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受講いただく方は会場までお気をつけてお越しくださいませ。

 

さて、今回の記事では一般化することの問題を考えみます。

 

事例指導の面接で事例相談者の問題や課題を一般化しようとしているシーンを観察することがあるので、

そこに生じる問題点に触れてみたいと思っています。

 

体系化や概念化という意味合いと、一般化の意味は全く異なります。

これをごっちゃにしていることもあるのかもしれません。

 

事例指導を学ぶ際、

個別具体的な事例内容や事例相談者の問題点などを

一般化しようとする傾向がある場合、それにはいくつかの要因が考えられます。

 

例えば、認知の簡略化を望んでいる場合、

複雑な個別ケースを一般化することで、課題の理解を簡略化しようとするケースがあります。

個別の特定ケースに特化し過ぎると、一般的な原則やパターン等を見逃す恐れがありますが、本来はそのパターン等に頼ること自体、まずいこともあります。

一般化していくことで個別の重要な要素を見逃す可能性が生じます。

 

多くのケースを経験学習し、

それらのケースから共通するパターンやテーマを見つけ出して体系化しようとする傾向があります。

データベースを集めてカテゴライズするようなイメージでしょうか。

これにより膨大な情報を整理し、理論的な枠組みを構築することが可能かもしれません。

一方、この過程で過度に一般化すると個別ケースの多様性や独自性が失われる可能性があります。

そもそもそれほどの経験数自体が多くないにもかかわらず、一般化した情報に惑わされるのはよろしくないと思います。

 

ひとは学習の際、なるべく認知的負荷の軽減を図ろうとする傾向もあると思います。

多くの具体的なケースを処理していくとなると、学習する際の情報の処理における認知的負荷を感じることがあります。

この負荷を軽減するために、一般化された法則や考え方、手法に傾くこともあり得ます。

 

こうして考えてみると、キャリアコンサルティングや事例指導を学ぶひとが一般化に傾くのは確かに自然体のことかもしれません。

理論的な理解や実践のための枠組み構築の一部として捉えることができます。

 

気をつけたいこととして、実際のキャリアコンサルティングでは、

個別のクライエントのニーズや状況等を理解し、それに応じた対応が求められることを忘れてはなりません。

このあたりのバランスを保つことが、質の高いキャリアコンサルティングや事例指導の実践には重要なのだと思っています。