本日は第14回1級キャリアコンサルティング技能検定試験最終日「前日」です。
明日受検される方の中には、
本日中に東京か大阪の試験会場近隣に移動される方もいらっしゃるかと思います。
慣れない土地で宿泊先等でも落ち着かないこともあるかもしれません。
なるべくリラックスできるように工夫をしてお過ごしください。
ゆったりと湯船に浸かったり、
美味しいご飯をいただくことも、少しはリラックスに繋がるかもしれませんね。
さて、今回の記事では、事例相談者との関係性について、
ケース内容(クライエントと事例相談者との間に起きていること)と同じようなことが、
事例指導ロールプレイの中でも起こっている…!?
という興味深い現象について取り挙げてみたいと思います。
(一体どういうこと…?)
といった感じで、
ピンとこないこともあるのかもしれません。
実際、キャリアコンサルティングにおいても、カウンセリングにおいても、
面談の中でクライエントが自身の抱えている本質的な問題等に、
気づかないことはしばしばありますよね。
※だからこそ相談に来るのだ…ということもあるでしょう。
キャリアコンサルタントがクライエントのことを時期尚早にわかったつもりになって、
仮に、問題に触れたりする(勿論、問題把握の見立てが大幅にズレていることもある)と、
クライエントは自分の行動や考え方が間違っていると指摘されたように感じたりして、
二人の間の信頼関係が維持されず面談中断に終わることがあります。
試験対策的によく観察されるのが、相手を説得する、納得させるための
「引き出し」や「切り口」みたいなものを予め準備している場合があります。
こうした考えを持つことは、相手への敬意に欠けることになると思います。
カウンセリングでもキャリアコンサルティングでも、
面談の場、仮にそれがロールプレイであっても、
相手(クライエント等)を操作していくような発想は非常にいただけません。
この現象、例えば、
キャリアコンサルタント同士で行うスーパービジョンの間にも観察されることがあります。
当然に、事例指導の実際の面接や、ロールプレイ演習等でも同様のことがあり、
これを少し説明してみたいと思います。
そしてこの現象は、1級の面接試験におけるロールプレイにおいても、
同じように起こっていることがあると想像します。
ここでは1級技能士を目指す方を対象に記事を書き続けていますので、
事例指導のロールプレイをテーマにします。
まず、事例指導者(受検者)が事例相談者に対し、
事例相談者の抱える問題に気づかせようと焦るあまりその点にフォーカスし過ぎると、
事例相談者は
(自分のやり方が不十分である、自分が誤ったアプローチをしている)
と、事例指導者から責められているように感じてしまうことがあります。
こんな時、事例指導者も視野狭窄に陥り、
事例相談者に(あなたは間違っていますよ!気づきなさい!)といった感じで、
やり方や方法の改善点に偏ったサイン(引き出しや切り口)を送り続けるので、
事例相談者は(違う!いやだ!)と首を横に振る。
※直接的に上記のような言葉遣いはしていないと思いますが…苦笑
これはよくないセッションだと考えます。
こうした事例指導者の態度から影響を受ける二人の関係性というのは、
事例相談者にとって自己評価を下げる原因にもなり、
成長を促すどころかモチベーションを損なう結果となることが多いのかもしれません。
事例指導の本来の目的は、
事例相談者が自分の思考や行動を振り返り自らが成長できるよう、
側面的なサポートをすることです。
事例指導者が過度にケースの進め方等に介入し指摘的な関わりになっていると、
事例相談者が自ら気づき、学び得る機会を奪ってしまうことにつながることがあります。
これは双方にとって建設的な対話にはなり難いでしょう。
さらに、このような二人の関係性になっていること自体を、
事例指導者自身が俯瞰して観ることができていないという場合もあります。
事例指導者が無意識的にムキになってしまう状態
(たとえ前のめりな状態を隠した態度だとしても)
にあると、それは事例相談者にも顕著に伝播するかもしれません。
事例相談者は「自分が間違っていると評価されている」と感じると、
自己の問題を解決するための前向きな態度を失いかねません。
ここで改めて場面を変えて書きます。
事例相談者が持ち込んだケースをみた場合、
クライエントに対して、
事例相談者(キャリアコンサルタント)がキャリアコンサルタント視点満載な状態で、
クライエント視点をどこか置き去りにしているような内容であるとします。
これはクライエントをわかっているようでわかっていないのかもしれませんよね。
だから面談中断になっているなんてこともあります。
場面を戻して書きます。
結局のところ、
事例指導者が事例相談者に対して上記の場面と同じようなことをしている…
という表現ができるかもしれません。
一種のパラレルな現象です。
効果的な事例指導というのは、
事例相談者が自分の課題を自ら認識し、
その上で自己改善に向けて取り組む意欲を高めることにあります。
キャリアコンサルティングもこのような視点では同じことがいえるのだと思うのです。
事例指導者は助言を提供していく際に問題点を強調するのではなく、
対話の中で自然に事例相談者が自ら感じている糸口から
深くリフレクションを促すような姿勢が求められます。
二人の間の相互の信頼関係を前提に、
事例相談者が自分の成長を実感できるような支援を行うことが、
より善き事例指導の面接の鍵になるのだと考えます。
事例指導者が、ケースの進め方とかやり方、方法、
そうしたところにフォーカスすればするほど、
見失うことも多くなるかもしれません。