「映画『ローンウルフ 真夜中の死闘』は、”実に惜しい”モンスターパニック・ムービー」 | 演技を楽しむ つれづれなるまま 平田 慎司のブログ

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劇団営業二課を主宰し、演出と脚本を担当。また、トレーナーとして、演技レッスンも行っています。マンツーマンを基本に、生徒は10歳から70代までいます。映画脚本も手がけています。

今日、ご紹介するのは、映画「ローンウルフ 真夜中の死闘」です。

映画「ローンウルフ 真夜中の死闘」はアメリカとメキシコの共同制作。

2014年3月9日にサウス・バイ・サウスウエストで上映された”盲目の退役軍人と狼人間との戦い”を描いたモンスターパニック・ムービーです。

(ここ、ワクワクするポイント)

 

上映時間は95分。

 

サウス・バイ・サウスウエストとは?

サウス・バイ・サウスウエスト(英語:South by Southwest、略記:SXSW)は、毎年3月にアメリカ合衆国テキサス州オースティンで行なわれる、音楽祭映画祭インタラクティブフェスティバルなどを組み合わせた大規模イベントである。1987年に音楽祭として始まり、毎年規模を拡大している。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 

映画「ローンウルフ 真夜中の死闘」の原題は”LATE PHASES”。

日本語に訳すと”後期”あるいは”最終段階”

(人生の後始末とか、人生の集大成、最後の覚悟とかそういう意味だと筆者は思う)

 

邦題の「ローンウルフ 真夜中の死闘」は映画の内容を言い得ていて、なかなかの出来。

(ここ、二つ目のワクワクポイント)

 

映画「ローンウルフ 真夜中の死闘」の監督は、アドリアン・ガルシア・ボグリアーノ。

1980年7月4日生まれ。

スペインのマドリード出身でホラー映画やサスペンス映画を撮っている監督です。

(スペイン出身と言えば,映画「REC/レック』(2007)のジャウマ・バラゲロが思い浮ぶ)

 

映画「ローンウルフ 真夜中の死闘」はアドリアン・ガルシア・ボグリアーノ監督初の英語による長編映画です。

 

世界の26人の監督による”死”の短編映画アンソロジーABC・オブ・デス(2012)にも参加していますが、アドリアン・ガルシア・ボグリアーノ監督作品でホラー映画ファンの間で最も有名なのは映画NITRO ニトロ」原題Sudor frio 英題Cold Sweat (2010)です。

(異常者に監禁され、わずかな衝撃でも爆発するニトログリセリンを全身に塗りたくられた美女の脱出ホラー。グロい)

 

では、”実に惜しい”モンスターパニック・ムービー「ローンウルフ 真夜中の死闘』の出演者もご紹介しましょう。

 

主演の盲目の退役軍人アンブローズ・マッキンリー役はニック・ダミチ。

ニック・ダミチは脚本家・俳優。

メグ・ライアン主演の映画「イン・ザ・カット」(2003)で探偵役。

デイブ・バウディスタ(SF映画「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズのドラックスです)とブリタニー・スノウ主演(ミュージカル・コメディ映画「ピッチ・パーフェクト」シリーズのクロエです。どちらのシリーズも筆者は大好き。佳作です)のスリラー映画「ブッシュウィッグ・武装都市」の脚本を担当。

(うん。こちらは突っ込みどころ満載のまさかの”アメリカ内戦”映画)

狼人間にランス・ゲスト。

1984年のSF映画「スター・ファイター」。アーケード・ゲームで最高得点を叩き出し、宇宙人にスカウトされて、しがない田舎青年が戦闘機乗りになって銀河を救うワクワク映画主演アレックスです)

アンブローズの息子ウィル役にイーサン・エンブリー。

2007年のケイト・ベッキンセール主演、めちゃめちゃ怖いスリラー映画「モーテル」のヤバい整備工役)

では映画「ローンウルフ 真夜中の死闘」のあらすじをご紹介します。

 

映画「ローンウルフ 真夜中の死闘」あらすじ

 

