企業内でのマネジメント研修や、

指導レベルキャリアコンサルタントを目指す訓練において、

その多くの場合、特に熟達者やベテラン勢が揃っている場であればあるほど、

無意識のうちに「こうあるべき」という価値観等が強制されることが多いと実感しています。

 

例えば、何かの熟達者等が持つ価値観や常識、または権威性や支配力に伴う意識が表出し、

目の前のそうでない誰かがその通りに振る舞わないとき、

その熟達者は苛立ちを覚えたり不満を抱いたりすることがあるかもしれません。

 

目の前の人が常識(常識とは異なるかも)を守らなかったり、

予め取り決めたつもりの何かのルール??を目の前の人が逸脱したとき、

「どうしてこの人はその程度のことを守れないの??」

「調和が乱れる!このような人間のために無駄な時間を使うのが嫌だ!」

と言わんばかりの感情を抱くことがある。

 

もしかしたら自分の思い通りに動かない人を見たとき、

こうした感情を抱くことが多いのかもしれません。

カウンセリングの場でも、事例指導の場面でも、

クライエントや事例相談者の言動やケースに否定的な違和感を持つことがあるのかも。

 

もしそんな傾向があるのであれば、

それはカウンセラーやキャリアコンサルタントとして、

クライエントを傷つけてしまう可能性があるかもしれません。

 

自分の感情や思考等をコントロールできるのであれば、

そこで肯定的な観点からものを見ることができるようにし、

「どうしてだろう?」と自分を見つめる方向で立ち止まり、

その目の前の相手の背景や価値観等に思いを馳せることに徹してほしいところです。

 

これはカウンセラーとしての基本的なあり方を問われる瞬間なのかも。

 

人との異なりに直面したときこそ、

私たちは何を大切にするのかを試されているのだと思います。

 

自身の価値観や常識と思っていることと「相容れない」ような人と一緒に学ぶこと、

これに強いストレスやフラストレーションを抱く人が様々な業界にいらっしゃいますが、

キャリア形成支援者として考えたとき、それは悪影響を及ぼす可能性があります。

本来自分に備わっている受容的な態度や適応力の低下、

柔軟性の欠如によっての人間関係構築の難しさに繋がったり、

そもそも自分自身のストレスによる悪影響も出てきます。

そんなはずではなかったのに、

自分で自分を締めつけてしまう可能性があるように考えます。

 

これまで私が教えられてきたこと、

そして今もそうした研鑽を期待されているのですが、

人が苦手だと感じるところ、人が嫌がることを、

自身の中でいかに積極的、そしてポジティブに変換しようとすることができるか、

人に自分が認識している正義感を押し付けないことがいかにできるか、

こうした訓練は絶対に嘘をつかない、

それが他者への支援力向上の積み重ねになるのだと言われてきています。

他者がつまらない、嫌だな…と思うことを淡々と努力し積み重ねていく、

人のことを否定せず、自分中心にならないこと、

そんな生き方、あり方の自分が、どんなオンリーワンのストーリーを描くことができそうか、

そんな取り組みの積み重ねが、いつの間にかとんでもないことを達成できる瞬間が訪れる、

これを知らない人が多い、それを体験したことがない人が多いのだと教えられてきています。

 

人のキャリア形成支援に携わる指導者という役割のまなざしからみるものとして、

他者(全てのクライエントや学び仲間等)をひととして全人的に愛するのだということは、

そのひとが持つ異なりに向き合うことでもあり、

それを努力し続けることは必須なのではないかと信じています。

※他者が離れていくことは仕方がないとは思いますが…汗

 

3年ほど前から、CVCLABの講座の中でも

「異なりを歓迎」「異なりに驚きを持つ」といった表現を共有して、

受講者の皆様と考え、話し合ってまいりました。

 

本日は年度はじめの仕事の中で、そうしたことを実感した一日でした。

 

1級キャリアコンサルティング技能検定試験に向き合う際も、

こうしたあり方は、とても大事になるのではないかと思っています。