新型コロナについて月次で投稿している。年が明けて事態が悪化しているのは辛い。今月は長くなりそうなので、2回に分けます。


今回: ヘルスケアの話題

次回: 私が体験した院内トリアージなど、コロナ周辺の話題

 

●ヘルスケア

(1)感染者数、重症者数、死者数

もう12月初旬までの報告者数がかわいく見えてしまうほど、異次元のphaseに入ってしまったようだ。およそGoToトラベルなんて誰も言い出せる状況ではなくなった。1ケ月前にはインフルエンザや肺炎の年間死者数と比べたら大差ないと書いてしまったが、訂正しなくてはいけない。菅政権が「東京の感染者数が500名/日にdownしたら緊急事態宣言を解除」なんて言っているけど、どう素人目にみても西浦教授(8割おじさん)のsimulationの方がスンナリと頭に入ってくる。

 

国内のグラフは毎日のように目にしているので、本日は南半球の3ケ国のこの1年のグラフを引っ張ってきた。


<Graphics_Reutersサイトより>

・ブラジル


・NZ


・オーストラリア

 

同じように昨年7~9月に冬を越えた3ケ国だけど、グラフの趣は全く異なる。オセアニアの2国は綺麗なペスト曲線を描いて急カーブで上下動しているけど、ブラジルは感染者数も死者数も一定期間に高止まりしていたのが特徴だ。しかも緯度が高くて一番寒いNZが最も好成績なのは、やはり政策の良し悪し次第って事なのか。

 

(2)自助って自宅療養の事だったの?

ニュースとかワイドショーを見ると、酸素飽和度70%で入院できないとか、入院待機者が7000人を超えているとか悲惨な状況だ。最も驚いたのは、自宅療養って何も薬を処方されていなくてただ我慢するだけだったって事。アビガンとか未承認の薬はさておき、いくらなんでも極度の熱発が数日続いているのにロキソニンとかカロナール等の解熱剤を一度も服用できないなんて明らかにおかしいでしょ。


辛い症状を緩和できる薬は手にできるようになっていないと不味い。それとも昨秋の所信表明演説で首相が言っていた「自助、共助、公助」ってとにかく我慢して自宅療養するって事だったのか。まさか……。

 

(3)命の選択、これは災害だな

NHKでも、首都圏では既に命の選択が迫られているとナレーションで語っていた。コロナ患者の症状が悪化する前に、人工呼吸器の装着を希望するか否か、患者や家族に確認している映像が流れていた。ある人は「もう70代だからそこまで望まない」と答えていた。

 

でも、いざ症状が悪化して苦しくなった時に、本当に同じ気持ちでいられるんだろうか。脳死後の臓器提供の意志確認カードとは全く意味合いが異なる。人工呼吸器を装着したから即ヒトが亡くなる訳ではない。


私もかつて2回ほど挿管された経験があるけど、ICUでの治療&看護には大変感謝しているし、あそこで見放されていたら今はなかった。最近の自粛警察とか同調圧力とかそんな空気がもっと支配的になっていくと「装着しない」事を強制されないかと、不気味な不安感を感じずにはいられない。

 

※参考ブログ:人工呼吸器とはどんなモノか

TVで「これは医療崩壊。国民皆保険制度が維持できなくなっている」と医師が喋っていたが、これではdisaster・災害だ。地震や津波は一発で事態を急変させるけど、感染症の恐怖はジワジワと判らない内に忍び寄って来るものなのか。

 

(4)変異種が静岡県で見つかった事

これがどれくらいのimpactがあるのか、東京に近いし東海道新幹線の駅は6コもあるし東西の往来が激しいからなのか、どう捉えるべきか判らない。


TVでゲノム解析しているのは英国でも感染者の10%程度、日本では感染者数が増えた直近だと4%くらいと伝えていた(1/19頃)。なので、その4%の中にたまたま静岡県の感染者が入っていただけで、東京や名古屋の感染者データもゲノム解析が間に合えばそこそこalertが上がってくるのかも知れない。