CVV的おすすめ本:上川あや『変えていく勇気』
mixiで友達がブックレビューに書いていた1冊。仕事柄児童福祉関係の本を読むことが多いが、最近の私は、分野以外の本からも多くを学んでいる。そのうちの一冊が、上川あや
さんの本である。性同一性障害の当事者である上川さんが、自分が政治家になるまでの過程、幼い頃の自分をふりかえって、そして、社会に対するしなやかなメッセージがぎっしりと入った本だ。
彼女が、自らの存在を発信する上でまず必要になることとして、自己肯定感をもつことをあげている。(第6章沈黙から発言へ)そして、自分を認める上でのファースト・ステップとして、当事者同士の出会いをあげている。上川さん自身、自分以外の当事者と出会うことで、価値観のとらえ方の多様性、対処方法がさまざまにあることを知り、自分を「発見」した。そして、セカンド・ステップとして社会の中で自分たちはどういった位置に置かれているのかということをいろんな観点から確かめること、とある。自分たちだけでは解決できない問題、つまり社会の側が変わらないといけない問題に働きかけるために、自分たちを客観的にとらえ、見つめなおす作業が欠かせないと語る。
この箇所を読みながら、自分自身に重なるなぁと思った。“自分が自分のままではいけない”というメッセージを受けて(私にとってそれは学校という場所だったが)、自己肯定感なんてものは、木っ端微塵になって10年間。自分にとって当事者であった「ひきこもり」の人たちやさまざまな市民活動で出逢った人たちの力を借りて、私は自分の生き難さがどこにあるのか学習した。学びながら、同じ生き難さをもつ同士、あるいは生き難さと折り合いながら発信しているおとなたちとの出逢いがあった。私は私なりに社会に発信していこうと思うようになり、その過程にCVVの仲間との出逢いがある。
CVVの活動にスタッフとして関わるなかで、当事者の発するメッセージが、誰よりも施設で生活している子どもに届くのだということを実感している。なかなか当事者の声が、届かないからこそ届けられたらと思っている。しかし、自らの存在を発信し続けることは、時に自己肯定感をすり減らすことにもなる。自分のことを語るのは、他者のことを語るよりも、ずっとエネルギーが要る。だからこそ、居場所が重要なのではないかと思う。休息し、回復する場所としての居場所。サポートし合う関係がある居場所。上川さんの本を読んで、社会のなかでの位置づけを自覚化する作業も大事なのだなぁと感じた。他の当事者運動から学ぶことも多い。
「ちいさな声、社会にとどけ!」
上川さんの語る「寛容な社会」。児童養護施設で生活している子どもや卒業した人たちにとってもまだまだこの社会は「寛容な社会」だとはとても思えないので、私たちのできることを少しずつ、と改めて思う。
(ぴぴこ、CVVニュースレター第5号 2007年10月発行より)
- 変えてゆく勇気―「性同一性障害」の私から (岩波新書 新赤版 1064)/上川 あや
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