本日から2日間、

大阪にて1級キャリアコンサルティング技能検定試験対策講座を開催いたします。

 

先日、学科試験と実技論述試験を終えたところですので、

今回からはいよいよ実技面接試験に向けたプログラムとなります。

 

今年度の対面型で面接実践に絞った講座は初めて開催いたします。

今回は定員数を両日ともに少人数制(6名様/日)としているため、

受講者様お一人おひとりの改善点や課題を相互に確認しやすい場にできると思っています。

この2日間、計12名の1級受検者様とご一緒に学びを重ねてまいります。

どうぞよろしくお願いいたします。

 

さて、その1級面接(ロールプレイ)の実践について今回のブログタイトルに触れてみます。

 

事例指導といっても、

事例相談者のそれぞれの方が持つ多様な「個別性」を受け容れようと努め向き合うこと、これは言わずもがなです。

ひとそれぞれが持つ「個別」の経験値や価値観、そしてパーソナリティーなど、

様々な要素が複雑に関係し、ある物事に対する考えや感じ方、

またその反応や行動等にそれぞれの異なりがあることは、

普段の生活上の会話からでも多くの方が体験していると思います。

 

《だからこそ事例相談者に会わなければ何もわからない》

《実際に会ったとしても、ただでさえわからないのに…》

《だから事例相談者に聴くしかないんだよね》

 

といったことをわりと多くの方がおっしゃるでしょうし、

またこのブログでもそうしたことを記しています。

 

見方を変えると本当にそうなのだろうか。

 

例えば、事例相談者(ケースをもって相談にきたキャリアコンサルタント役)を誰かに演じてもらい、

その方と事例指導のロールプレイ演習を行うことは、

実際の事例相談者役の方ではないのでその演習自体が無意味になるのか…

そんなことはないと思います。

 

これは対人援助職に限られたお話しではなく、

あらゆる対人でのサービス産業等においても類似したことがいえます。

 

未来の会ったこともない利用者様やお客様等が、

これまでと同じ例題のようにはならないことくらい、

これはどなたでも知っていることでしょう。

異なりがあるからこそ本当の演習を重ねていく意味が深まるのだと考えます。

 

お相手の性格や経験値、

価値観等から生み出されてくるお困り度合いの認識、それをみてる自分との感覚の異なり、

対面で他者の話しを聴きながら、そこから発信されてくる瞬間瞬間の言動やシグナル等によって、自分も刺激を受けている、

こんなダイナミックな変化が起こる人間関係性、

面白い(または不快を覚える等の)現象が起こるのも、

お相手とのその場における本当の関係性が大きく影響するのだと思います。

 

《こんなときはどうするの?》

《そんなときはこうすればいいんだよ》

 

といったように、お相手の個別性、そして自分という個別性、

二人の関係における相互性基礎をどこかへおいてしまって対応方法をあれこれ考えることはなんだかその時間がもったいない感じです。

誰にでも効果が認められるミラクルな切り返しトークのようなものは皆無です。

というより、

そもそも目の前のひとへ自分が発する言葉によって納得させようとしている時点で、

相互性を大切にしていく基礎演習にはなっていないと思うのです。

 

これをわかっているにも関わらず、

形式や型にはめたような面接演習をしようとしているのは、

自分(事例指導者)が主役になっていたり、

自分が行う所作や段取りを考えてしまっているからなのかもしれません。

 

試験当日に出会う事例相談者役の方がどなたかわからないわけですから、

お相手を理解していこうとするセッションをいくら重ねても無駄ではないか…

それより自分が時間の中でどのようなスタイルや型を持ち、

いかにそれを安定し維持することができるかを鍛えた方がいいのではないか…

 

これではちょっぴり残念な感じです。

 

本当の「個別性」同士による相互作用等に意識を持ったロールプレイ。

その目の前のひととロールプレイをおこなうからこそ演習になるのだと実感いたします。

 

事例指導のロールプレイでも、

実際にお相手と実施する際は、その人との関係のうえで自分がどのようになっているのか、

何が起こっているのかを体験して考える、

こうした相互での作用を感じ敏感さを磨くことは、考え本質を掴む力を育むはずです。

 

時々こんなお話しを伺うことがあります。

 

「何も考えずにやってた時期の方が試験の点数が良かった」

 

これは、以前がよかったということではなく、

何かを考えるだけの余裕がなく(偏りがなく?)、

とにかく集中していたからではないかと想像します。

もしくは以前の方が、ある一定の方向性へ誘導しようとしてはいなかった、

型にはめていなかったことから余裕があったという方もいらっしゃるでしょう。

 

学ぶことは考えを深めたり、また異なることを発見したりと、

元々の自分よりも脳が忙しくなることも多いです。

ですからあれこれ考えすぎて、お相手をみることができていない、

お相手の理解だけに集中できていない、

ということもあり、このプロセスを大切にできる場合と、そうでない場合とでは、

結果として大きな異なりがあると思います。

 

自身の学習過程等を自分なりに意味づけていくことができることも、

指導レベルキャリアコンサルタントとしての重要な要素なのかもしれません。