本日は横浜での12月度1級キャリアコンサルティング技能検定実技面接試験対策講座2日目となります。

ご予約いただいた皆様、会場までお気をつけてお越しください。

お会いできることを心より楽しみにしています。

 

さて、今回の記事では「気づき」を取り上げてみたいと思います。

 

1級キャリアコンサルティング技能検定試験においても、

仮に口頭試問で、

「ロールプレイを通して何か気づきはありましたか?」

というようなことを問われたとしましょう。

 

このような質問があるとすれば、これは一体何を測定しているのでしょうか。

※もちろん、このような問いはないかもしれません。

 

大事なことは、試験に出題されるかされないかというよりは、

事例指導の演習を行なった際、双方で適切な振り返りを行うということです。

 

ある相互的な体験学習(二人一組でのロールプレイ等)の振り返りワークを行う際、

「このセッションを通じて何か気づきはありましたか?」

という問いかけは必要なのかもしれません。

 

これは大まかに2つの意味があると思います。

 

例えば、学習者によっては、

「自己の未熟さに気づいた」という意味合いのことを話す人がいます。

また、

「相手の態度や相手の体験等から何かを得た」という観点でその意味を話す人もいます。 

 

これはどちらが重要であるかということではなく、

どちらかだけに偏ることは勿体無いことになりそうです。

異なる視点から振り返ることができるのは、

学びの深さや成長の過程において非常に興味深いことですね。

 

私は講座でできる限り上記後者を意識していただくように勧めています。

 

この理由は、

カウンセラーやキャリアコンサルタントの学びを重ねていくうちに、

なぜか「過度な過小評価」「過度に謙る」「過度な反省」「内省の強制感」

これらが前のめりに表出するケースがとても目立つからです。

 

本気で「自分が下手」「自分が未熟だ」「もっと上手にならなければ」と感じている場合もあれば、

そういう態度を見せなければならないと考えていることもあるようです。

 

そして試験では特に「自分を俯瞰し課題がみえているように振る舞う必要がある」

と考えていることもあるといいます。

 

こうしたことが強化されている場合、

「自己の未熟さに気づいた振り返り」を強調することがあるのです。

 

このタイプの振り返りというものは、

主に自己反省や自己認識に焦点を当てたものです。

実際には必要なことでもあり、

例えば、自分の弱みや未熟さを認識することにつながり自己成長の第一歩として重要です。

 

その効果としても、改善点の意識を高めることと自己評価力が身につきます。

また、専門職としての感覚が磨かれ、自己の弱みに気づくことで、

自身の学びに対する責任感が増します。これは主体的な学びの態度を養うことにもなるでしょう。

 

一方で、この振り返りが過度に行われると精神的、心理的負担となり得ます。

未熟さに気づくことが自己への批判につながる場合、自己肯定感を低下させる可能性があるのです。

自信喪失の状態が続き、過度な自己批判となり、学習意欲を削ぐこともあります。

フィードバックの仕方や自己評価のバランスが重要となるのでしょう。

 

要するに、深い自己認識が得られる可能性が高いという一方で、

注意深く行わなければ単なる自己批判に終わるリスクがあります。

 

また、さらに強制的に上記の態度を取ろうとしている場合、

適切な振り返りにはほど遠く、浅い解釈しか生まれません。

 

私が講座で勧めている振り返りは、

相手の態度や体験から得たことに焦点を当てた振り返りが有効であると伝えています。

 

あえて両方のバランスが大事だということを表現せず、

こちらだけを伝える意図があります。

 

このタイプの振り返りができる場合、自己中心的ではなく、

相手の視点や行動に注目し、その中で学んだことに重点を置いています。

相手から得た学びに焦点を当てることで、

異なる視点や新たな知識、態度に気づくことができます。

 

キャリアコンサルタントを指導する役割の方は、

特にこちらのタイプの振り返りスキルが重要にもなると感じます。

 

その効果としては、

他者理解と共感の能力が向上するということです。

中でも「視点取得」のスキルです。

相手の立場でその考え方や態度を理解することは、

他者との協力やコミュニケーションスキルを向上させる上で非常に有益です。

また、相手の体験を通して自分の視野を広げることができるため、

自己中心的な思考から解放される可能性があります。

 

自己中心的な学びから脱却して、社会的な視点での学びが深まるという効果も期待できます。これは、他者や関係機関等と連携・協働していくための能力を養うのに役立ちます。

 

ただ、相手から得た学びを重視することしか頭にないと、

自己の振り返り自体がややおろそかになるリスクもあります。

つまり、自分を省みることに焦点が当たらず、自己成長に対する認識が弱くなる可能性もあるのです。

ですから、フィードバックの演習の際、

相手から得た学びがどれだけ自己成長に繋がったか、

またその学びをどのように活かすか、

このように具体的な意識を持ち、単なる感想にとどまらないように工夫しています。

 

いかがでしょうか。

 

どちらの振り返りタイプにもメリット・デメリットがありますが、

効果的な振り返りを行うためには、

自己と他者の両方の視点をバランスよく取り入れることが重要になります。

 

前述した通り、キャリアコンサルタントには、

謙遜、誠実、内省、洞察等々といったワードがそれぞれの振る舞いに関連し、

それが行動に出ている傾向があると感じます。

適度であればいいのでしょうが、過度に表出している場合、

どこか嘘っぽくなってしまったり、また、適切な振り返りを阻害する恐れすらあると思います。

 

なので、上記後者の方を優先して意識してもらうようにしていることが多いのです。

 

1級キャリアコンサルティング技能検定実技面接試験の口頭試問においても、

「自己反省している」「自己課題に気づけた」といった言葉が並んでいる場合、

自分のことばかりと評価され、ロールプレイにおける相互作用について、

何も捉えられていないと勘違されてしまうことだってあるのではないかと想像します。

 

ですから、相手から何を得られたのか、相手のケースから気づけたことがなんであるのか、

こうした視点を活かして言葉にできる方が、

よほど、質問に答えていることにもつながる気がします。