昨日は、福岡会場で1級キャリアコンサルティング技能検定試験対策講座を開催いたしました。
予定通り、受講者様全員にご参加いただき、
とても充実した時間を過ごすことができたと思っています。
受講くださった方々、どうもありがとうございました。
さて、今回の記事では、
先日の問4についての記事に引き続き問5を考えてまいります。
第13回1級キャリアコンサルティング技能検定実技論述試験の事例を活用して、
最新過去問(第14回)の問5に置き換えて考えてみたいと思っています。
問5 問4で挙げた事例相談者Bの問題だと思うことの中から優先するものを一つ取り上げ、事例指導(またはスーパービジョン)における具体的な指導内容を記述せよ。
上記の設問になりますが、(またはスーパービジョン)と記されている点には、
受検者の方には、一定数戸惑った方がいらっしゃるのではないでしょうか。
興味深いことに、第13回から第14回にかけ、
問いが変化していたことに気づかなかった方もいたそうで、
「全ての問いに関し、第13回で問われていた内容の認識のまま解答していた」
という方が、結果、第14回論述試験の合格基準を満たしていた…という現象も複数お聞きしています。
要するに(細かなことを気にしていない方がよい)ということもあるのかもしれませんね。
※私は変化等にわりと敏感な方ですが…苦笑
記事の本題に戻りたいと思います。
問5の前の問い(問4)において、
私のひとつの考えでは、優先したいものを、
「相談者Aの求めの曖昧さを受け止めきれておらず、内的照合枠を味わう機会を損ねている」という問4で挙げた問題に呼応し、
「Aが求めていることを共有する段階を意識する」と優先課題を考えます。
そして、具体的な指導内容には、
全体を通じ、事例相談者Bの応答の背景理解に努め、それが事例相談者Bが意図したように相談者Aの内面理解にどの程度つながっているかを考えてみる段階を踏みます。
そのためには、事例相談者Bがまとめた記録に基づく再省察を促し、
相談者Aとの面談における影響の認識を相互で確認したいところです。
テーマが共有できれば、今後のアクションに向けた動機づけ、
そして内省から行動へつなげる具体的プロセスを記録のどこを使って何をするのかという側面を丁寧に描いていきます。
特に、記録を用いた省察支援は重要だと思います。
Aが様々に胸の内を語っている記録に触れたり、Aの苦笑いの表情に焦点を当てたりするなど、
記録を学習素材として活用し、事例相談者B自身の発言や相談者Aの反応をもとに、
内省を促す手法を明記し、事例指導(またはスーパービジョン)の基本原則に忠実に示すことが重要です。
また、表情や語調など非言語的要素(記録)への注目も重要でしょう。
例えば、事例相談者Bが心掛けた温かい表情と発した言葉の意味に乖離の有無を確認していくことなども面白いと思います。
こうすることで、言語的応答と非言語的態度の不一致が、
相談者Aの心情にどう作用したかを検討する視点が出てきます。
これは、対人支援におけるメタ認知的な感受性が表現できるところです。
さらには、相談者Aの主観世界の尊重と想像的な理解を事例相談者Bと共にその場でつくりあげてみることもあります。
事例相談者Bが大切にした支援のあり方などを抽出し、
それを相談者Aがどのように受け止めているか想像することも気づきを促す効果として機能することもあります。
これは、事例相談者Bが相談者Aをどのように捉えているのか、
相談者Aへに寄り添う姿勢を促すもので、
基本的なカウンセリング観にもつながる姿勢になると思います。
最後には、今後の実践力向上への学習動機の確かめも必要かもしれません。
例えば、面談で課題にすべきこと等の認識を共有をし、学習動機を確かめる…というような、
事例指導の締めくくりとしての行動変容に向けた内発的動機づけに触れておくことです。
※このブログに記したことを試験の解答に書くのではなく、個々の事例の認識内容に基づいて具体的に示すことが必須だと思います。
何事にもいえることだと思いますが、
仮に論述の場合であれば、何度も何度も言語による表現(自己の考えを描くこと等)を繰り返し訓練を行うことが本当に大切です。
大変な作業だと思いますが、塵も積もれば山となるという感じで、
ご自身の可能な範囲で積み重ねていってほしいと思います。