本日から6月がスタートしました。
令和7年のちょうど真ん中を迎える月となりますね。
今年のはじめに、自分の中でもさまざまな変化を起こしていこうと、
いくつか新たなことに挑戦しているところ…ですが、
なかなか苦労することも多くプラン通りにはいかないことばかりです。
だからこそ、その時々においてベストを尽くして困難さを乗り越えていく、
そんな貴重な機会を得られているのだと実感しています。
※乗り越えられないものもありますが…苦笑
さて、一昨日の夜、
7月に開催するCVCLAB1級キャリアコンサルティング技能検定試験対策講座受講の募集開始をいたしました。
早速ご予約いただいた方、また日程等をご検討くださった方、
どうもありがとうございました。
現時点(本日現在)でのご予約状況ですが下記の通りです。
ご準備できるお席数は、
・7月6日(日)福岡会場で1名様
・7月12日(土)横浜会場で2名様
・7月8日(火)15日(火)29日(火)オンラインで各日3名様
となっております。
※7月講座の大阪会場は満席となりました。
大阪での受講をご希望の方は申し訳ございません。
7月といえば、第15回1級CC技能検定試験の受検申請まで、
あと約2ヶ月と近づく時期になります。
ご自身の状態を他者視点から把握したり、新たな課題を発見する機会にしていくなど、
受検に向けて整えていく年度内の絶妙なタイミングになるのかもしれません。
7月は事例指導の基盤を磨いていく基礎プログラムにもなりますので、
まだご予約されていない方は、ご無理のない範囲でぜひご検討ください。
CVCLABでは、翌月8月から月替わりでのオリジナル論述問題をご用意します。
8月以降は、12月の試験本番に向け、実践的な学びを重ねていくプログラム段階に入ります。
どうぞよろしくお願いいたします。
さて、今回のブログ記事ですが、
「事例指導者が黒子であることの意義」
について文字にしてみます。
キャリアコンサルタント同士の事例指導の場では、
事例指導者が自分の立ち位置にしなやかな軸を保ちつつ、
あくまでも「黒子」として在るという自制が大切だと感じています。
たとえば、
事例相談者がケース内容の概略を説明しただけで、
「どうしたらよかったのか」
「これでよかったのでしょうか」と問いかけてくる場面も決して少なくありません。
そういったとき事例指導者としては、
もっと状況を明確に把握したいという思いが出てくることがあります。
するとつい自分(事例指導者)が知りたい情報をあれこれと質問してしまうもの。
その結果、事例指導のセッションが、
ケース情報の整理に多くの時間を費やすようになり、
いつの間にか、事例指導者が中心になった事例指導セッションになってしまうことがあります。
もちろん、事例指導者として適度に的確な助言をするためには、
ある程度の情報を把握する必要があるのかもしれません。
そのために状況を明らかにしようとする姿勢は自然なことなのかも。。。
一方で、その「明らかにしたい」という意図が強くなりすぎると、
事例相談者に対し、立て続けに質問を投げかけることになり、
結果的に、情報収集が目的化してしまうことがあるのです。
そうなると、事例相談者も
「きちんとケースの事柄を丁寧に説明しなければ」
という方向に意識が傾き、
キャリアコンサルタントとしての深い自己内省を促す余地が小さくなってしまいます。
つまり、事例相談者の思考の流れや感情の変化、曖昧さからくる迷い等が置き去りになり、
事例相談者が抱く問題の本質に迫ることが難しくなってしまうのです。
これは試験対策の形式的な準備等が背景にあるとき、顕著に観察されると思います。
「答えがほしい」
「正しい方法を知りたい」
事例指導者である受検者がそうした気持ちを抱く。
事例相談者役の方もロールプレイなどで、
「答えがほしい」
「正しい方法を知りたい」
といった開口一番に飛び出す言葉、事例相談者の期待らしきものがある。
すると面白い現象として、事例指導者もその期待に応えようとしてしまう。
無意識のうちに「教える立場」や「評価する立場」として振る舞ってしまいがちです。
なんだか同じようなことが並行して起きている感じもします。
もし事例指導者がそれを鵜呑みにしてしまえば、
それは事例指導の場は次第に「答え合わせ」のようになり、
事例相談者役の方は「正しく語ろう」という意識をより強めてしまいます。
そこに事例指導者(受検者)が巻き込まれていく。
これは論述でも面接でも同じような現象が多く観察されると私は思っています。
これでは事例相談者自身の気づきや支援観の深まりといった、
本来目指すべき成長プロセスが抑制されてしまうことになります。
だからこそ、
事例指導者は常に「黒子である」という姿勢を大切にする必要があるのだと思います。
そっと事例相談者を支える存在です。
事例指導者は主役である事例相談者の語りや思考を邪魔することなく、
事例指導というセッションでの相互的な作用を見守りながら支えていく役割を担っているのだと思います。
事例指導者はある意味大変です。
目の前の事例相談者をキャリアコンサルタントとして理解しながらも問いかけ、
そして見守りながら支えていくのです。
事例指導者が持つ自らの知見や経験を前面に出すのではなく、
事例相談者が自由に考え、自ら問いを深められるような場をつくること。
それこそが、事例指導者のもっとも重要な役割ではないかと思います。
情報が整理されていないケースにおいて、
必要な補足や確認を行うこと自体は悪いことではありませんが、
その際に気をつけたいのは、
「情報を揃えること」ではなく
「その語られ方にこそ意味があるかもしれない」
という他者視点を持つことなのだと考えます。
ある部分を曖昧に語っている、
もしくは飛ばしているということは、
それ自体にキャリア形成支援者としての価値観や感情が反映されている可能性があります。
そうした背景に思いを寄せながら聴くことで、
事例相談者の省察をより深めるサポートができるようになるのだと思います。
論述でも同じように事例記録を読んでみると面白いです。
また、「どうしたらよかったのか」
といった事例相談者の問いに対して、つい事例指導者は何か答えたくなるもの。
こうした問いは、事例相談者の内面で起きている葛藤や不安の表れであり、
何かを答えるよりも、その問いと丁寧に向き合うことのほうが大切です。
自信が持てなかった、
関係性に不安があった、
支援者として迷いがあった、
そうした迷いみたいなものが問いの背景にあるならば、
そこにしっかりと寄りながら、
共に考えることが真の支援につながるのではないでしょうか。
事例指導という場面、営みは、
技術的な指摘や改善点をただ伝える場ではありません。
キャリア形成支援者(事例相談者)が自らの関わり方を見つめ直し、
その支援観や専門性を深めていくための貴重な対話の時間です。
そして、その対話の質を左右するのは、事例指導者がどれだけ自分を抑え、
事例相談者の語りを尊重できるかにかかっていると思います。
控えめでありながらも深く寄って聴くこと。
質問にすぐ答えず、その質問を質問のままに置いてみて、
沈黙等に耐え、事例相談者が自ら言葉を紡ぎ出すのを待てること。
これらは一見すると受け身にみえるかもしれませんが、
実は能動的な態度、姿勢であると思うのです。
キャリアコンサルタントは、他者の成長を支える専門家。
そして、仲間であるキャリア形成支援者の成長を支えるという点でもその本質は変わりません。
「他人のキャリアを支援するとはどういうことか」
「キャリア形成支援者同士で他者のケースに関わるとはどういうことか」
という問いを、常に自らに向け続ける。
そのうえで、事例指導の場において、主役は常に事例相談者であることを忘れず、
事例指導者自らは黒子としてそっと支える存在であることを大切にしていきたいもの。
そのような姿勢こそが、キャリアコンサルタントの真の支援者としてのあり方を体現するものではないかと考えるのです。