本日も横浜にて1級キャリアコンサルティング技能検定試験対策講座を開催いたします。

ご予約いただきました方、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 

今日の横浜のお天気は快晴の予報。降水確率0%です。

最高気温が14℃とご移動の際、少し寒いかと思います。

受講いただく方はあたたかくしてお越しください。

 

いよいよ本日でCVCLABオリジナル論述事例問題をご提供するのは最終日となりました。

今年度は8月から月替わりで4つのオリジナル事例を扱ってまいりました。

過去3年間分の過去問とあわせると、

受講者様とご一緒に計7つの事例を活用して事例指導における学びを重ねてきております。

 

これまで実践的に様々な視点や考え方を出し合う機会がございました。

限られた時間の中で、ご自身の思考を素早く整理し、

伝えたいことをなるべく簡潔に文字化できるような練習を繰り返してほしいと思います。

論述のカギのひとつとして紙に書くことの重要性があります。

パソコン等で入力する文字化と、実際に書くことでは相当な異なりがあります。

無理をせず、手を痛めないように気をつけて、

時間内で自己の考えを自分の表現で書く練習を続けておきましょう。

 

さて、今回の記事では、

1級キャリアコンサルティング技能検定実技論述試験問題の【問3】についてひとつの考えを解説してみます。

 

問3 相談者Aを支援するために必要なネットワークは何か。相談者Aの置かれた環境への働きかけについて関係機関や関係者との連携も考慮し、記述せよ。

 

ここでも大切なことは

(誰がなんのために事例をまとめたのか)

といった前提を見失わないことです。

以下文章を改めてみてみましょう。


”次の文章は、事例相談者Bが相談者Aとのキャリアコンサルティングについて事例指導をうけるためにまとめたものである。この事例を読み、以下の問いに答えなさい。”


【問3】も当然に上記の前提を踏まえて考えることが必要です。

 

「相談者Aを支援するために」と問われているところで、

(事例相談者Bが相談者Aを支援するためにとは問われていないので、

キャリアコンサルタントの立場で全般的に考えられることを書けばいいのだ)

といった解釈をすることもあるかもしれません。

 

このような考え方では、

第12回までの考え方「あるある」になりそう…苦笑

要するに、キャリアコンサルタントとして思いつくものを全て列挙しておけば、

最低何点かは加点されるだろうといった無責任とも取れる考え方になりそうです。

 

【問3】ではコーディネート能力を問われていると考えられるため、

ここで(誰が)という点において、

上記前提を忘れないことが事例指導の実技として最低限必要な解釈ではないでしょうか。

 

なんでも思いつくものを挙げたところで、

事例相談者Bにとって現実的に繋がらないものは意味がないと考えます。

 

ちなみに、少し興味深い点で一例を挙げてみます。

 

仮に、事例相談者Bの相談活動している組織が、民間の需給調整機関であるとします。

そして相談者Aは、ある特定の企業に勤めています。

Aの職場環境に何かしらの問題や課題があり、それがAを苦しめていると見立てられた場合、

その企業の経営や総務・人事部門等に働きかけをした方がよい場合がありますよね。

 

例えば、

(事例相談者Bは民間機関なので、Aの会社の経営や人事に直接アプローチすることは不自然ですよね??)

と考える場合は多いかと思います。

 

確かに現実的に難しい、また事例相談者Bが2年程度の相談歴であるとすれば、

そこまでハードルの高い取り組みができるのだろうか??

こんな風に考えることはよくあるのではないかと想像します。

 

(でも、ハードルが高いとか、現実的に難しいとか言ってたら、何も書けないから、

思いついたものを書けばいいんじゃない?)

と言った発想を持つ方もいるかもしれません。

 

こうした考え方で事例指導のコーディネート能力として成り立つのでしょうか。

 

こうした発想だけだと、

結局のところ、経営コンサルタント風な猛者たちに、

(聞いているだけで全く展開できていない)

(所詮、キャリア支援といってもコンサルティング能力がない)

などと痛い突きを受けるのだと思います。

※そもそもそういう猛者風の方がいうこともかなり極端だったりするのですが…汗

 

目の前のクライエントが組織が抱えている問題によって困っていたら、

キャリアコンサルタントは、目の前のクライエントの意向を丁寧に確かめながらも、

ありとあらゆる手を模索し側面支援していく必要があります。

 

民間の需給調整機関だからできない…

などといった偏った考えに陥らないようにしたいところ。

一方で守秘義務や倫理という観点からもよく考えて行動する必要もあります。

 

ではどうすることがよさそうでしょうか。

 

産業組織には、産業保健スタッフや管理監督者等に当たる方が存在しています。

メンタルヘルスマネジメントの観点からも、例えば、その企業に産業カウンセラーやキャリアコンサルタントの資格を持つ方がいるとすれば、繋がりやすいこともあり得ます。

現在は、SNS等を活用してそうしたネットワークを検索、模索することもできます。

 

さらには、健康経営の切り口からみた場合の当該企業担当部署と繋がりのある専門家、

また、角度を変えれば必ずといっていいほど繋がりのある日本年金機構などを巻き込むことも、担当部署とのアクセスを可能にすることもあります。

 

現代は、目的が不明確な組織や個人への情報提供はなされませんが、

健康経営やメンタルヘルスマネジメント、キャリア支援等の目的での教育に関する具体的提案等に関しては、その窓口に対してつないでくれることも多いのが現状です。

 

そして場合によっては商工会議所との連携ということも考えられることがあります。

 

このような諸活動は、相談歴の有無はさほど関係なく、

アイデアや提案力を磨くという側面が強く、相談歴2年だとできないということでもありません。

 

また、事例相談者Bが、どんな経歴の持ち主かによって変わってきます。

上記のような行動に移すことができるキャリアコンサルタントも多いはず。

 

体験したことがないことを具体性をもって挑戦させていくことも、

ひとつの事例指導になるのではないかと思います。

 

最後に、この【問3】のネットワークにおいて、複数書けばいいということではないはず。

仮にひとつでもいいので、事例相談者Bの連携・協働を踏まえた支援力が向上するように具体的に考えてほしいと思います。

そしてそれは相談者Aの支援のため、相談者Aの置かれた環境を踏まえての考え方でないと具体性が乏しくなると思います。