今夜は、日本キャリア・カウンセリング研究会(JCC)主催

「1級キャリアコンサルティング技能士による事例指導講座」がオンラインで開催されます。

 

今回は7月プログラムの前編として、

第13回の1級技能検定試験論述過去問の問1から問3までを活用し、

実践での事例指導における「ケースの掴み」の過程を学んでいきたいと思っています。

 

そして次回後編は7月24日の同じ時間帯でオンライン開催されることになっています。

プログラム概要として、今夜と同じ事例問題を使い、

問4から問5にあたる「事例指導プラン策定」の過程を実践的に検討する内容にします。

 

各回10名様ほどの定員にしていただいているとお聞きしていますので、

できる限り参加者様のカメラ越しの表情など観察しながら、

それぞれの方の理解の度合いを確かめつつ、丁寧に進めていきたいと考えています。

講座に参加いただける方、どうぞよろしくお願いいたします。

 

さて、

挑戦的??な記事を書いていることが多い今日この頃ではございますが、

今回もまた、わりと真剣・深刻なテーマを掲げております。

 

キャリアコンサルタントの資格が国家資格化してから、

以前と比較してみると…あくまで肌感覚に過ぎませんが、

個が抱く固有の心理的な相談支援、対人援助であるという側面、価値観が、

なぜか薄れているように感じることがあります。

※私の感覚です。

 

例えば、キャリアコンサルタント自体の自己PR欄等に、

利己的な動機が含まれていることがあったり、

キャリアを謳った集合体による誇大広告ともとれるものが存在していたりということ。

目を疑うような表現も多く出会います。

 

キャリアコンサルタントは他者のキャリアに関する相談や支援を行う専門家。

私たちは、相談場面で出会う目の前のひとの職業選択やキャリア形成を通じ、

より充実した人生を送ることができるように側面支援します。

福祉的活動の一環、ひとの生活の質の向上や社会的調和を図るなどに繋がる営みであるということです。

 

例えば、

隣接・近接領域で活躍する臨床心理士や公認心理師は、

心の健康や精神的・心理的な諸問題等に対する支援を専門としていますよね。

彼らの諸活動は心理療法やテスト実施とアセスメント、カウンセリング技法等を通じた相談支援諸活動が日常茶飯事かもしれません。

 

キャリアコンサルタントと臨床心理士等では資格取得までの過程をみても異なりがあります。

必要な基礎心理学、臨床心理学の基本の学びや体験の深さが違うといっても過言ではないように思います。

 

キャリアコンサルタントの資格も実際には心理学に関する知識を持つことが求められます。

そして、その学びは自らが受け身の場合、

比較的浅く、広範囲にわたるものにはならない。

本来、必要とされていないわけではなく、

ある意味、どんな心理職よりも学習の場を得ることが必須であり、

自己研鑽に関する自己管理が特に厳しいと言えるのかもしれません。

 

臨床心理士や公認心理師(一部ルートを除く)の資格を得るためには、

心理学の基礎と専門的かつある水準で深い知識等が必須です。

ある意味強制的に定められています。

大学から大学院での長期間の学びを通じ、様々な心理学の理論や実践技法を身につけることが求められます。

 

この違い、実践においてどのような影響をもたらすのでしょう。

 

当然に、クライエントに対して、

その支援の質と深さについて考えることがあります。

 

キャリアコンサルタントがやっていることには、

例えば、職業選択やキャリアに関して具体的なアドバイス・助言を提供することがあると思います。(決してそれがいいとか悪いとかではなく)

こうした場面において、場合によっては、

確かに心理学の専門的な知識等が必要とされない場合もあるのかもしれません。

 

日常的に起こっていることですが、

実際の現場では、クライエントが最初に語った話、その相談ではないことも多々あります。

 

簡単には言い出せない。

 

クライエントが職場等での人間関係やストレスに悩んでいる場合、

より深い心理学の知識や理論等に基づいた経験等があれば、

さらに適切ともいえる側面的支援ができるかもしれないのです。

 

とても怖いことです。

 

臨床心理士や公認心理師を真に実践している人は、

心理的な問題に対する深い理解と経験を持っていることも多々あります。

そうしたネットワークも重層的に感じます。

クライエントの内側にある深層心理にアクセスし根本的な問題を見つけ出すことができることもある。

資格を取るまでも含め、資格取得後のスタート地点に立ってからのその学びの深さが、

クラエイント支援への柔軟性や安定感、成功的な確率がグッと高まっています。

このためより根本的な解決を目指すものになるのでしょう。

 

キャリアコンサルタントはどのような役割を果たすべきなのでしょうか。

 

心理学の知識を補完するために他専門家と連携することが重要。

深刻な心理的問題を抱えるクライエントには、

臨床心理士や公認心理師を紹介することでより適切な支援を提供することができるかもしれません。

 

興味深いこと、そして懸念することに、

私が支援で連携している精神科医(産業医)の先生によると、

他に複数の企業組織等と契約をしているけれど、

別のキャリアコンサルタントからクラエイントの相談を受けたことなど一度もないと言います。

 

キャリアコンサルタントが斬新かつ多様な支援に役立てるネットワークを構築するためには、

領域や分野の異なる専門家が集まるところへ勇気を持って飛び込む必要があると思います。

 

特にキャリアコンサルタントから、

より積極的に心理学に関する知識を深める努力を続けることが重要だと考えますし、

人の行動と心理に関するテーマでの定期的な研修や勉強会に参加し、

精神科医等とのネットワーク構築を図るべきではないかと考えます。

現場を通し心理学の知見を学ぶことで、

クライエントに対する支援の質を向上させることができるはずです。

 

キャリアコンサルタントは、自らの役割を理解し、必要に応じ他の専門家と連携・協力していくことで、クライエントにも、また事例相談者にも、奥深く幅広い支援のあり方を模索していくことができるようになると感じます。

 

そして、改めて自分自身が支援を受ける側の立場になったとき、

実際にどのような支援を必要としているのかを想像してみることも重要です。

きっと自分に合った最良の専門家を選びたくなると思います。

それは、キャリアの相談であっても、精神的、心理的な問題の悩みがある場合も、

自分に最も適した心から支えてくれる支援を受けられることが、

自分の主体的な問題解決への第一歩となるのではないかと想像します。