本日、横浜にて、
1級キャリアコンサルティング技能検定試験対策講座の3日目を開催いたします。
横浜会場における1月の1級対策講座プログラムは本日が最終日です。
講座にご予約いただいた方、どうぞよろしくお願い申し上げます。
いよいよ1級面接試験日が近づいてまいりました。
一番早い受検日は今週末2月1日(土)です。
皆様の1級合格、心から応援しています。
体調を整えて受検に臨んでいただけることを願っております。
突然ですが、
昨夜放送されていた某テレビ番組で「ひとの仕事」にフォーカスするものがあり、
そこで、ひとは仕事や学びを通じ「誰を幸せにするのか」というテーマに触れられていました。
自己の利益を求めているうちはそうした真のモードに入っていないとする内容です。
この番組を通じ、
1級キャリアコンサルティング技能検定試験に対しても、
実際のキャリアコンサルティングにおいても、
キャリア形成支援者としてダイレクトに響くあり方、考え方になると改めて考えた次第です。
例えば、
事例指導のロールプレイ演習を行いながら、
セッションを通し、両者が「誰を幸せにするのか」
ということを双方がリアルに考えていることはそれほど多くはないのかもしれません。
今回のブログ記事のテーマにもつながりがあることなのですが、
二者間で行われる事例指導というセッションは、
事例指導者が事例相談者に単に「指導」を提供するものではない、
事例相談者を言い訳モードや他力本願モードにさせてしまうことではない、
こうしたことを理解しておくことにもつながるように思います。
事例指導でも要点となる「壁打ち相手」としての事例指導者(聞き手)の
存在と役割の重要性を文字にしてみたいと思います。
キャリア形成支援でもカウンセリングでも、
聞き手の役割は単に「聞く」ことにとどまりません。
これは、話し手が困っている状況やその内面を表現するための安全なスペース・場と器を創造することでもあり、
またその間で「壁打ち相手」として機能することが求められます。
このブログは、
1級キャリアコンサルティング技能士を目指す方を対象にメッセージを配信していることもあり、
ここでは「聞き手」を事例指導者、「話し手」を事例相談者として表現します。
ここでの「壁打ち相手」というものを考えてみると、
事例相談者が言葉を投げかけた際、余計な色をつけずに反応が返ってくることで、
事例相談者が自分の考えをさらに深め、整理することができる状況を作り出す存在であるともいえます。
対話の醸成にこの役割は重要で、キャリアコンサルタント同士での訓練において、
事例指導者の態度やそのスキルは予想以上に大きな意味を持つのだと考えています。
しかしながら、こうした態度やスキルが、
1級キャリアコンサルティング技能検定実技面接試験になると、
なぜか「壁打ち相手」としての機能が発揮されていないことがあるかもしれません。
それは、試験という場の中で、事例指導者が
《この問題に気づかせなければ》
《どこかで目標を設定しなければ》
《展開しなければ》
といった一般的な理想的フォームを目指しているからかもしれません。
「壁打ち」という言葉を物理的に解釈してみれば、浮かびやすい光景として、
ボールを壁に投げ返ってくるボールの感触を確かめることがあります。
※子どもの頃、私は野球チームに所属していたため、そうしたイメージが強いだけです…。
事例指導におけるコミュニケーションという観点から心理的な視点に置き換えてみれば、
事例相談者が言葉を発することによって、
その反応が返ってくることで自分自身の思考が整理され、
新たな洞察や気づきを得るプロセスを意味すると考えます。
キャリアコンサルタント同士による対話トレーニングにおいて、
この「壁打ち相手」として事例指導者が果たす役割は、
まさにこのプロセスを促進し体験することなのだと実感しています。
事例相談者は自分の言葉がどのように響くか、
またどの部分が重要であるかを確認するために、
反応が返ってくることを無意識にも求めているはず。
重要なのは、事例指導者が一方的に助言やアドバイスをするのではなく、
事例相談者の言葉を反復したり、簡潔な質問を投げかけたりすることで、
事例相談者自身が自分の思考を深める手助けをすることになるのです。
ですから、ロールプレイ中での対話トレーニングを意識してみたとき、
事例指導者が「壁打ち相手」になることには深い意義がでてきます。
事例指導の場面においてもカウンセリングアプローチの重要性の認識とスキルを磨くには、
事例相談者の思考を引き出すための微細な反応やフィードバックが求められるはず。
事例相談者が気づいていなかった感情や思考、視点等を明らかにするためには、
事例指導者が適切なタイミングで適切な質問や感じ方を投げかけることが必要なのです。
つまり「気づきを促す」とは、
事例指導者が何かに気づかせるという発想ではなく、
事例相談者が自らの中に隠れていた感情や視点などを明らかにしていく側面サポートなのです。
事例指導者は注意深く言葉を選んで反応することで、
事例相談者にとって新たな自己認識を促進するきっかけとなる場合もあり、
自分の言葉が相手にどのように受け取られているのかを意識することで、
自己理解が深まるという効果が生まれます。
事例相談者の成長を目指す上で、事例指導者が果たすべき役割は大きく、
自分の思考や感情を他者に伝えることができたとき、
事例相談者はその言葉を通して自分をより深く理解し、
問題解決に向けた手がかりを得ることができます。
対話の中で、反復や要約、または異なる視座・視点を投げかけることによって、
事例相談者は新たな発想を得て、その後の行動等に変化をもたらすことがあるのです。
このプロセスこそが対話における「壁打ち」の本質なのだと思います。
事例相談者が自分自身を適切に振り返り、
どのようにしてクライエントにより善い側面的支援を提供できるかを学んでいく過程でもあります。
キャリアコンサルタントとして他者を支援するためには、
まず事例指導者を目指す者自身が、
このプロセスを実際に何度も何度も体験し積み重ね、
その感覚を研ぎ澄ませることが不可欠なのだと考えます。
対話のトレーニングにおける「壁打ち相手」の役割は、
単に聞くこと以上のものがあり、
事例指導者は事例相談者が自らをより深く探求できるよう、
支えとなり、気づきを促進する重要な存在になるだと思っています。
それができて「聴く」に変化していくのでしょう。
「壁打ち」を実践体験し、
お互いに「聴く」こと「聴いてもらう」ことが二人の間で成立していくことで、
自然体で1級合格という水準に到達するのではないかと考えます。