今朝福岡から再び大阪へ飛んできました。
朝7時前の福岡空港の風景。まさに夏空ですね。
大阪に入ると熱気に包まれ気温以上の熱を感じます。
本日は終日大阪市内で企業での研修。
そして明日と明後日は1級キャリアコンサルティング技能検定試験対策講座を大阪で開催いたします。
最近は比較的コンパクトなビジネスホテルでも外国の方の利用が多くなっていて、
多様な国の人や子どもたちと宿泊先のエントランスやエレベーター等身近なところですれ違ったりご挨拶をする機会も日常的になりました。
これも私たち日本人にとってのよい学びの機会ですね。
しかし…
体の大きくない私でもコンパクトに感じてしまう3点ユニットバス仕様の宿泊施設。
外国の方からすればさぞかし不便なところもあるのではないかと心配したりもします…苦笑
※余計なお世話かもしれませんね。
今回は昨日の記事の続きとなります。
第12回1級キャリアコンサルティング技能検定実技論述試験の事例1を学びの素材として、
設問自体は第13回の最新の問いに変えて考えてみます。
今回のテーマは
《あなたが考える見立てに基づき、相談者が「問題」を解決するために取り組むべきことは何か》
です。
この問いで特に気になることは
「あなたが考える見立てに基づき」
と記されているところではないでしょうか。
思慮深く考え過ぎてしまうと、
事例の読み取りがガチガチに構造化したものの見方になり、
結局のところ、事例指導者(受検者)の見立てが、
なぜか相談者へのキャリアコンサルティングを行う際のキャリアコンサルタント視点のみに限定したものの見方で考えてしまうことがあります。
前回の記事にも解説していることなのですが、
そもそもこの事例記録は、事例相談者が事例指導を受けるためにまとめたものであり、
その内容を読んで事例指導を行うための指導者としての見立てを考えていかなければ目的からズレてしまうと思います。
一部の試験対策講座的な場において、
この肝心なところを簡素化し、1級も2級も変わらないといった表現で、
指導者視点の捉え方をキャリアコンサルティング時のクライエント支援と同じくしている場合があると伺ったことがあります。
これでは事例指導の実際とはかけ離れてしまうはず。
もしかしたらわかりやすく表現をしているつもりなのかもしれませんが、
キャリアコンサルタントの実践力向上をテーマにしながら業界全体からみれば逆効果にもなりかねません。
「あなたが考える見立てに基づき」という表現の前に、
例えば私なら
《事例相談者の考えを踏まえ》
という言葉を頭につけて考えます。
なぜなら事例指導の実技だからこそのイメージです。
《事例相談者の考えを踏まえたあなたの見立てに基づき、相談者が「問題」を解決するために取り組むべきことは何か》
こんな感じでしょうか。
ただ試験でこうした質問表現があるとすれば、
受検者側の思考プロセスを誘導してしまうことにもなるかもしれませんね。
設問には、受検者がどうにでも考えられるような適度な曖昧さが必要なのだと感じます。
本来、質問自体を受検者それぞれがどのような思考過程を踏んで考えていくのか…
これも1級実技検定試験の一部なのだと考えることがあります。
ここでは、事例相談者との相互的なやり取りを踏まえ、
事例相談者が担当した相談者への必要なキャリア形成支援をあれこれと共に交換していく過程で生まれてくるものがあると考えています。
より最適解らしいものを導き出すのは事例指導者ではなく、事例相談者であることを忘れず、
論述であってもそれを考えていくこともできるのだと思っています。
事例1において、事例相談者は相談者に対して、
責任感がとても強いと評価しています。
また会社の方針の影響によってシワ寄せが管理職にきている実態を把握できたと表現しています。
八方塞がりの状況を打開するため、独立した方がいいとも思うという所感もあり、
この事例相談者は、相談者が取り組むべきこととして、
時間を有効に使えること、自由な時間をつくり出すことで、
相談者の問題が解決できると考えていることがあるかもしれません。
そういう意味では、相談者が問題を解決するために取り組むべきことは、
一例として独立するための一歩を踏み出すことも一つなのかもしれません。
その一歩というのは、例えば、自分のこれまでのキャリアを振り返って、
その経験を一つひとつ丁寧に自己へ意味づけていくことや、
また自身のスキル等がどのように活かせるのか、見本を見つけるためにも情報を得るなど、
これまでの自分に価値づけをしていきながら、一歩踏み出すための動機づけができるといいのかもしれません。
その上で会社関係者へ今の想いを伝えることや相談すること、
そして家族との話し合いなども取り組むべきことになるかもしれないのです。
一方で、
相談者が訴えている問題自体が、時間を有効に使いたいとか、
自由な時間をつくり出したいということよりも、
もう少し異なるところにモヤモヤみたいなものがあるとするならば、
それはキャリア形成支援に影響していくるところでもあります。
「部長職としての責務を果たすことはきちんとやる」
「仕事は忙しいし責任もあるしで」
「最後は私の責任になる」
「家族を養う必要もある」
「現在の給与水準を維持し家族を養うため」
こうした相談者の訴えは、どこか一方的な側面もあり、
漠然とした責任感が思い込みへの強化を増長していることも考えられます。
一つの要因として、コロナ禍の影響もあり、
上司や部下とのコミュニケーションにも弊害が出ていることもあるかもしれませんし、
そうなると一人で悶々としている、孤独感、孤立感みたいなものが邪魔をすることもあります。
つまり時間に余裕が欲しいということだけではない、
もっと本質的な訴えがあるのかもしれませんよね。
何をキャリアコンサルタントに伝えたいのでしょうか。
事例相談者は表層的にわかったつもりになってしまい
「責任感がとても強い」と評価しているのかもしれません。
相談者が取り組むべきこととして、
上記に挙げたような要点を全て踏まえて考えてみたいところです。
事例相談者と事例指導者の考えを併せ、
事例指導者の見立てとして成立するのだと思います。
このようにみていくと、
相談者が「問題」を解決するために取り組むべきことが色々と考えられます。
なお、組織や関係者等への働きかけなどに関することは、
相談者が取り組むべきことに該当しますが、
それは第13回の出題形式の場合、問3で取り入れられるので、
問2においては、相談者自身、
つまり己を省みる機会・成長を創造する取り組み内容に絞ってもいいかもしれませんね。