3月29日(土)開催のオンライン事例指導公開セッションイベントについて、

昨日をもって満席となりました。

お申し込みいただきました方、またご検討いただきました方、

どうもありがとうございました。

 

お問い合わせとして、複数の方から、

「他日程はありませんか、録画を観ることはできませんか、」

といったメッセージも届いていて、本当に本当に感謝しております。

今回はご都合が悪く、参加できないという方、

また来年も同じ時期にイベントを企画できればと考えていますので、

その際には改めてご検討いただきたく、重ねてお願い申し上げます。

 

なお、本イベントでのセッションはロールプレイなどではないので、

参加者の方も、また主催者側でも、録画録音、撮影等は一切禁止としています。

映像や音声記録を残すことができないため、

後日、ご覧いただくということができないことになります。

ご容赦いただければ幸いです。

 

当日は60名のキャリアコンサルタントの方々と一緒にリアルな学びを体験いたします。

 

30分間、オンラインで事例指導の面接を観察いただき、

その後、グループに分かれて、

今後のキャリア形成支援者同士によるスーパービジョンや事例指導面接のあり方、

その意義を深めていくための活きた意見交換等を展開いただく予定です。

 

私自身、当日がとても待ち遠しい感じです。

 

日々ここで"たかぴー"な記事ばかりをアップし続けているので、

イベント主催者(小林)自らが恥をかき、汗をかく場面が増えていく…

という仕組みになっております(笑)。

 

なお、"たかぴー"という表現は、

私の好きな先生(春秋先生)が言葉にしていた表現です。

 

さて、前回ここでは、

私のスーパービジョンでの失敗から学ぶことをテーマにして記事を書きました。

 

すでにお気づきの読者様もいらっしゃるかと思いますが、

前回の記事では、特にバイジーとバイザーとの関係性にフォーカスする架空の内容を描いています。

 

事例指導者やスーパーバイザーとして、諸研鑽トレーニングを行なっていると、

ケースそのものの方策等に着目して、

問題点から改善点を検討するような思考が発動しやすくなることがあります。

特にケースの内容、面談の進め方、クライエントの問題、

バイジーの面談のやり方の問題等にフォーカスしがちです。

※それが全て悪いと書きたいわけではありませんが…。

 

例えば、

1級キャリアコンサルティング技能検定試験対策講座のプログラムなどにおいても、

ケースの具体的な内容や、事例相談者の手立てそのものに注目したワークになるとどうなるか。

恐らく、ケースの進め方とか対処法、クライエントへの適切と思われる支援方法など、

こうした手立てに焦点が当たっていく思考モードになりやすいと思うのです。

どこかハウツーとか、ノウハウ伝授のようなやり取りに終始する感覚。

 

スーパービジョンや事例指導の効果を実践的に考えていく場合、

上記のようにケースにフォーカスするのでは、学習者の成長支援として成立しないと実感します。

 

今回の記事では、前回に引き続き、

スーパービジョン、事例指導の実践・基礎的なところを考えてみたいと思います。

基盤になるところと言い換えてもいいかもしれません。

 

なお、ここでは1級キャリアコンサルティング技能検定試験を意識して記事をアップしますので、

今回はこれ以降「事例指導」に絞って表現します。

 

事例相談者(キャリアコンサルタント)にとって、

事例指導を受けるということはどんな意味・意義が考えられるでしょうか。

勿論、その人によって様々であることはいうまでもありません。

たまたま事例指導を受けなければならない環境に所属していたり、

友人や先輩に勧めらたから一応受けてみるということもあります。

 

だからこそ、事例指導者を担うものとして考えておきたいことがあります。

 

事例相談者にとってみれば、

事例指導者(私たち)の態度や振る舞いが相当な影響を及ぼすことは理解できると思います。

事例指導者がどこか卓越した人物だったり、業界で精鋭として活躍している人だったり、

つまり、事例指導者がきちんとしていればしているほど、

「自分にはまだ事例指導を受ける準備が整っていない気がする」

「少し面倒なことになってきたぞ…」

といった感覚を事例相談者に抱かせてしまうこともあります。

 

自己紹介でやたら自分を引き上げることがありますが、

それが逆効果を生むこともあることを知らないと勿体無いことになりますよね。

 

また事例相談者が事例指導で感じることには、

単なる自身の準備不足以上の要因を含んでいることもあります。

 

事例相談者として、自分の具体的なケースや、自身の内面について触れられていくと、

むしろ、事例指導のプロセスを通じ、直面するであろう課題から、

一時的に逃避したいという気持ちが見え隠れすることだってあるのです。

 

これは自分がスーパービジョン等で経験していないと、

この気持ちがわからないかもしれません。

 

事例指導の初期では、

特にこうした事例相談者が抱く戸惑いや揺らぎは珍しくないともいえます。

 

だからこそ、事例相談者が無意識に期待している安心して自身の感情を言葉にできる機会、

これを指導者側からそっと解放していけるような雰囲気、

そんなさりげない関わりと場と器創りが必須だと感じるシーンは多々あります。

 

ある事例相談者の方がこんなことを言ってくれたことがあります。

※全て加工して架空のものにしていますが大事な要点を押さえています。

 

「自分が未熟なことがなんだか怖くなり、期待に応えられない不安みたいなものから逃げたかった」

 

事例指導の時間の中で、

事例相談者の方からこの気持ちを受けた瞬間、

私は事例相談者の方の成長の兆しを一瞬で感じたものです。

 

読者の皆様はこのような場面をどのように捉えるでしょうか。

 

事例相談者の方が、自分の不安と向き合い、それを言語化してみること、

これは私たちキャリア形成支援者にとって大きな成長の一歩です。

 

このような瞬間瞬間は、事例相談者と事例指導者との関係構築において、

信頼関係を紡ぐための本当に大切なプロセスであると認識できます。

 

事例指導の面接そのものが学びの場であり、

必ずしも事例指導を受ける際「準備万端」である必要はないということ、

これを全ての学習者へ伝えていくことの重要性、指導者のあり方、

このようなことを痛感します。

 

事例指導者の心持ちひとつで、

事例相談者に与えていくプレッシャーや価値観が大きく異なっていくこと、

これを指導者は十分に認識して、そして柔軟な受容力を鍛えていく必要があると思います。

スーパーバイザーのあり方も、こうした点では同じではないかと考えています。