3/12付け日経2面の記事を読んで驚いた。ただ、以下に書いていく内容は日経記事の方向性とは違ってそんなにnegativeではない。
<3/12付け日経2面>
以下リンクは3/11付けの日経サイトの記事だが、おそらく同等の内容だと思う。
【参考】日経サイト
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56568590Z00C20A3I00000/
※疫学とは(Wikipediaより引用)
疫学(えきがく)は個人ではなく、集団を対象とし、疾病の発生原因や予防などを研究する学問。元々は伝染病を研究対象として始まったが、その後、公害病や事故などの人災、地震などの天災、交通事故、がんなど生活習慣病など、研究対象・調査対象は多様化している。 集団を対象とするため統計学を多用する。
PCR検査って新型コロナ感染を特定する鑑別診断に必須の検査だと思っていたのに、この記事を読むと「国は単なる疫学検査としてPCR検査を実施」していたとか。なんか拍子抜けした。確かに新型コロナにjust-fitした抗ウイルス薬は未だ世の中に存在しないのだし、治療そのものには検査結果がdirectに機能しない。虚を突かれたけど、そういう考え方もあったのか、と思った。
これって、PCR検査を頼んでも保健所が許可してくれないって騒動や、日本は感染者がなかなか増えないのはオカシイと言った議論に、世間がなんとなく判らないままに振り回されてしまっただけなのかも知れない。マスコミもどうなのかと思うけど、でもキチンと意図を明らかにしなかった政府の説明不足がもっと大きな問題だ。
疫学調査として個々人の治療とは無関係にやっているそうしたカテゴリの検査だったら、個々の患者の治療方針には何ら影響ないって事じゃないの。こう捉え直してみると、余程の事がない限りPCR検査してもしなくても治療にはおおかた影響ないって事だ。どーでもいい事になる。(勿論、感染者の区別・隔離には社会的な意味があると思うけど)
どの病気だって、軽症なら適切な治療(+自然治癒力)で治るし、重症なら最悪の場合は死に至るケースもあり得る。それは新型コロナでも風邪やインフルエンザでも何ら変わらない。原因はどんな疾患にあっても、上気道の炎症が下気道に広がって行けば気管支炎や肺炎になる。一昨年読んだものの本によれば
「世界最大の死亡原因は虚血性心疾患であるが、4位が下気道感染(まあ、ほとんどが肺炎)、7位が下痢症である。……(中略)……肺炎と下痢は怖いのである。肺炎のために毎年300万人以上が、そして下痢のために毎年およそ150万人が命を失っている」
※出典: 放送大学テキスト「感染症と生体防御」5章:市中感染症①
<2016年の世界の死亡原因TOP_10>
※引用元: WHOサイト
https://www.who.int/en/news-room/fact-sheets/detail/the-top-10-causes-of-death
勿論、先進国と発展途上国でどれくらい傾向が異なるのか、その詳細は私も把握していない。もしかして日本だと、高齢者の誤嚥性肺炎がそれなりにcountされているのかも知れないけど。
ただ、大抵の肺炎は細菌性だから先進国で医療体制が整っているならその細菌に合致した抗生剤を処方すればいいのだし、全く効かなければウイルス性の炎症を疑って既存の抗ウイルス薬をtrialで使うしかないのだろう。でも、その手前の段階では、国内で普通に行われているような一連の診察&処置手順で賄えているって事が既に有識者の中では明白だったんではないか。そう思った。
即ち、
・症状に応じた解熱剤とか鎮咳薬、去痰剤を処方しておく
・バイタルサインや聴診器で呼吸管理しておく
・肺炎だと判断すれば、先ず細菌性を疑って抗生剤を処方してみる
・オキシメーターや採血で酸素濃度が落ちていないか計測しておく
・それで駄目なら、抗炎症作用のあるステロイドを処方してみる
・極めて重症で自発呼吸ができない状態であれば、挿管して人工呼吸器に繋ぐ
・それでも駄目ならICUに転棟させる
って事だ。
そう思うと、武漢からの帰国した感染者を治療した医師がどこかのTVインタビューで話していた内容とも符合する。
ただ、感染力が強いとか不顕性感染があってリアルな患者なのか一般の疾患なのか区別ができないので、N95マスクとか医療従事者サイドの防御体勢を構築するのに猶予が必要だったって事かも知れない。
だとしたら、屋内で実施される大相撲やスケートの中止(or無観客試合)はやむを得ないにしても、一斉休校とか高校野球センバツ大会みたいな屋外競技まで一律に自粛する必要があったのか。勿論、感染者の隔離と穏やかな自粛モードは必要だろうけど。それと、そもそも専門家会議の医療関係者は客観的な事実を理解した上で、本当に一斉自粛が不可避だと進言していたのだろうか。この「疫学調査」って検査意図を聞いてから、だんだんと疑問が湧いてきた。
中国は必要な医療体制が整っていなかったかも知れない。イタリアはキスとハグで濃厚接触するのが常なので厳しい自粛が不可避なのだろう。でも日本の医療技術・設備は十分に(or過剰に)sureだし、環境や施策は国によってかなり異なると思うのだ。
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もう1つ別のソースも読んでみた。これはAmebaで他ブロガさんの記事を拝見して、資料の存在を知ったものだ。Noteは知人が書いた記事を何本か読んだ事あったけど、他のはこれまで読んだ事がなかったなあ。
【参考】note:中外医学社online
https://note.com/chugaiigaku/n/n8583a93b5a80
この記事の中の「表1」に感染力(基本再生産数)=2.6人と書かれているが、これもこのままだと誤解を与える惧れあり。
「図3:一人の感染者が生み出した2次感染者数」のグラフが明快で判り易い。屋形船とかスポーツジムで突出した異常値(各9,12人)があるけどそうしたスーパー・スプレッダーによる拡散impactを除けば、平均値ってかなり落ちてくる。単純に平均値を示すのも大事だけど、このケースだと註釈を付けておくとか、むしろこの図そのもので示した方が本質を伝えやすいと思った。
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もしやもしや、医療の論理と政治の論理が入り混じったために結論が歪んでしまったなんて事はないだろうか。どこかで誰かも言っていたけど、”やってる感”の演出ではないと願いたい。働き方改革も一億総活躍もキャッチフレーズとしては心地よくて、言葉先行の印象が強いからなあ。まさかと思いつつも、そんな穿った見方をしてしまった。
最近は電車やバスで換気のため窓を開けてくれている。ちょっと寒いけど、まあ、より感染しにくい環境が整っていったら良い。