いよいよ本日を含んで、今年もあと60日。
昨日の11月スタートは慌ただしく始まり、
ブログ更新や講座受講者様からいただいたメールのお返事も追いついていない状況です。
色々忙しくて自分自身が切羽詰まっているとき、
こんな時こそ、丁寧に物事を進めていくことが大切だと実感しています。
悪く表現してみると、あえて手を抜く…
というか、
強制感を自分に押しつけないように、
なるべく心地よいプレッシャーまでに抑えられるよう活動内容をコントロールしています。
自分なりのウェルネスを大事にすることが、
より善き諸活動(質のいい仕事)につなげていくコツだと思います。
本日は朝イチで宮崎へ移動。
これは今朝の福岡空港の6時30分前の写真ですが、
まだまだ真っ暗で、こんな季節になったのだなぁと早朝の空から感じています。
※春から夏にかけてはこの時間の空は青空だったりします。
宮崎空港から宮崎駅まではこの電車で12分。
朝の8時過ぎという時間でも空港から市内に向かう電車はガラガラでした…。
今月は宮崎市内への仕事で今日を含め計3回行く機会があります。
一ヶ月の中で宮崎に複数回向かうのは久しぶり。
宮崎といえば地鶏やチキン南蛮、辛麺など色々ありますが、
私が好きな郷土料理には「冷や汁」という食べものがあります。
炊き立ての熱いご飯に氷の入った味噌出汁をぶっかけるというような食べ物なのですが、
なぜか宮崎で食べるこれが物凄く美味しいのです^ ^
特に夏場には最高なのですが、冬場でも私は全然いけます。
さて、今回のブログでは、
1級キャリアコンサルティング技能検定実技論述試験の最後の問い、
問5について考えてみます。
学習素材は、先日アップいたしました「練習問題③」の事例を活用します。
1級キャリアコンサルティング技能検定試験を受検される方、
そして事例指導の実践を行なっている方、
ぜひご一緒に考えてみていただけたら嬉しく思います。
※先日アップした事例問題は下記URLからご確認いただけます。
https://ameblo.jp/cvclab/entry-12940651787.html
問5 問4で挙げた事例相談者Bの問題だと思うことの中から優先するもの一つを取り上げ、事例指導(またはスーパービジョン)における具体的な指導内容を記述せよ。
この問いですね。
この問いには、前の問4で解答している内容に、
この「優先するもの」に該当するものが入っていることが必要だと思います。
問4を考えている段階で、
事例相談者Bの相談者Aへの対応の問題を事例指導者視点中心に描いている場合、
この「優先するもの」が入っていないという可能性もあります。
事例指導の営みを実技として考えてみれば、
「優先するもの」とは、事例相談者Bが学習に動機づけられるものが適当でしょう。
事例指導者の一方的な評価や論理的な視点から優先するものを押し付けるものではないはずです。
そして動機づけられるという点でみるとなれば、
事例相談者Bが気になっているところ、
支援の中でこだわっていたのに思いがけずうまくいかなかったように感じているところ、
モヤモヤしているところ、
等々が手がかりになるのではないでしょうか。
この視点から問4を考えられていない場合、
この動機づけられる視点が問4の対応の問題解答に入っていないということがあるかもしれません。
事例相談者Bは、自分のキャリア形成支援の進め方を安心して広く深く振り返り、
相談者Aの言葉の背景にある意味を探るその重要性を学ぶ機会となり得るわけです。
指導内容としては、
事例記録を確認し、BがどのようにAの語りを受け止めているのかを具体的に指導者が理解すること。
そして、たとえばAの「会社に愛想が尽きた」「社長の独断で決まる」という発言に対し、
Bはどのような反応や質問を行ったのか、
その対応自体がAの感情や価値観を理解する姿勢として適切だったかを一緒に検討してみてもいいでしょう。
または、Aの重要な語りをBがまとめた記録から抽出し、そこにAにとっての含まれる意味を見立ててみる訓練を行うというのも意味があります。
一例ですが、
