ユースケ・サンタマリアの関わり方が引っ掛かっていたけど、結構納まりのいい最終回だった。
自分がSEとしてずっと働いてきただけに、その仕事振り&混乱振りがそのまんま描かれていると感じた。定時で帰らないのは当然だったし、このドラマで主人公以外がみんな残業しているのはごく普通の光景だった。定時で帰る時には、冗談で「今日は早退します」っと言っていた時期もあった。なんの疑問もないし、それで当然でしょと思ってきた。
そりゃあ、社会人になって間もない頃とか、病気・怪我で入院して復帰した直後とか「残業はオカシイ」と正気に戻るのだけど、でもまた染まっていったなあ。
“働き方改革”って国が一銭も予算を使わなくても日本じゅうのみんなを幸せにできる点でいいと思う。でも、その最終形に至る迄にはいろいろな軋轢があるでしょう。集団心理から逃れるのは大変だし、会社利益への貢献と社員の懐具合は相反しがちだ。明るい内に会社を追い出されても居場所が無い人が多いかも知れない。
そんな過渡期の混乱を、新旧の人種を入り交ぜて上手く描けていたんじゃないか。ユースケは異動先でもずっとズレた状態で働いていた。システム監査の男(名前を知らない)は「死ぬまでの殆どの時間を労働に捧げてんの」と昔を懐かしむ。
内田有紀には「会社のために自分があるんじゃない。自分のために会社がある」と言わせた。向井理にも「(徹夜でガンバるよりも)決まった時間内で利益を出す方がよほど難しい」呟かせており、実はこれはSE(+その周辺事情)に最も欠けているのは事実。仕様変更で遅延するし、想定外の事態はいつも発生する。
ただ、連続ドラマだから一方向に偏って主張してしまうと重くなるし、TBS金曜10時枠でもない。なので、プロジェクト打上げの挨拶で吉高由里子が「何のために仕事しているのか? うーん、分かんない」と笑ってフワッとボカしてしまう事で、ほど良くバランスが均れたんじゃないか。