現在、福岡では台風10号が近づいてきていて暴風雨になってきています。
読者の皆様の地区ではいかがでしょうか。
お互いに最新の気象情報等に気をつけましょう。
さて、1級キャリアコンサルティング技能検定試験の実技について、
事例指導者の役割を担う方の事例指導に対する基本的な姿勢や態度についてどのような認識をしているか考えてみます。
これは事例指導の面接の実践力にも相当影響します。
当然だと思われるかもしれません。
意外にも不思議なことで、そもそも「指導」という言葉について、
例えば、
それを辞書等に説明されている通りに考えるひともいます。
また辞書通りではなく、
自分なりの哲学をもつ方もいらっしゃる。
すると「指導」という言葉の意味が異なることもあります。
どちらが正しいわけでも、正しくないわけでもないでしょう。
ここで大事なことは、
ひとのキャリア形成支援を担う者やキャリア形成支援者の育成に携わる者が、
それぞれで類似点もなく、てんでばらばらであったとしたらどうなるでしょうか。
クラエイントや、また事例指導を受けたいとするひとからすれば、
正直困ることもあるでしょう。
ここでは1級キャリアコンサルティング技能士についての記事を主にしているので、
指導レベルキャリアコンサルタントをテーマにして表題について考えてみます。
事例相談者からすれば、
問題があるなどと考えることもなく順調に進んでいたと思っていた面談自体が、
結果として中断してしまった。。。
指導的立場にある先輩キャリアコンサルタントから思いもよらぬミスを指摘され愕然とする、
まさに「盲点を突かれた」ような感覚。
悔しさもあれば、挫折感、無力感に苛まれる感じもあるかもしれない。
ひとが一人で把握できることというのは、それほど多くはないはず。
本人としてはできた!完璧!
と思っていても見えていないものが必ずあるものです。
事例指導者からすればなんてことのない部分、
専門家であれば気づいて欲しいところなのかもしれません。
そしてそれ以上に、
ひとの育成や指導を担う者として
「学習者の盲点をつくことではない」
という姿勢を意識しておくことは大事なことだと思うのです。
指導者の立場になると
「なんとか盲点に気づかせてあげたい」
と思うもの。
学習者の盲点に焦点を当てることをしている場合、
指導者の意図が
「できていないことに気づかせる」
となっていることが多くあります。
指導者の意図ではそうでなかったにしても、
学習者からすればそういう風に感じてしまうものかもしれません。
まさにこれが学習者の自信や動機づけに悪影響を及ぼすことがあります。
これは自己効力感や自己決定という側面からも説明できるはず。
学習者自身が自己の能力を信じて内発的に学ぶ意欲を持つことが学習の質自体に大きな影響を与えます。
事例指導者は事例相談者の強みや成功体験に焦点を当て、
そのひとの専門家としての自信と内発的動機を育むアプローチが重要になるのです。
盲点に焦点を当てることよりも、
学習者自身が持つ成功体験や強みを引き出すアプローチが効果的であるということは多くの研究でも実証されていることです。
例えば、
面談記録(事例記録)を一緒に振り返る際、
学習者がうまく対応した部分や効果的だった点を強調し、
それを基にして改善点を見つけることが、
学習者の自信とモチベーションを高めながら成長を促すことにつながるのです。
そしてそれは指導者の成長にもなります。
こうした指導者の態度と姿勢というものは、
キャリア形成支援者同士での共通の合意点にもなるはずだと思います。
こうした考えは、
1級キャリアコンサルティング技能検定の実技試験でも、
また、実践での事例指導やスーパービジョンにおいても、
とても重要なポイントになるのではないでしょうか。
試験で、自己紹介はこうするべきであるとか、
ここではこうした方がいいとか、
そういうことを発している時点で、
自分がどこをみて論述試験に向き合っているのか、
またロールプレイを実施しているのか、
立ち止まって改めて考えてみるチャンスになるのかもしれません。
それは自分への新たな気づきにもなるのではないかと思います。