今夜は日本キャリア・カウンセリング研究会(JCC)主催
「1級キャリアコンサルティング技能士による事例指導講座」がオンライン開催されます。
2024年度における本講座は本日が最終回です。
今年度は昨年6月から始まっているのですが、
毎月のように受講いただいている方もいらっしゃいます。
学びを重ねる毎に事例指導に関する奥深さと面白さ、その可能性等に気づいていただける機会があったのではないかと想像しています。
本日受講いただける皆様、どうぞよろしくお願い申し上げます。
なお、1級技能検定試験が近づいていますので、
講座では特にロールプレイや口頭試問での場面で留意しておきたいところを皆様と考えてみたいと思います。
事例指導は、事例を通じて学びの機会を求めている事例相談者のキャリア形成支援力を高める支援の場であるという認識が両者に必要です。
特に、事例指導者側の軸にこのような姿勢や態度が備わっていることは重要なポイントにもなります。
事例指導の目的は事例相談者の「未熟さ」や「マイナス面」を指摘することではないはずです。
なにかをやったのか、やっていないのか、
他になにか方法が考えられるかどうか、
ケースに対するこうした対処的なことをいくら吟味したところで、
事例相談者は「それがわからないから来たんです」というモードに入りやすくなります。
事例指導者は、事例相談者の中にある考えや気持ち等をより深く理解し、
そのひとのキャリア形成支援者としての自己成長を促進する手助けをします。
ケースのやり方あれこれではないのだと思うのです。
※リフレクションの効果が薄い状態であれば、
「どうすればよかったですか?」
「やり方がいけないってことですか?」
といったどこか他者依存的な、受動的な段階のままのことも多いですよね。
事例指導の面接で大切なのは、
事例相談者が自らのケースから経験を振り返り、
多角的、多面的な発想から新たな視点や解決策を自分の中で自然体に生み出せる過程をサポートすることです。
事例指導者は間違っても、
「私は相談者には会っていないからわかりません…」
「相談者と対面したのはあなた(事例相談者)なのだから考えるのはあなたなんですよ)
「あなた(事例相談者)の中に答えがあるんですよ」
といったことを言ってはならないと感じます。
どこか突き放したような発言、
責任を事例相談者に押し付けていくような言葉がけをすることは、
事例指導者の基本的な態度として歓迎できない感じもします。
そもそも「私は会っていないのでわからない」ということを当然のように発している時点で、
その以前から、二人の関係性が弱い状態にあることはいうまでもありません。
事例相談者が直面している課題に対して、
事例指導者は共に考え、時には質問を投げかけたり、その感じ方等を共有することで、
事例相談者が自らの答えを見つける手助けをします。
これは終始一貫し、事例指導者は事例相談者の圧倒的な応援者だからこそ成せる態度なのだと実感します。
上記のようなプロセスを通じて事例相談者は自己理解を深められ、
より効果的な面談の態度、そしてスキルや技法を身につけることができるのでしょう。
事例指導はなにかを教える場ではなく、
事例相談者がもつ能動性や主体性を引き出し、それを育みながらの学びの場です。
事例相談者が自分の力で成長していく過程を大切にすることが事例指導の本質。
事例指導が「自ら気づきを得るプロセス」であることを認識・理解し、
事例相談者が成長する過程を支援することが事例指導者の醍醐味です。
そしてこれがまさに1級技能検定実技試験で求められているひとつの態度であり、
また必要な技術や磨くべき人間観であると考えています。