以前、TBS「Jinー仁ー」、日テレ「ハケンの品格」、「野ブタ。をプロデュース」の事を触れた。他にコロナ疎開中にTVer等で改めて見直しているドラマについて、2つほど触れてみたい。

●TBS「愛していると云ってくれ」 
1995年の名作ドラマ。今改めて見ると、主役の2人は若い。豊川悦司が手話する手つきは綺麗だ。目つきも動作もシャープだ。吉行和子が登場する回に、手でキツネをかたどって新幹線の窓越しに見送りに来るシーンがあったけど、ドラマの前半でも幼い頃のエピソードがキチンと挿入されているのを改めて見て知った。 

常盤貴子は井の頭公園をいつも走っている。ありがとうとか一緒にとか、手話もいろいろ覚えた。どうして? とかFAXを示す手話もこのドラマに出てきた。


初回放送当時は第1回を見逃していたので、表参道辺りの裏道っぽい所で常盤貴子が赤いリンゴを捕ろうと必死だったシーンを知らなかった。今回それを先に見ておくと、榊晃次の玄関の電球が切れ掛かっているのを直すシーンとか、宅急便の配達車の後部ドアを難なく閉めてくれるシーンとか毎回のように上手く埋め込んでいるのに気付いた。


未だ麻生祐未(島田光)の回は見ていないけど「(本当は彼の声を聞いた事ない筈なのに)彼の声が好きだった」って喋る意地悪な台詞も上手かった。でも、それと同様に常盤貴子の「一緒にCDを聞けないのでツマラナイ」って台詞も十分に残酷だった。


25年、四半世紀の時の流れは凄い。今となってはFAXもぴあも死語に近い。「写るンです」も懐かしい。豊川悦司が25年振りの対談で語っていたように、あの頃は極めて稀だったいろいろな会見場面での手話通訳は今では見慣れた普通の光景になっている。 

ケンカした後で、直ぐに会いたくなってお互いが相手の家に行ってしまうとか、こういうシーンもこのドラマでは切なく描かれている。「逃げ恥」だと笑いに変わるんだけどな。


後年のTBS「ビューティフルライフ」、NHK「半分、青い」も北川悦吏子・脚本で話題になったけど、やっぱりこのドラマは超えられていないと思うのだ。ただ「岐阜犬」を介して話す場面とか佐藤健のシーンは良いのが多かったなぁ。


あっ、このドラマのシナリオが載っている北川悦吏子の特集が載っていた本を買ったけど読んでいない。そのまま20年くらい部屋の片隅に眠っている。


●フジ「ナースのお仕事(パート1)」 
1996年の名作ドラマ。こちらはパート2以降はお笑い路線が色濃くなって好きじゃないけど、パート1は最高に面白かった。


先輩・松下由樹が「あーさーくーら~!」と怒り、新人・観月ありさが背を屈めて「すいませ~ん」と応じる。ホントに懐かしい。長塚京三と松下の居酒屋シーンが繰り返されるのもコントだった。


その繰り返しだけ見ていると単なる病院コメディだけど、単にドジな新人ナースを単品で主人公を据えたお笑いドラマに留まらない。


主任の深浦加奈子が入院するとどうにもウルサイ患者になるけど、同室の熱発患者に的確な処置を指導できたのも本当のこと。確かに患者を観察していないと、氷枕/電気毛布/3点クーリングのどれが最適なのか分からないなぁ。


茶髪の井上晴美もお気楽でアバウトなキャラで終わらせるのでなく、山下真司との絡みでfriendlyな面を引き出していた。夜勤での巡回も懐中電灯を上に照らしていたり、リアルに作っていた。


血を見ると失神する新人外科医も何とか初オペを成功させた。そうして毎回1人1人のナース達にもspotを当てながら、病院内の日常を丁寧に描きあげたドラマだった。


あの当時、脚本家の江頭美智留ってどんな人かと密かに注目していたけど、ずっと忘れていた。改めて検索してみると日テレ「ごくせん」を書いていた人だった。