先月8月にこのブログで取り上げた、
キャリアコンサルティング協議会ホームページトップにある報告書について、
Vol.2として、私なりに感じたことや考えを表現してみたいと思っています。

 

【REPORT】

「キャリアコンサルタントの質向上に関する報告書」

キャリアコンサルタントの専門性と社会的価値を再定義。
https://www.career-cc.org/report/

 

「はじめに」
という箇所で、以下の内容が論じられています。

 

「国家資格としてのキャリアコンサルタント(以下、CC)の登録者数は急増し、その社会的認知が高まる一方で、資格取得者の質のばらつきの是正や実践的な活躍の場の不足が業界全体の喫緊の課題となっています。さらに、ジョブ型雇用の進展やリスキリングの要請といった三位一体の労働市場改革、人生100年時代におけるライフキャリアの多様化、そして生成AIテクノロジーの急速な普及など、CCを取り巻く環境は今まさに激変の渦中にあります。」

※出典:キャリアコンサルタントの質向上に関する報告書

 

これを読んだとき、皆様はどのように考えたでしょうか。

 

現場実践家として活動する専門家が、

ここに書かれている状況について、
本当に共通の認識を持っていらっしゃるのかが、
とても重要なのだと思いました。

 

例えば…

 

キャリアコンサルタントの登録者数です。

 

国家資格として制度化されて以降、登録者数は大きく増えてきました。

一方、直近の動きでは、
月ごとに微増や微減を繰り返している状態でもあり、
現在も急増しているという表現には違和感があります。

 

そしてどうして上記のようになっているのかも、

明らかにしていく必要があると思います。

 

また、登録者数が増えたことと、
キャリアコンサルタントの社会的認知が高まったことは、
必ずしも同じではありませんよね。

 

というか…

 

キャリアコンサルタントが認知されることがそれほど大事でしょうか。

 

それよりは、

キャリアカウンセリングの効果が一般の方に実感される、

キャリアコンサルティングが社会的に認知される、

または、

全ての人にとって、キャリア形成自体の重要性が、

一人ひとりに認知されていく、というのであれば、

より意義深い気がしています。

 

粗っぽい表現をすれば、

キャリアコンサルタントが社会的に有名にならなくてもいいように感じます。

 

とはいえ、せめて、一般の人たちにとって、
キャリアコンサルタントがなんの専門家であり、
どのようなときに相談できるのかを、
どれくらい知っているのか、これは大切な気もします。

いまだに真に迫ったデータは皆無に等しいかも。

 

名称を聞いたことがあることと、
自分にとって必要な存在だと感じることの間には、
相当な距離があるのだと実感します。

 

当然、専門家が、

チリツモ努力で、その専門領域での質を高めることは必須です。

専門家としてコツコツと学び続け、
一人ひとりの個別の相談者に応じ、支援に努めていくことができる…

そして支援に必要であれば組織にも介入するための施策を計画実行できる、
こういうことは欠かすことができません。

活躍できる場を広げていくことも必要です。

 

一方、仮にキャリアコンサルタントの質が高まり、
活動する場が用意されたとしても、
一般の人がキャリアコンサルティングを
自分自身に関係するものとして感じられなければ、
両者はなかなかつながらないのではないでしょうか。

 

会社組織が欲しがったとしても、

肝心の従業員は興味なしだったりしたら…

何か強制されるものではないでしょうし。

 

両者が自然につながっていくためには、
何が大切になるのでしょうか。

現場の声をもっと広く拾ってそんな論点がほしいところです。

 

ただし、一般の人たちに対して、
キャリアについて考えるべきだと求めたり、
学び直す必要があると促したりするだけでは、
そのつながりは生まれにくいように思います。

 

今の仕事に満足している人もいれば、
先のことを考える余裕を持てない人もいます。

自分のキャリアについて考えてみたい人もいれば、
あえて考えたくない時期にある人もいるでしょう。

 

一つの方向へ動くことを求めるのではなく、
その人が何かを考えたくなったときに、
安心して話すことのできる場や人が身近にあること。

キャリアについて誰かと話すことが、
特別な問題を抱えた人だけのものではなく、
日常の中に自然にあるものとして受け止められていくこと。

 

そのような地味な関わりを積み重ねていくことが、
キャリアコンサルタントの社会的価値にも
いずれ世代を超えてつながっていくのではないかと考えることもあります。

 

キャリアコンサルタントの質や専門性は、
専門家の側だけで決まるものではないと思います。

一般の人たちの中にその人にとってのその人固有の専門家が宿っています。

 

だからこそ、目の前にいる人との関わりの中で、
その人にとってキャリア形成支援者がどのような存在であるか、

その人自身が何を感じ、どう自己を振り返ることができそうか、

そうした一つひとつの丁寧な関わりによって、
キャリアコンサルタントの社会的な意味や価値が、
少しずつ形づくられていくものではないかと考えます。

 

キャリアコンサルタントの質を高めること。
活躍の場を広げること。
一般の人が、自分のキャリアについて誰かと話してみようと思えること。

 

これらを別々の課題として扱うのではなく、
人と人との関わりの中で、
共に育っていくものとして考えることはできないものかと考えます。

 

専門家である自分たちが、
ただ自らの価値、資格の価値を示そうとすることだけではなく、
一般の人たちとの間に、
どのような関係をつくっていけるのか。

 

今回の報告書を読み、現場で活動する一人ひとりが、
それぞれの実践の中で考えていく必要があるように感じています。

 

政策的な報告書を読むたび、色々考える契機になります…

現場で活動している自分にとっての、みえるひとり言でもあります。

 

皆同じ方向をみなくたっていい。

ちゃんと議論できる場をつくっていくことの方が重要なのでしょう。