Aの言葉や態度をBは不満と捉えたところがあるかもしれません。
捉え方を変えてみれば、これは単なる不満ではなく、
Aが抱く危機感や価値観、職業観を反映している可能性もあります。
そうした背景を知るためには、
Bからどのような問いかけが考えられたかを振り返ることもできますよね。
Aの「家族には余計な心配をかけたくない」という発言があるようですが、
これはA自身の意思決定に影響する要素になり得ることがあります。
すると、家族との関係性や経済的優先順位を確認する視点を持つことも必要です。
事例指導では、
こうした事例検討的な側面からの気づきを得て、
それをさらに他の事例に置き換えた場合、
どのように活かせるかを考える機会をつくります。
つまり、事例相談者Bがこの事例だけに注目するのではなく、
今後のよりよいキャリアコンサルティング提供のための成長的かかわりを指導者が側面的にガイドしていくイメージです。
事例相談者Bが、今後、あらゆる相談者の語りの背景にある意味を理解しようとすることに、
どんな有効性があるのか、その重要性をリアルに実感できるようになること、
それを継続的に自己内で点検できるようになっていくことが必要かもしれません。
なお、解答を記述する際、抽象的な表現ではなく、
事例記録の具体的な場面を使って
「どこを見て、どう伝えるのか」
を明確に描く必要があると思います。
「指導計画の意図」を示すために抽象化した表現が必要な場合もありますが、
この論述試験では、抽象的な記述よりも、
実際の実践・実技内容そのものなのだと考えます。
一例として悪い表現をしてみると、
「事例相談者Bが相談者Aの語りをどのように受け止めたかを確認する」
といったような記述をしたとします。
これでは具体的に事例のどこを使って何をするのかが分からず、
また、確認するとありますが確認すると、
事例相談者Bの成長や相談者Aへの支援にどんな意味があるのかも伝わってきません。
要するに、指導内容を示していることにはならず、
設問に答えていることにはならないかもしれません。
注意したいところです。
この事例での事例相談者Bが抱える課題を振り返ってみましょう。
Bの視点からみると、
Aの失望感が強く面談が深まらない、
どう進めればよいか分からないということがあります。
これは私からみると転職支援に焦点を当てていてAの感情面や価値観への
アプローチがやや不足しているようにも感じます。
また、家族への相談を一旦わきに置いているAに対し、
Bも、その点については深めていない、わきに置いている感じもします。
傾向として「情報整理・求人探索」という手段先行型になっていて、
Aの心理的状態(失望感・不安)を理解していく過程が記録にない状況。
Aは「現職への失望感」「会社への危機感」「家族への配慮」など、
複雑な感情を抱えているところがあると読み取れます。
つまり感情の受容とその意味づけや確認・共有が必要ではないかと思うところがあります。
ただ、BはAの思いなどを記録に残している点から、
全くそこにフォーカスしていなかったというわけではないはず。
Bの中では、Aの態度や発言などから、
「Aへのキャリア支援=転職支援」という考えが生まれ、
そこに偏っている可能性があるのかもしれません。
Bの成長課題として優先して取り組むべきことは、
例えば、
相談者と自身の面談の深まりを阻む要因の理解をすることかもしれません。
Aの「失望感」「不安」「価値観」を丁寧に聴き、言語化する力を養うことや、
転職ありきではなく、キャリアの全体像(ライフキャリア)を扱う視点を持つことなど挙げられます。
また相談者が抱く感情への対応スキルの強化も技能的に必要なのかもしれません。
「主観的な事実、そこに付随する感情、その意味づけ、内省への促し」
といった面談の入口の流れを意識することや、
傾聴しながら要点を拾ってリフレクションし、
Aの語りを整理、相互での理解を深めていく過程をつくるなどです。
キャリア形成の支援プロセスの再設計も面白いと思います。
初回の面談で「情報整理」よりも、相談者がやりたいことがあったのかもしれません。
