本日も横浜にて、
1級キャリアコンサルティング技能検定試験対策講座を開催いたします。
ご予約いただいた方、どうぞよろしくお願いいたします。
今年度の横浜における論述試験対策は今日で最後となります。
月日が過ぎるのが本当に早いと感じています。
なお、本日は先日のメールでご案内の通り、
いつもの会場と異なるので、ご参加いただける方はご注意願います。
※対象の方にメールにてご案内しております。
この時期は例年、「論述直前対策」をテーマに皆様とご一緒に学びを重ねています。
そうした中、今年度ならではのご質問がありますので、
ひとつここでご紹介したいと思います。
※昨年度から論述試験の出題形式に変更があったからこそのご質問ですね。
ブログでも何度か記していることにはなるのですが、
講座においては特に強調して下記の点をお伝えしています。
第13回1級論述問題の【問1】を取り上げます。
問1 相談者Aが訴えた「問題」は何か、記述せよ。
相談者AとはクライエントAのことですね。
ここではとにかく(クライエントが訴えた問題=CL視点)を記述すればいいのです。
※「すればいい」という表現は適切ではないと感じていますがここではあえてこのように記します。
注意したいこととして、
相談者Aが訴えた問題と言っても、
事例記録に書かれている言葉をそのままコピペするのでは事例指導の実技にならないと思います。
また、2級の逐語記録の扱いと1級の事例記録の扱いは当然に異なります。
つまり相談者Aが訴えた問題(CL視点)を記述する際、
先ず、事例記録をまとめている事例相談者Bが相談者Aの訴えた問題をどのように理解しているのか、
これを考えてみることは事例指導者として外せません。
一方で、事例相談者Bが理解しているであろう相談者Aの訴えた問題とされるものだけではなにか足りないことも…
若しくはなにかズレていることもあるでしょう。
※もしかしたら事例によっては、事例相談者Bが相談者Aの訴えた問題をほぼパーフェクトに理解していることもあるかもしれませんが…苦笑
要するにもうひとつの大事なこととして、
事例指導者である「あなた」がこの事例記録を読んで、
相談者Aが訴えた問題を考え記述することも重要なのです。
事例指導の場ではこの両方ともが大事だということが伝わるでしょうか。
相談者Aが訴えた問題というものは、
事例相談者Bが理解しているものもあるのかもしれません。
またそれ以上に言葉に隠されたまま、まだ表現されていないことを含め、
相談者Aの立場になると(こんなことを訴えているのではないだろうか?)というものもあるのかもしれません。
これは「あなた」が考える相談者Aが訴えた問題となるのでしょう。
相談者Aが訴えた問題を記述していくプロセスにおいて、
事例相談者Bの理解と「あなた」=事例指導者の理解を合わせていくからこそ、
事例指導の実技としての意味が深まるのではないでしょうか。
なお、絶対に勘違いしてはならないこととして、
あなたがキャリアコンサルタントとして見立てた問題(キャリアコンサルタント視点の問題=CC視点)を問われているわけではないということを整理しておいて欲しいと思います。
【問1】でそんなことは問われていませんよね。
キャリアコンサルティング協議会技能検定ホームページの
第13回1級キャリアコンサルティング技能検定実技(論述)試験の過去問のページに、
「採点官から観た受検者の傾向」が公開され指摘されています。
その一部を下記に引用いたします。
設問は「相談者が訴えた「問題」」となっていますが、キャリアコンサルタントとしての見立て(キャリアコンサルタントとしてあなたが考える、相談者の「問題」)ついて記述されている方もいらっしゃいました。事例指導をする上で、この両者を分けて理解する力は重要だと考えます。
出典:厚生労働大臣指定試験機関キャリアコンサルティング協議会、2023年度後期 1級実技(論述)試験 採点官から観た受検者の傾向、
https://www.career-kentei.org/wordpress/wp-content/uploads/2023H2G1-jitsugi_keikow0327.pdf (2024年12月2日閲覧)
上記の引用内容の通り、CL視点とCC視点を分けて理解すること、
これは多くの1級受検者の方が頭でわかっていることではないかと想像します。
しかしなぜか、つい、
自分「あなた」の見立て(CC視点)が発動してしまうこともあるのかもしれません。
それが問1に記述されてしまっていたら(わかってないのかな??)となってしまい勿体無いことになりそうです。
1級の試験の前提では、事例相談者Bが「あなた」に事例指導を受けるために来たのです。
CL視点を考える際も、事例相談者Bの理解と「あなた」の理解を合わせたものが必要だと思います。
これが1級で示すCL視点にもなるのではないでしょうか。
なお、記述表現する際に、わざわざ、事例相談者Bは相談者Aが訴えた問題をこのように考えていて、自分(事例指導者)としては、相談者Aが訴えた問題をこのように考えるのだ…
といったような分けた表現は不自然だと感じます。
事例相談者Bの相談者Aが訴えた問題の理解・解釈のあり方を、
「あなた」がどのように読んでいるのかは「あなた」次第であり、
「あなた」の見立てのひとつになっているはずです。
【問2】で問われる「あなたが考える見立てに基づき」という問いについて、
事例指導の場においては、「あなたが考える見立て」というものが、
事例相談者Bがどう事例を把握しているのか?
そしてあなたも事例をどう把握しているのか?
ということも含め、両者を並行して考え、照らし合わせていくことが、
事例指導の実践において必要なのです。
それ自体全体が事例指導ではあなたの見立てになるでしょう。