砂漠の写真を2日続けて紹介したが、どこでも微分出来そうな2変数関数の穏やかな曲線は正しく砂丘を思い起こすし、つい嬉しくなる。ただ、いざ読んでみると砂漠を歩くより難しかったけど……。
2020年後半に学んだ事はこれだった。コロナ疎開中にブルーバックスを1冊読んだけど、その続きに当たる。秋にはコロナ禍も一服していたので毎週1回、都内某所に通ったり、テキストを読んだりしてみた。演習問題や簡単な試験の計算問題は解けるようになったけど、頭の中はまだ茫漠とした中を彷徨っている感じから抜けられない。と言うのも、複素関数の本質とか定理のessenceを明確に語る事はできないためだ。こうした本質に迫るのは、かつて読んだ畑村洋太郎の本とか長沼伸一郎のブルーバックスに頼るしか術がない。ここでは面白いなと思った事を素人目線でいくつか書いてみる。
(1)多変数関数
・2変数関数が描く曲線をCGで真面目に見るのはこれが初めてだった。それはx,yを入力変数として、z軸に描かれるうねり(=曲面)だ。等高線とか山の稜線の方がimageしやすいだろう。それはなだらかな曲面なので車山のような穏やかなものが殆どであり、でも偶にクレバスとか深い池や海溝があって曲面が裂けている場合もあるのだ。写真で見るとこんな感じだ。昨年9月の弊ブログを参照。
※参考
「高校数学でわかる複素関数」を読んでみる | cx0293のブログ(登山やカヤック、海外旅行など) (ameblo.jp)
・2変数関数の偏微分は知っていたけど、2階の偏導関数を4つ並べて行列式のようにヘッシアンを計算する。そうやって極大値や極小値を求める技を知った。
<放送大学「解析入門」テキストより抜粋>
・球の体積とか錐体の堆積など子供の頃になんとなく暗記して忘れていた公式も、実は重積分する事でlogicalに求める事ができた。こうやって導出されると安心できる。楕円の面積もアナロジーで出せるレベルだった。
(2)複素関数
・前からテイラー展開は苦手だ。ただ、等比級数の和の公式からべき級数に展開している箇所があった。級数から公式に当て嵌める事は昔やった事があるけど、逆からそう見通す事ができるようになるのはセンスだな。
・遠い昔の記憶で、1の3乗根が3つあるって事は複素平面で考えると判りやすいな、そこまでは知っていた。でも、-1の6乗根とか16の4乗根を視覚的に捉えるのはもうちょっとハードルがあった。でも、極形式を使って角度は加算、距離は掛け算でトレースしていく事で理解できるようになった。そこに、オイラーの公式でeやiと三角関数が連動するので、三角関数を使った表現に繋げていけると記憶が定着するかも。
・例えば、f(z)=izの二乗とした時、地域は定義域に比べて大曲がりして広がっていく。これも最初は違和感があったけど、二乗で偏角が2倍角になる事と複素数iが90°回転させる事だとプロセスを分けて理解すれば視覚的に納得できる。
<放送大学「解析入門」テキストより抜粋>
f(a)=f(i)=-i θ=π/2なので2θ+π/2=3π/2に移動
f(b)=f(2)=4i θ=0なので2θ+π/2=π/2
f(c)=f(1+i)=-2 θ=π/4なので2θ+π/2=π
※定義域の偏角を2倍にしてπ/2を足す
・対数関数では躓く。Log2=-log1/2とか固まってしまった。
・iのi乗とか複素平面のどの辺りに位置しているのか、もうimageする事ができない。演習問題を解くたびに真理との間に距離を感じてしまった。そんな状態なのでゲルフォントの定数(eのπ乗=23.14……)は、またいつか調べてみよう。
・何度読んでも、コーシーの積分定理とコーシーの積分公式の違いが判らない。前者は周回積分してゼロになるから、実数の世界での積分結果から類推できる。でも、積分公式は煩雑な式を簡素にすると、正則じゃない点が含まれている領域で周回積分したら2πiになると言っており、素人には紛らわしい。
・積分定理の本質が判らないけど、極とか特異点、留数の計算はスッキリ理解できた。なので、計算問題だけは解けるようになった。これは素直に喜びたい。それに、複素数の世界で計算する事で実数の積分が簡単に求まるとか。ちょうど1年前に、素数の話でも解析接続のtopicが出てきたけどi(虚数)を定義する事で実数の世界を上手く説明できるようになるなら、複素数(x+iy)って凄い発明だと思う。
・解析接続に関しては消化不良だ。定義域に重なりがある2つの関数でそれぞれ同じ値を示せば、片方の定義域でももう1つの関数の値が正しくなるとか。これは石川善樹「問い続ける力」に載っていた正の数を足していったら-1/12になるって話をまだ理解していないので、なんか騙されているような気がする。