さて、翌日は観光客気分で天竜峡下りを楽しむ。実はこれって2つあったのだ。

 

天竜舟下り: JR伊那八幡駅から歩く弁天港→時又港

天竜ライン下り: JR天竜峡駅そばの天竜峡港→唐笠港

 

パンフレットから引用してみる。

「天竜川の舟下りは、もともと弁天や時又などの港から天竜川河口の港を結ぶ物資輸送の為の舟でしたが、大正6年(1917年)に遊覧専門の川下りが開始され、現在までおよそ100年続いています。」

 

さて、この日に乗ったのは「天竜ライン下り」で朝一の便だった。出航時間ギリギリに滑り込む。出発して5分ほどは天竜峡十勝と呼ばれる石の造形が続く景勝地を通過していく。奇岩が立ち並んでいる。タテに7文字くらい彫ってあるのだが、以前は天竜川がもっと浅かったようで見上げた時に同じ大きさになるように、上の方の漢字を大きく彫っているものもあった。芸が細かい。

 

<出航、天竜峡十勝>

 

 

飯田線の鉄橋や架橋をくぐりながらくだっていく。できれば手漕ぎ舟が良かったけど、49名乗りの木製の船はエンジン走行だった。因みに、もっと下流の静岡県・船明辺りではなかなかスリリングな手漕ぎ舟に乗った事がある。もう10年以上も前だけど、その後に転覆事故があって現在では休業している。

 

伊那谷の天竜川は大して川幅はない。偶に瀬があるものの総じて穏やかな流れだけど、以前にNZワンガヌイ川でカヌー転覆事故に遭っているので妙な警戒心はなかなか解けない。

 

<鉄製の構築物も存在感は僅か(2)>

 

 

新緑の綺麗な季節だ。マタタビの白い葉やウツギの白い花が左右の岸辺に見える。カワウが10羽ほど飛び立つ。魚がいるのだろうが、投網漁を何度か見せてもらったのだが、この日は収穫ゼロだった。

 

<新緑の天竜峡、投網、売店舟>

 

 

 

この売店舟を見ていて嬉しくなった。いかにも東南アジアのtasteだ。バンコクのウオーターマーケットにもありそうな雰囲気で好きだ。

聞けば、この近辺でカヤックやカヌーする人も多いらしいが、いずれも艇を持込みされているとの事。生憎カヤックのレンタル業者はいないとか。残念だ。やっぱり載っているのと、自分でパドリングしていくのでは全く濃度が異なるなあ。

 

<唐笠港、船着き場の上3mまで泥が堆積>

 

 

時間にしてどれくらいだったのだろうか、30分か、45分か。左岸に赤い屋根の建物が見えてきた。唐笠港だ。そのすぐ裏手にJR飯田線が通っており、唐笠駅に接続できるとの事。ドローン撮影のチームが3人乗船していた。そのため、普段なら川下りした後で飯田線か専用バスで天竜峡まで戻って来るのだけど、この日に限っては船で遡上してくる事ができた。なかなかラッキーだった。

 

以下は余談。昔は天竜川沿いに筏師って職業があった。飯田からずっと下流域にある鳥羽山公園(浜松市天竜区)と天竜川に挟まれた辺りに筏師の家屋があるのを見つけた事がある。因みに、浜松市天竜区の船明辺りでも川下りを行っており、かつて乗船した事がある。確かにライフジャケットを被っていた記憶はないけど、ほどなくして全国ニュースになった事故を受けて10年程前に営業を休止している。