一昨日の夜、福岡に帰ったのですが再び本日から東京出張です。

今日も朝イチの飛行機。

最近は本当にいつも朝からいつも混んでいます。

多くの方が早朝から活発に活動されている姿をみると、本当によかったと感じることがあります。

コロナ禍を経験してきたことが、

今の普段の生活の有り難みにつながりますね。


現在、飛行機の機内Wi-Fiを使ってブログを書いています。


嬉しい悲鳴でもあるのですが、

この頃ワイシャツを回すのがタイトになりました。

クリーニングが追いつかない感じ。

それだけ正装での諸活動が増えている証なのです。


お話しがガラッと変わり、

最近身体の軽やかさがなくなってきているような気がします…(苦笑)。

60歳というのは50代とはまた異なるのかもしれません。

体力や気力を保つためにも、そろそろジムなどに通ってみることも必要かな…と考えています。

心の年齢は30代から40代という感じなのですが、

身体の年齢はどうやら正直なようです^ ^。


さて、今回の記事ですが、

1級キャリアコンサルティング技能検定実技論述試験の問題に出題された、

「あなたの見立てに基づき、相談者A自身が問題解決をするために取り組むべきことは何か」

という問いについて考えてみたいと思います。


キャリアコンサルタント同士による事例指導やスーパービジョンを実践していくための訓練場面をイメージして描きますね。

これは1級実技(論述・面接)試験でも重要なポイントになると思っています。

※ここでは特に事例指導にフォーカスいたします。

 

事例指導の場面では、事例相談者が気になっているケース内容を通じて、

事例相談者の成長を目的とした関わりを考えていきます。

 

「あなたの見立てに基づき、相談者自身(クライエント自身)が問題を解決するために取り組むべきことは何か」


この時、事例指導者(受検者)が相談者の担当者(キャリアコンサルタント)であれば、

シンプルに相談者の問題を見立てていけば良いのですが、そうではありませんよね。


つまり1級の場合、2級と同じ問いが出題されても


「あなたの見立て」というのは

「あなたが相談者A担当のキャリアコンサルタントになる場合の見立て」を問われているわけではないでしょう。


そもそも事例自体が事例相談者Bが事例指導を受けるためにまとめたものになります。


つまり

「あなたの見立て」=「事例指導者の見立て」

とならないといけません。

※事例相談者Bの成長支援と相談者へのよりよい支援を目的としたキャリアコンサルタント同士による見立てを考えるわけですね。


このように考えてみれば、

「あなたの見立て」という認識や発想がだいぶ変わってくるはずです。

考える起点が変わりますよね。


事例指導者は事例相談者の成長を目的とした関わりを意識して、

それによっての相談者支援の向上を目指すのです。

 

あくまで事例相談者が事例指導を受けるためにまとめたケースを使うため、

「あなたの見立てに基づき」という捉え方は、

事例相談者の視点での見立てと、

それを通した事例指導者である自分の異なる視点(仮説の仮説)を合わせたものが「あなたの見立て」を意味するものだと考えています。


この考えを基にして、

相談者が問題を解決するにはどのようなサポートが必要であるか…

これらを検討していくようなプロセスが問われているのだと考えます。


これは事例指導の実践でも重要なポイントになると考えますし、

キャリアコンサルタント同士による事例指導の本質に迫るものになるでしょう。


ここで改めて事例指導者の『見立て』とは何かを考えてみたいと思います。


この問い

「あなたの見立てに基づき、相談者自身(クライエント自身)が問題を解決するために取り組むべきことは何か」

という設問はぱっと見に「相談者へのアドバイス」を求められているように認識しそうです。


ただ、事例指導の文脈では、

「事例相談者の見立て + それを踏まえた事例指導者としての見立て(いわば二重の見立て・異なる視点の掛け合わせ)」を統合して、

相談者がどうすればよりよい方向に向かえるのか、という仮説的支援方針を立てるプロセスこそが問われているのだと思います。


こうした思考や感覚を日頃から磨くのと磨いていないのでは、

事例指導に対する面白みが全く異なってくるように感じています。

 

1級試験対策でも訓練場面における適切な考え方として、

次のようなステップで捉えることができるのではないでしょうか。


事例相談者の見立てをケースから丁寧に読み取ること。

事例相談者が相談者をどのように理解しているかを尊重しながら、観察、推論、感情の動きなどを読み解くという必要があります。

事例相談者が持つ見立ての特徴や持ち味、その傾向などから、相談者支援の手掛かりがどのようにみえ、また改善の余地がありそうか。

どんな視点が強調されていて、どの視点が弱めなのかを吟味してみることです。

 

次に、(事例指導者/受検者)自身の補助的・仮説的な見立てを立ててみることがあります。

つまり事例相談者の視点をベースにしながら、

別の角度(面談関係性の段階、関係性の質、支援過程の意味づけなど)から仮説を構築します。

「この事例相談者はなぜこのように見立てたのか?」というメタ視点も加えるといいでしょう。

 

このように上記の視点を合わせて、

相談者にとっての「取り組むべきこと」を考えてみるのです。


事例指導者として事例相談者がまとめているケース記録を尊重して、

事例相談者の見立てを読み取ったうえで自身の視点を合わせて複数の視点からの見立てができること。

これが事例指導の実践においてとても大切なことになります。


単に人のケースを読んで自分の視点だけを優位にした解答になると、

実技として実際の効果的な事例指導の場面が得られないと思うのです。


これらの高次な思考過程を経て

「今、相談者自身が向き合うと成長につながる可能性が高い課題は何か?」を考察していくのです。

勿論、この時に相談者の準備度やリソース等にも配慮していくと、また新たな視点が生まれます。

 

なお、相談者の行動を促すために事例相談者ができる関わりを考えることも必要だと思います。

相談者にとっての「取り組むべきこと」が現実的なものとして働くために、

事例相談者がどう支援すればよいかを明確化していくことも重要なことです。


当然に「事例相談者の成長」を促す意図も重なっていくわけですね。

「この関わりをとれるようになることが、あなたの支援力向上にもつながるのかもしれませんね」という指導者としての関わりも視野に入れて考えておくのです。

これは後の問いの解答にもつながってきます。

 

このように整理することで、問いに対して単なる「クライエントへのアドバイス」ではなく、

事例相談者と共に仮説を扱いながら、

支援の構造そのものを探究するという、

事例指導の本質的なアプローチが可能になると考えたいところです。


事例指導者(受検者)にこうした理解があることで、

事例相談者が事例指導を受けるためにまとめた事例自体が立体的になるのではないでしょうか。