第14回1級キャリアコンサルティング技能検定試験(学科および論述)の受検まで、

早いものでいよいよあと1ヶ月となりましたね。

 

CVCLABでは、明日から11月の1級受検対策講座プログラムがスタートします。

明日と明後日は福岡会場、そして来週の火曜日の夜はオンラインでの論述対策、

来週末は大阪会場、さらにその翌週には横浜会場と、

五月雨式にスケジュールが入っております。

 

例年、特にこの時期の1ヶ月間は1級受検者の方にとって本格的な追い込み時期にもなっています。

ご自身で学びに関する意識を向ける情報や視点を意図的に幅広くすることが重要です。

 

自身が気になってしまうようなマイナス的なコメントだけに固執せず、

他の人のあり方や自分にとってポジティブなメッセージに意識を向けるように努めてみることも重要です。

例えば、自分でわかりにくいことにとらわれるより、

あえて意図して、ポジティブな要素や励ましを見つけること、

自分にわかりやすく変換していくことは、

自身の全体からのパースペクティブを広げることができます。

 

そして、自己肯定感や自分の価値感を高めることも重要ですよね。

自己肯定感を高めるためには、

先ず、自身の持ち味や強み、成功体験に意識を向けること、

これが重要なことはキャリアコンサルタントならどなたでも知っています。

 

一方、特にこうした受検などの取り組みになると、

自分自身で価値を見出すことよりも、

他人の意見に振り回されてしまう場合もあるように思います。

 

試験等を通じて自己成長を図るには、自分自身の信念や価値観を明確にし、

それに基づいて何かを判断することも助けになるのだ…

ということを多く体験する機会にすることだと思います。

 

他人の意見等に振り回されるのではなく、自分が本当に大切にする意味や価値を持ち、

それに合致する思考・行動を取ることで、

選択的注意バイアスから自由になることができるのだと考えます。

 

さて、ブログ記事にうつりたいと思います。

 

今回は、第13回1級キャリアコンサルティング技能検定実技論述試験問題の問4について、

昨日まで書いてきた内容に連動した解説をしてみます。

 

問4 事例相談者Bの相談者Aへの対応について「問題」だと思うことは何か。事例に基づいて記述せよ。

 

この問いを考えてみるとき、事例指導者(受検者)として、

事例指導を行う目的を忘れてしまってはいけないと思います。

 

そして実技試験ですから、紋切り調的に問題となる対応を単に羅列したところで、

事例指導者として、事例相談者Bに対するその態度や姿勢はどうなのかな…

となってしまい勿体無いことにもなるのかもしれません。

 

事例指導における事例指導者の重要な役割を考えてみましょう。

下記の図は、私の講座やイベント等で受講者様へ提示しているものの一部です。

 

この図を参考にしながら、

以下のブログ記事を読んでいただけるとイメージしやすいかもしれません。

 

 

事例相談者Bのキャリア形成支援の実践スキルの向上を促すために、

適切なフィードバックと指導を行うことがあります。

その際、事例指導者が自分の視点や見立てだけを押し付けるように問題点を指摘するよりも、

事例相談者Bの考え方や意図を尊重しつつ、その支援内容や背景を深く理解する姿勢が大切です。

 

このアプローチの効果について少し触れてみます。

 

まず、事例相談者Bの考えや支援方針を尊重することで、

事例相談者Bが自分自身の支援方法に自信を持ちやすくなり、

積極的に改善に向けた工夫を考えるようになります。

 

単に「指摘される」受け身の立場ではなく、自分自身で成長のための課題を発見し、

解決に向かう主体的な姿勢を引き出す効果があるのです。

事例相談者Bが能動的に取り組むことで事例指導の面接の効果が高まると言えるでしょう。

これは実技論述においても一緒です。

 

また、事例指導者が事例相談者Bの背景や意図を理解し、

それに基づいて改善点や課題を提示することで、

事例相談者Bは自分の考えや方針の中で必要な見直しをより受け入れやすくなります。

 

事例相談者Bがある場面である理論や技法等を使用しようとしている場合、

その意図や相談者Aの状態を理解しながら、具体的な改善ポイントを提示することで、

事例相談者Bは「理論や技法そのもの」ではなく、

「その技法のより適切な適用場面」や「相談者Aの特性に応じた調整」など、

学ぶべき成長要素に気付きやすくなることもあります。

 

さらに、事例指導者が事例相談者Bの視点を尊重し、その上で改善点を提示することにより、

事例相談者Bは自己の実践力を高める上での自己効力感やモチベーションを維持しやすくなります。

実践家として自己効力感を高めることは、

今後のあらゆる相談者に対する支援の質にも好影響を及ぼします。

 

このように事例相談者Bの意図に基づき、成長要点をわかりやすく整理し、

明確な課題を提示する事例指導の面接は、

単なる問題の指摘よりも長期的に支援力を高めるものとなります。

 

つまり、事例指導では、事例相談者Bの立場に立ち、その考え方や意図を基礎にしつつ、

相談者Aの利益につながるような成長の方向性を提示するアプローチが、

より効果的かつ建設的であると言えるのです。

 

問題やその解決のための課題というものは、

必ずといっていいほどに、持ち味、特徴、肯定的な対応等と表裏一体の関係にあります。

 

そうしたところに着目できる、

事例相談者の個別性に寄り添える事例指導を行いたいものです。