前回は掲題の書籍に関して経済面での感想を書いた。今回は別の切り口、数学viewで書いてみる。

 

1点目はpositiveな感想を書いたものだ。後半の2つは数学を調子良く使うんじゃないよ、これって過剰適用じゃないの? と疑ってしまった点だ。

 

自分もかつて大学生だった頃、ネズミを使った学習心理学の実験結果をカタストロフィー理論を用いて説明した事があったのであまり大口は叩けない。けど、この辺はさして納得感が持てなかった。なんと言えば良いのか、経済の人が数学モデルを安易に当てはめちゃったって印象が拭えないのは自分だけの勘ぐり、杞憂なのか。石川善樹の本「問い続ける力」に上手い表現が載っていたような気がするけど思い出せない。浅学なのでどうしても「調子が良すぎるんじゃないの」と感じてしまうのだ。

 

【等比数列の和の公式】

まさか金利計算でこんな式を使うとは思ってもみなかった。数学が世間の役に立つのは嬉しい事。

 

【モデルを適用すること】

ポートフォリオのリスク評価に分散(σの2乗)や標準偏差(σ)が登場する。あくまでもシンプルなモデルとして考えたいから正規分布を適用した結果なのだけど、そもそも市場商品の価格変動をリスク評価しようとする時、その分布で大丈夫なのか。マーケット価格って普段はブラウン運動と一緒でランダムウオークしているに過ぎないと思う。でも、コロナ禍での急落などブラックスワンに襲われた時には決して正規分布じゃないでしょう。もっと暴力的な値動きだ。以前も「べき分布」について触れたけどモデルの妥当性を誰がどのように評価しているのか不思議に思った。

 

※「べき乗則について」2019年夏の弊ブログ

https://ameblo.jp/cx0293/entry-12477293559.html?frm=theme

 

<相関係数によるリスク&リターン曲線の変化>


この左側に凸なグラフはあくまでも、正規分布のリスク指標として分散を採用した結果によるものだ。モデルとしては判るけど、標準偏差を用いたらグラフの形が大きく変わる事はないのか。σの二乗って形が数式操作するのに扱い易かったんだろうけど、穿って見ると気になるのだった。経済現象を単純な数学モデルに当て嵌めてスッキリさせたい心理に陥っていないのだろうか。

 

【リスク回避的効用関数】

これも生理的にかなり違和感があった。テキストによれば、現在の900万円が50%ずつの確率で1年後には1400万円か600万円になると仮定すると、ルートを使った計算式により確実性等価が958万円になると言う。これって単純な期待値=1000万円より微妙に少ないけど、この値にどれだけの蓋然性を与えられるのかサッパリ理解できない。


さて、この春のCFP試験、残り2科目を申し込もう!