盲目の退役軍人アンブローズが息子ウィルの車で、広大な森の近くにあるシニアたちが暮らす町に引っ越してくる。

別居していた妻も亡くなり、この町で盲導犬ジャーマン・シェパードと暮らすつもりのアンブローズ

満月のその夜、巨大な”狼人間”がアンブローズの隣人のデロリス家に侵入して、デロリスを惨殺してしまう

騒ぎを聞いていたアンブロー狼人間に襲われてしまうが、勇敢な盲導犬の助けもあり、どうにか撃退に成功する

電話もなく、見ず知らずの土地で破壊された屋内に座り込むアンブローズ。

アンブローズは重傷を負った盲導犬が苦しまないように自らの手で命を絶つ。

翌日アンブロースは発見されるが、警察は野生動物のしわざと結論づけてアンブローズの話には耳を貸さない。

どうやら、この町では住民たちが野生動物の襲撃に遭って失踪を遂げたり、殺されることがあるらしい。

盲目ゆえ、匂いやからアンブローズはそれらは皆、巨大な狼のような者、”狼人間”の仕業ではないかと考え始める。

アンブロースは盲導犬のために墓を購入し、墓穴を一人で掘り始める。そんなアンブローズを心配する息子のウィル。

アンブローズは次の満月に狼人間と唯一人、対決するつもりで銃砲店に行き、店主に銀の弾丸作りを頼む。そして、アンブローズは町の誰かが狼人間である可能性を疑い、教会に足を運ぶ。

アンブローズは教会でロジャー・スミス牧師とその友人ジェームズ・グリフィンと出会う。アンブローズは町の人間とも交流を図るが、誰が狼人間か確信を持てない。そして、遂に満月の夜がやって来た…。

 

 

モンスターパニック・ムービー「ローン・ウルフ 真夜中の死闘」のいいところ

(以下ネタバレあり)

 

邦題の”ローン・ウルフ”はベトナム戦争を戦い抜いた孤高の老人の意味に違いありません。

”真夜中の死闘の副題”もそそられます。

”たった一人で戦う”というシチュエーションだけで評価が甘くなってしまう筆者。

 

(特に女子の戦うやつね)

例を挙げると、

SF映画「エイリアン2」(1986)の過去の自分と向き合い、エイリアンを退治するためLV426に向かうエレン・リプリー(シガニー・・ウィーバー)

サスペンス映画「フライトプラン」(2005)の自分の仮眠中、飛行機の中でいなくなった6歳の娘を探すカイル・プラット(ジョディ・フォスター)

ミステリー映画「チェンジリング」(2008)の自宅から姿を消した息子を何年も捜し求めるクリスティン(アンジェリーナ・ジョリー)などは、もうシビレます。ゾクゾクします。

この映画「ローンウルフ 真夜中の死闘」も狼人間を倒すために、身体を鍛えたり,軍服を着て戦ったりするところはカッコイイ。

(やや、ロバート・デ・ニーロ主演「タクシードライバー」の匂いもする)

モンスターパニックムービー「ローンウルフ 真夜中の死闘」の惜しいところ

BGMがややおおげさ。

(使いすぎ)

 

狼人間が血を吸えば、仲間を増やせる。

(このルール、もう少し脚本に生かしましょう。でも、アンブローズが倒したと思った狼人間が一匹じゃないことを悟るシーンはいい!)

 

狼人間のフォルムや変身シーンがややチープ。

まあ、マイケル・ヴォドレー監督「ウルフェン」(1981)の目線工夫とか、

ジョン・ランディス監督「狼男アメリカン」(1981)、

ジョー・ダンテ監督「ハウリング」(1981)の変身シーンとかと比べると格段に落ちます。

ちなみに、この1981年は”狼映画”当たり年です。

 

もしかしたら、この映画「ローンウルフ 真夜中の死闘」はモンスターパニック・ムービーと見るのは早計かもしれません。

盲目になることがわかったアンブローズは家族に迷惑をかけることを恐れ、一方的に妻と息子を遠ざけ、一人で暮らしてきました。その訳を満月の夜、”狼人間との対決”を前に息子ウィルの留守番電話に語りかけ、詫びるのです。

壮絶な戦いを終え、息絶えるアンブローズに優しく寄り添う息子ウィル。

 

これは、モンスターパニック・ムービーを借りた

言わば”家族の再生の物語”なのかも。

お時間あれば、御覧下さい。