第13回の1級キャリアコンサルティング技能検定実技試験の合格率は8.97%でした。
※キャリアコンサルティング協議会 技能検定試験ホームページ(第13回試験結果データ)参照
第13回論述試験の出題形式が大幅に変更されましたが、
第11回の方が試験結果データとして合格率が若干高く、
また、第12回と比較しても2%ほどの差となっています。
つまり論述問題の大幅な出題変化があっても、
1級の実技試験全体として試験結果に大きな変化がないともいえるのかもしれません。
実際、実技の論述だけでも合格水準に達しているという方が増えたか…といえば、
それほど増えているわけでもなさそうです。
実は、これまで1級論述に自信を持っていた方でも、
本当の自信があるわけではないのだと想像しています。
なぜなら、実技に自信があること自体、相当まずい…ということもいえるからです。
恐らく、過去何度も論述試験は合格していた…
という方が、ここ最近になって同じように解答しているのに、
なぜか未達という結果になってしまうと悩んでいることもあるのではないでしょうか。
ここで記したいことは、
キャリアコンサルティングにおいても、事例指導においても、
相談しようとしている相手がいるにもかかわらず、
「面接に自信がある」「私はできる」などと自己中心的な考えを抱く時点で、
相手をみようとしていないことにもなるのかもしれませんということです。
ですから、これまでと同じように記述したのに…
これまでと同じ考え、同じ視点等でちゃんと事例に沿って書いたのに…
といったところで、
この1級キャリアコンサルティング技能検定実技試験では全く通用しないものだと考えています。
仮に、ご自身でこれまで論述がうまくいっていたと思っているとすれば、
一旦立ち止まって、
本当にうまくいっていたのか、そうした自己評価でいいのか、
うまくいくとは何をもってうまくいったと認識しているのだろうか、
自分の出来具合の善し悪しだけに注意が向いていないだろうか、
等々、
このように自己に対し批判的な視点をもって見つめてみる必要があるかもしれないのです。
事例相談者から事例を通して相談を受けるシーンを実践的に考えてみた時、
例えば、1級論述試験問題(事例)に置き換えていくと、
事例を通して事例相談者の支援方針全体に見通しを立てることが、
解答文全体の見通しを立てることにもつながるはずです。
解答を作成する前に、全体の見通しを立てることは重要です。
要するに、事例をまとめた事例相談者と事例を共視し見通しを立てることで、
論点を整理し構成を決めることができます。
そのうえで問いで求められている解答の「ゴール」自体を明確にすることも重要です。
結論がしっかりしていない解答は実技としても弱い気がします。
自分が考えた結論を明確にすることで、論述の方向性がみえて、
必要な要素を適切に組み立て表現していくことにつながるのです。
論述問題の解答の考え方では、
記述する結論を先にイメージしてから、
そのサポートとなる論拠や事例の事柄例などを組み合わせていくことが必要です。
以前、このブログで動画配信をしたことがあるのですが、
その際、私は論述の解答に盛り込むべき要素をメモするシーンを撮影しました。
実際、論述解答を表現する際、
自分の思考を整理するためにメモを取ることは、
解答に含めるべき内容を整理するための有効な方法となります。
メモを取ることで、事例相談者の見立てと自身の考えた見立てとの比較や、
またそこに付随する重要な要素やキーワードを見逃さずに済みます。
色々と記してきましたが、先ず土台になるのは「自分で考え出す」ことの重要性です。
何度もブログの記事にしてきたのですが、
キャリア形成支援者として、他者から添削されたり(どこか依存的になったり)、
自分の中から生み出した表現について他者から指摘されるということは、
どうかすると、知らず知らずのうちに、一番大切な自分らしさすら弱くなっていくこともあります。
すでに私たちはキャリアコンサルタントの学びを重ねてきているはず。
遠回りと考えず、失敗を含め、自分の考えを整理しながら組み立てること、
それ自体を自分自身で考えることで、
より深い理解と他者に伝わる意義のある解答を創造できることにもなるのではないかと思うのです。