「ちょっと変わったバイオレンス映画を見たいなら、邦画『2LDK』がおすすめかも」 | 演技を楽しむ つれづれなるまま 平田 慎司のブログ

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劇団営業二課を主宰し、演出と脚本を担当。また、トレーナーとして、演技レッスンも行っています。マンツーマンを基本に、生徒は10歳から70代までいます。映画脚本も手がけています。

 

今日、ご紹介するのは邦画「2LDK」です。

邦画「2LDK」は野波麻帆と小池栄子の”DUEL(対決)”を描いたバイオレンス・ホラーです。

監督は堤幸彦。

邦画「2LDK」は2003年10月4日公開されました。

この邦画「2LDK」は限られた空間での2人の対決というテーマのもと、北村龍平競作した中編映画です

(北村龍平監督の映画はタイトル「荒神」)

邦画「2LDK」は上映時間は69分。

監督の堤幸彦はオムニバス映画「バカヤロー! 私、怒ってます」(1988)の一編「英語がなんだ」で映画監督デビュー。

TVドラマ「ケイゾク」(1999)で一躍有名になりました。

映画「明日の記憶」(2005)では、日本アカデミー賞の優秀作品賞を受賞。

その後も実写版映画20世紀少年」3部作(20082009)や映画「はやぶさ HAYABUSA」(2011)など話題作を続々と監督しています。

皆さん、ご存知の通り、現在、TVドラマと映画と両方で最も活躍している監督の一人です。

 

 

主演のラナ役の野波麻帆は4回東宝「シンデレラ」オーディションでグランプリを受賞

1997年に映画「モスラ2 海底の大決戦で映画デビュー

1998年の映画「愛を乞うひと主人公の娘役を演じ、国内の映画祭で新人賞と助演女優賞を多く受賞。

(映画「愛を乞うひと」はこの年の映画賞を総ナメしました)

野波麻帆は2001年ホラー映画「案山子 KAKASHIで映画初主演。

 

もう一人の主演、希美役の小池栄子は元グラビアアイドル。

後に女優に転向。

2008年映画「接吻」で主演し、63回毎日映画コンクールなどで主演女優受賞。

2012年の映画「八日目の蝉」で35回日本アカデミー賞 優秀助演女優賞を受賞しています。

(方向転換うまくいきましたね)

邦画「2LDK」のあらすじを簡単にご紹介します。

 

邦画「2LDK」あらすじ

 

芸能事務所が用意した東京の2LDKのマンションでルームシェアする自称映画女優のラナと後輩でB級グラビアアイドルの希美。

表向きは仲良く暮らしているように見えるラナと希美だったが、内心ではお互いのことを毛嫌いし、軽蔑している。

同じ映画のオーディションを受けて、ともに最終オーディションに残った

ラナと希美は些細なことから口論を始める。

次第に日頃の不満を爆発させていくラナと希美。

二人の言い合いは大喧嘩に発展してしまう。

それは、やがて殺し合いにまでエスカレートしていく

 

邦画「2LDK」のバイオレンス度

 

身長166センチ同士の野波麻帆と小池栄子の喧嘩は見ごたえあり。

(ここ、おすすめ)

 

最後は想像通り、二人から血しぶきが上がります。

(バイオレンス度MAX)

この邦画「2LDK」は堤幸彦監督のお気に入りの企画なのでしょう。

 

2010年と2013年に堤監2010年督によって舞台版が上演されています

2010年版舞台は和希沙也水崎綾女、瀬戸早妃大谷澪、西川里美川上ジュリア、小林夏子仲村みう、肘井美佳小川麻琴5組が日替わりで演じ、

2013年版舞台は福田彩乃と若月佑美、高垣彩陽と清水富美加、佐々木心音と仲原舞、渡辺舞と足立梨花、松本まりかと宮崎香蓮、久住小春とプー・ルイという6組が日替わりで出演しました

邦画「2LDK」のおすすめ度

 

些細な口論が殺し合いまで発展してゆく過程には多少、ムリがある感じは否めません。

(おすすめじゃないのかよ?いえいえ、中編映画なので、その辺りは仕方ないとして。最後までしっかり見させる演出テクニックはさすがです。舞台は未見なのでなんとも言えないところですが)

 

筆者が一番怖かったのは、小池栄子が野波麻帆の顔をオイル・マッサージするシーン。

緊迫感があります。

(眼の周りの指圧とかもう怖い)

 

堤幸彦監督のファンなら見ておいたほうが良いかもしれません。

ケイゾク」や[トリック」、SPECシリーズとは違い、ライトでポップなギャグは影を潜め、ガチンコ的な戦いを主に描いています。

でも、堤幸彦監督の作品の多くに筆者が感じる"人の残酷さや悪意”がこの邦画「2LDK」にもあります。

 

堤幸彦監督は性善説を信じていないんじゃないかなと思います。

(性善説は人間の本性であるとする説。中国の孟子が唱えた。にも先天的に道徳的本性があるからこれを拡大しさえすればどんな人間でも善人,聖人になり,人がを犯すのは,それを忘失しているからだという説)

 

”純然たる悪意は存在する”

独特のユーモアセンスとハイセンスな映像美が特徴的な堤幸彦監督ですが、根底に流れているテーマを感じているのは筆者だけかもしれませんが。

小池栄子と野波麻帆の二人だけの静かな戦い。

ちょっと毛色の違うバイオレンス映画が見たいひとにはおすすめ。

 

小池栄子は今年7月から、フジテレビ水曜10時のドラマ枠で仲野太賀とのダブル主演「新宿野戦病院」が決定しています。

脚本は宮藤官九郎。

こちらも楽しみですね。