それを本音で共有するには、まずB自身が「安心感の醸成」を優先することなのかも。
まだまだいろんなことを思い浮かべることができるかもしれませんが、
こうしたことを事例指導者(受検者)が色々と考えてみて、
事例相談者Bに合った指導方法(具体的ステップ)を
イメージするのが問5なのだと思います。
実技として大事だと思うことには、良好な指導関係の構築があります。
そもそも事例相談者Bが事例指導という場面に安心感を得られなければ、
具体的な指導方法として今ひとつなことになりそうです。
たとえば、
「〇〇の場面でAさんの不安を感じ取ったことは大切だと感じました。
なぜなら…というAさんの状況を、Bさんが受け取った、理解しているよといった、
感情面を支えるサインになっているからです。」
といったようなかかわりがあるかないかで指導関係性が変化します。
※必ず上記のようにすればいいということではありません。
また、事例指導の目的の共有場面があるといい場合もあります。
「今回はBさんとAさんとの面談で深まりにくかった理由を一緒に整理し、今後の面談に活かせるためにも、具体的な課題を一緒に見つけられるといいですね。」
といった具合です。
そしてそのためには、
事例記録の要所を使った振り返りも重要です。
たとえば、
「Aさんが『会社に愛想が尽きた』と言った時、どんな気持ちが背景にあると思いましたか?」
「その時に、Bさんはどんな対応をされたのですか。その意図もお話しいただけますか?」
事例指導のポイントとして、
Bは「求人情報を見ながら進めましょう」と提案したが、Aの感情処理が不十分だという点、
また、Aの「失望感を受け止める」「意味づけを促す」ことが重要なポイントにもなりそうだという点があります。
その点に課題を感じられれば、
「Aが会社への失望感を語る場面」として「会社に愛想が尽きた」という発言に対して、
「そこまで強い言葉を使う背景について、Bさんはそこに何があると考えられますか?」
というかかわりを指導者がしてみることもあるでしょう。
それでもBにイメージがわかなければ、
事例指導者から、
「私はこれまでの会社への感謝と失望、両方の気持ちがあるように感じました。」
と、指導者としてその点が重要だと考えれば、
たとえば上記のように言葉にしてみることも必要な時があります。
転期に直面している相談者に対して、
「役割」「ライフステージ」 「状況・自己・支援・戦略」
といった理論的にピンとくるようなキーワードを散りばめることもありますが、
指導者がそこに固執する必要はなく、
一方で、事例相談者Bが自分からそうしたキーワードを発した際は、
それを意味づけていくことのサポートも必要になります。
上記にみた全てを取り入れるわけではありませんが、
ひとつの表現として、以下のような記述もできるかもしれません。
『優先するもの:相談者の語りに含まれる意味を確認する質問や対応について振り返り、どんな問いを投げかけられるかを検討。
記録から「多岐にわたる業務を経験」や「現在危機感を抱いている様子」「家庭では経済的にも心配」といったAの語りを受け止めている点を理解。そこでAが語った「会社に愛想が尽きた」や「社長の独断で決まる」といった失望感に含まれる言葉の意味をどう理解しているのかを振り返る。これらの語りには不満だけではなく、Aの価値観からくる希望が含まれている可能性もあるため、その背景を探るため、どんな問いが考えられたかを検討。また「家族には余計な心配をかけたくない」という語りが、Aの意思に影響する要素になり得ることを踏まえ、家族との関係や経済的な優先順位を確認する視点を持てたかを振り返る。こうした気づきの節々を他事例に置き換えた場合、今後のBの面談にどう意味付けるかを考える機会を持ち、相談者の語りの背景にあるものを探る重要性を実感してもらう。』
いかがでしょうか。
ここまで先日から複数の記事を通して「練習問題③」の事例を活用し、
問1から問5まで考えてみました。
読者の皆様の自学の時間に、
少しでも学びの呼び水刺激になっていれば幸いです。
1級受検、心から応援しています。


