前回に続き、

第12回1級キャリアコンサルティング技能検定の論述過去問事例1を活用し、

第13回の問5に当たる質問を考えてみたいと思います。

 

論述出題形式が変更になった第13回での問4と問5では、

事例指導の実技として、指導プランを考え、

そして具体的に展開していくためのポイントが問われていると思います。

 

特に、今回記事にする問5を考えていく際、「優先するもの」と問われていることを、

事例指導者(受検者)がどのように解釈しているかで、

その指導プラン内容は大きく変わってくると考えます。

 

事例相談者が成長できるようにかかわる貴重な機会になり、

またそれは事例指導者にとっても成長であることを忘れず、

その取り組みを考えていきたいものです。

 

また指導プランを立てる際、

そのポイントや段階には下支えとなる考えられた要素が実践に盛り込まれていることも大切かもしれません。

 

例えば、

問題点を伝えるという行為にも、事例相談者の状態によってステップが必要にもなります。

 

以前から記事に触れてきたことですが、

「問題」だと思うことの中から優先するものを取り上げる際、

読者の皆様はどのような判断をされるでしょうか。

 

(問題の本質に焦点を当てることが大事である。)

問題解決の指南書などでは、ざっくりとこうした内容が示されることもあります。

同じように、キャリアコンサルティングの面談フレームを順序でみて、

その枠組みで事例相談者がつまづいているところにフォーカスしていく指導も多いです。

これでは事例相談者がどなたであっても、

大概同じフレームのところが「問題」箇所になってしまいそうですね。

 

《問5 問4で挙げた事例相談者の「問題」だと思うことの中から優先するものを取り上げ、具体的な指導方法を記述せよ。》

 

上記は第13回の問5の質問ですが、

この問いを受け、事例指導者からすれば「気持ちが深く聴けていない」「相談者が感じていることが明確に共有できていない」「自分の価値観だけで提案している」といったことを優先したくもなるかもしれません。

それは多くの過去問事例がそういう状態ではないでしょうか。

そうしたことを事例指導プランとして解答したところで、

なかなかしっくりこないはずです。

 

問4で挙げる「問題」と思うことの中で大事なところは、

事例相談者自身が特に気になっている点、

特にこだわっている点、困難さや役割不足等を実感している点などが含まれていることです。

 

問4でいくつか挙げきた事例相談者の対応の「問題」には、

それぞれキャリアコンサルタントとしての見積もりがあり対応していることでしょう。

その中には、事例指導者からみたとき、事例相談者のその対応が信じ難いこともあるかもしれません。

指導者がそればかりにフラグが強く立ってしまうようだと、

その記録内容に引っ張られてしまいます。

 

それが「問題」だと思うことは指導者側の自由ですが、

それはそれとして、事例相談者への指導プランを立てるときは、

先ず、事例相談者自身が気になっている、自信を持っていたのに結果とのギャップがあり過ぎる、何かがきっかけで手詰まり感を覚えているなど、

学びにきているその人(事例相談者)を照らすことが事例指導者として大事な側面があるのです。

 

一例ですが、事例相談者は

(家族との時間も大切にしたいという思いは聞けたと思っている)

と自己評価しています。

事例相談者のその認識を味わうと、

相談者にとって、今の仕事での役割も大切にしたい思い、

こうしたことが背景にありそうなことも想像がつきますよね。

 

すると、まず家族との時間も大切にしたいという「大切」という意味がなんなのか、

事例相談者がその意味をどう捉え、相談者にとってのその意味はなんなのか、

そうした点は「八方塞がり」という意味にもつながるように考えることもできそうです。

 

つまり「突破口」とか「打開」といった記述の意味が、

お互いで食い違っているのかもしれないわけですね。

 

あくまでひとつの仮説ですが、

こうした点が事例相談者が気になっているところとつながるのではないかと考えていくこともできるかと思います。

 

そして具体的な指導方法として、

事例相談者が取り組む意欲が持てるような目標設定・課題の共有化が取り入れられていることは大事だと思います。

そして事例相談者がまとめてきたケースを活用してどの記述にフォーカスし、

そこで何をするのか、具体的に指導内容を文字化していくことが必要になります。

 

さらには、事例検討に終わらないポイントとしては、

事例相談者自身がこの事例指導の場面で気づいた自己の成長課題がなんであるか言葉にできること、

そしてそれを実践を通してどのように継続学習できそうかイメージしてもらうこと、

他事例に置き換えてみたとき、今回の気づきがどのような場面で活かせそうか、

具体的に考えてみることなどが大切なことになると思います。

 

ひとつでも参考になる点があれば、過去問等を活用して、

より実践的な事例相談者の成長支援を思い浮かべながら考えてみてください。

 

皆様の1級キャリアコンサルティング技能検定試験の挑戦、

心から応援し続けています!