1級キャリアコンサルティング技能検定試験においても、

2級の試験で評価される「キャリアコンサルティング能力」を測定されることは理解されている方も多いと思います。


特に1級ではより高い水準での「キャリアコンサルティング能力」を測定されると示されていますが、

決してそれは2級試験と同じ設問から高度な解答を求められている訳ではないでしょう。

そもそもキャリア形成支援の見立てに高度なものを要求すること自体、実技としてズレてしまいます。

1級と2級を比べることでもなく、双方論述の設問自体、異なる意味を持つということです。


例えば1級では、

事例相談者を通して事例をつかめることや、

事例相談者のキャリアコンサルティング能力からその成長課題を捉えられることがあります。

ここから事例指導者のキャリアコンサルティング能力を測定することが可能かと考えます。


さらには、

論述ではなく面接試験の場において、

事例指導のロールプレイ実践を観察すれば、

概ね、事例指導者(受検者)の面談スキルというものを測ることができるのではないかと思います。

つまり事例指導の面接実践(ロールプレイ等)には、

その人の普段のキャリアコンサルティング面談の癖や傾向みたいなものがあらわれます。

 

1級の論述試験では、特に事例指導の実技場面での指導能力やコーディネート、

思考行動特性などをみているところが中心だと思います。

※私の考えです。

 

ここで今回の記事テーマにしたいことは、

1級論述問題だからといって事例記録を分析し、

そこに描かれた内容を評価するというスタンスで良いのでしょうか…ということ。

これでは事例相談者に対しての意識がいささか乏しいように感じます。

 

より事例指導の実践的な質を高めていくためにも、

事例指導の基本スタンスとして考えたいところに少し触れます。


記録の描き手(事例相談者)の大切な表現として、

事例指導者の心の中でそのイメージをあたためていくというスタンスで臨んでいくことが大事だと思うのです。

 

事例に記された完成された記録内容をただ読み取るよりも、

描かれていく過程を、事例相談者の立場で想像・イメージしてみることのほうが、

余程事例記録をまとめたキャリアコンサルタントを感じることができると思うのです。

つまり事例指導者がこうしたスタンスを持つことができると、

事例記録を通じ相互の関係がつながることもあるということ。

 

事例指導者が解釈したことを、

ただ返さなければならない(論述の場合、書かなければならない)と思っている場合があります。

それはちょっともったいないように思います。


実は、

事例相談者は自身でまとめた事例をまとめてそれで終わっているわけではなく、

一人で自己の事例の描き(まとめ)の振り返りをするプロセスが、事例をまとめた後にも始まっていくのです。

要するに、事例記録が事例相談者の鏡としての機能を担うこともあります。


事例指導者が自己中心的な考えなど表現するのは誰でも簡単にできそうですが、

それではなかなか難しいのかもしれません。

ただ設問を読んで、それに一つひとつ答える、

解答記述を考えるだけでは、

実技論述試験対策にはならないと思います。

 

1級論述試験対策を進めていくのであれば、

まず、実践的な事例指導自体を両者の立場で具体的に味わいながらイメージ力を働かせてほしいと思います。

そうすることで問1から問5までの論述試験の設問が、

事例指導の実技・実践にどのように連動していることになるのか、

ある程度読むことができるようになると思います。

 

明日から福岡で2日間、対面型の講座を開催いたします。

これらのことを含め受講者様と一緒に事例指導を考えて参りたいと思います。