12.23~24】赤字部分を訂正しました。