この映画も、新型コロナ騒動で思い出した作品。出演は小日向文世、深津絵里、ミツオ、葵わかな、他。尚、ミツオ役の俳優の名前を知らないのだけど、NHK朝ドラ「ひよっこ」で有村架純の幼なじみで集団就職で北茨城から東京の米屋に働きに出たミツオ(役名)の事。

 

ある日、突然電気が使えなくなる。東京全てで停電したのだ。すると、水も使えなくなる。電気を使ってマンションの高層階に水を上げているので上がらなくなるのだ。一軒家でも、浄水場のポンプが電動式なので使えない。高層マンションのエレベーターも動かない。TVも映らなければ、視聴者も困るけど放送局や製作者もお手上げ。そんな中で「西に向かえば電気が使える」って噂にそそのかされて、小日向さん一家はひたすら西に向かう


(画像はネットで検索)

 


その混乱が延々と続くコメディーでもあり、非常事態に陥った時、どう判断してどう行動すればいいのか、現代社会の人間の哀しさも描いている。ネタバレになってしまうのであまり細かく書かないけど、ミネラルウオーターが信じられないような値段に吊り上がっていくし、養豚場から逃げた豚を捕まえて食べようとしたり、橋桁が落ちていれば筏を編んでなんとか渡りたいと思って行動するもの。

 

その姿は、おそらく3.11東日本大震災とか現在の新型コロナ騒動より凄惨なものがある。なんと言っても、TVも新聞も使えない。スマホだって充電したのがなくなればただの金属のハコ。アテにできる情報源がない世界ではとにかく自分で自分を守る。家族を守るしかないのだ。そんなサバイバル状態をcomicalに描いていて興味深い作品だった。

 

結果として、小日向さん一家はなんとか嫁さんの実家に辿り着く。まあそこも停電していたけど田舎なので自給自足できる。で、23年ほど電気が無い暮らしを続けていく。漁をしたり機織りしたり、タヒチとか南の小さな島にいるのと変わらないような生活を送っていた。でも、電気が復旧すると、人は何事も無かったように現代の暮らしに戻っていた。便利だからそうなのかも知れない。

 

でも、新型コロナ騒動が終わった時、自分も世の中もそんなものなのか、それとも何某か前向きな変化があるのだろうか?