本日は研修のお仕事をしながら、
休憩時間等を利用し、試験結果をメールしてくださった方にお返事したところです。
また改めて詳細の通知が届きましたら、差し支えなければ教えていただければ幸いです。
さて、昨日のWeb上での1級キャリアコンサルティング技能検定試験の合格発表に併せて、
1級実技試験の「採点官、面接試験官から観た受検者の傾向」もアップされています。
第14回の1級受検者の方はすでに内容を確認されているかと存じますが、
"試験の合否について説明するものではない"としながらも、
この資料は、事例指導者のあり方やキャリアコンサルタントとしての実践力向上に、
ダイレクトにつながる掲載内容になると思います。
さらに、1級実技試験の受検に関しての自己の振り返りを、
より深めていくための学習素材として活用されることをお勧めいたします。
特に”事例検討に終始し時間をかけ過ぎてしまう”という最後の掲載内容は、
実際の訓練時のロールプレイや振り返り、グループワーク等を観察していて、
散見される現象でもあるといえます。
頭ではわかっていても
”ケースの事象ばかりに終始してしまった…”
といった言葉は本当に多く聞きます。
今回の記事では、
どうして事例指導者も事例相談者もケースの事柄等に注意が向き過ぎてしまうのか、
こうしたことに触れてみたいと思います。
まず、実務的な問題解決志向の強さがあると思います。
そもそも事例相談者(ケースをまとめたキャリアコンサルタント)は、
クライエント支援において具体的な問題解決を求める傾向があるかもしれません。
実践でも、事例相談者の不安感や経験値の影響として、
自分の面談過程の自信がなく、
「この対応で正しいのか」「他に良い方法があるのでは」
といった不安を抱きやすいものです。
そのため、事例指導の場で「正解」を求めてしまい、
事象分析に焦点が集まりやすくなります。
つまり、事例指導やスーパービジョンの場でも
「どう対応すればよいか」という実務的なアドバイスをもらうことを優先しがちです。
結果、事例指導者までもが巻き込まれ、
事例相談者も事例指導者もケースの事象分析に重点が置かれて、
事例相談者自身の内省が後回しになることがあります。
さらには、事例指導者の面談スタイルの影響と事例指導面接における理解不足もあります。
事例指導者自身が、問題解決型の指導を重視している場合、
ケースの分析や具体的な対応策の議論が中心になりやすく、
事例相談者の内省を促す機会が減少します。
特に、事例指導者が事例指導面接の理解が不足している場合、
「適切な答えを提供しなければならない」と考えていることがあるかもしれません。
結果、事例指導の面接自体が指示的・教授的になり、
事例相談者の主体的な気づきのプロセスが阻害されることがあると思います。
事例指導の面接では、ケースの具体的な対応策を検討することも必要な場面はありますが、
それが事例相談者の成長を妨げる要因となることもあるということを事例指導者が知っておくことが必要です。
特に、事例相談者が実務的な解決を求める姿勢が強い場合、
「どのように対応すればよいか」という問いに意識が集中しがちです。
ケースの事象分析に重点が置かれるあまり、
事例相談者自身の面談プロセスの背景への理解や、
自己内省が後回しになってしまうことがあります。
事例指導者自身が問題解決を重視してしまうと
「適切な答えを提供しなければならない」と考えてしまう傾向が出やすいと思います。
すると問いかけや質問が誘導的になりがちです。
結果、ケースの具体的な分析や対策の議論に終始し、
事例相談者の主体性が促されにくくなります。
事例指導の面接の目的は単にケース対応の最適化にとどまることではありません。
事例相談者が自身の支援のあり方を自ら振り返り、
その経験を通じて成長する機会とすることが本質的な意義です。
そのためには、事例指導者が「正解を教える」姿勢から一歩引き、
事例相談者の思考や感情に寄り添いながら、自ら気づきを得られるような関わりを意識することが求められるはずです。
※そもそも唯一の「正解」はないものですが…。
問題解決志向と情緒焦点志向、そしてその気づきのバランスをどのように取るかが、
事例指導の面接の質を左右すると言えるのではないかと思うのです。