1級キャリアコンサルティング技能検定実技面接試験のロールプレイにおいて、
事例指導者(受検者)からの問いかけ等に、
事例相談者が違和感を覚えることがあるシーンをひとつイメージしてみます。
なお、ここで記事にする内容は私自身の諸体験等をもとに加工し、
考えられる要点を組み合わせ架空内容をベースに書いています。
仮に、
事例指導者が下記2つのパターンで事例相談者に対して応じているシーンがあるとします。
このような場面で事例相談者はどのような感情を持つと推測できるでしょうか。
1、
事例相談者
「どうして相談者〇さんは来てくれなかったのかな…?」
事例指導者
「私は相談者〇に会ったことがないのでわかりません。〇〇さん(事例相談者)が相談者〇さんにお会いして話をしているのですから〇〇さんに考えてもらいたいのです。」
2、
事例相談者
「他にどんな方法があったのでしょうか?」
事例指導者
「どんな方法があったのか…それはあなたの中に答えがあると思います。〇〇さんの方で他に何か考えられることはありませんか?」
これは2つとも残念な関係になりそうですね。
あくまで架空の2つの例題となりますが、
わりとありがちなシーンにもなるのではないかと想像いたします。
上記の2つの応答に関して、
事例相談者の感情変化や認識に影響していくものを少し検討してみます。
先ず、1も2も事例指導者からすれば、
事例相談者の主体的な思考や行動を促そうとしているのかもしれません。
一方で、事例相談者が感じている状況やその心情によっては、
プレッシャーや不安を感じさせる可能性もありますよね。
上記のように対応されると、
なんだか囲われているような、
また突き放されている感じを覚えることもあります。
本来、共感や安心感を提供する応答の方が、
より事例相談者にとって有益であり、
自己主体の解決へのサポートになる場合が多いと言えます。
1や2のような類のことを事例指導者が発する場合、
事例指導者側の心境からみてみると、
事例相談者からの問いに対して、
自分が直接的な答えを提供することに対し不安やプレッシャーを感じたり、
無意識的にその責任を回避しようしているのかもしれません。
答えが明確でない場合や、
答えることにリスクがあると感じる場合、
事例指導者としては
「あなたが会っているのですから」
「答えはあなた自身の中にある」
といった形で、責任を事例相談者に転嫁し、
自己防衛をしようとする傾向が出てしまうことがあるのだと想像します。
例えば、
間違ったアドバイスをすることで相談者に悪影響を与えたくない、
関係が悪化するかもしれない等、
様々な懸念が事例指導者の中で生まれることもあります。
一見、事例相談者の主体性を喚起しているようにみえるかもしれませんが、
実際には「わたしは会っていないので」「あなたの中に答えがある」とわざわざ言葉で発している時点で、
事例相談者に責任みたいなものを押しつけている形にもなるのかもしれません。
これは自己決定感を促進することになり難く、
事例相談者にとっては孤立感や不安を引き起こす可能性があると思うのです。
事例相談者が、
まだ事例に対して自己の課題の糸口や手掛かり等を見出していない場合、
事例指導者のちょっとした言葉が責任の重圧として感じられることがあります。
諸々の仕事等においても、
「任せるよ」というニュアンスが、
相談した側が一人でなにかを見つけなければならない、
行動しなければならないというプレッシャーを感じさせることがあるのです。
事例相談者からすれば自分の解釈に自信がない場合、
「あなたの中に答えがある」「あなたが決めること」と言われることが、
逆に不安や迷いを引き起こすこともあるでしょう。
これはクライエント支援でも同じことなのかもしれません。
事例相談者は自分が正しく理解できているかどうかに疑問を抱くことがあるため、
上記のような応答は、さらなる思考や感情の混乱を招く可能性があります。
なんとなく身に覚えがあるという方は、
ご自身のロールプレイ訓練などの音源があれば、
そのような対応をしている箇所をみつけて、
相手との関係性になにが起きているかなどを観察して聴くと新たな気づきが出てくることもあるかと思います。
1級受検、応援しています☆